冒険45km
銀狐の名前の秘密が今明らかに。
まぁ、感想をみて思いついたものなので最初と少しだけ矛盾が生じていますが。
スミスはそういうとインベントリから装備を幾つか取り出した。
取り出したものは全部で6つ。
弓と鎧、アームガード、ズボン、靴、そして矢筒だ。
弓は今までのものよりも小さく、1m程しかない。
鎧は革を縫い合わせた服のようなものにところどころ金属で補強がされているように見える。
アームガードは手首から二の腕の真ん中までを覆う革製の防具で、手首から肘にかけて金属の補強がされている。
ズボンは革製で、膝に金属の補強がされている。
靴は脛まである編み上げのブーツだ。
矢筒は、うん、ただの革製の筒だな。
「こちらがご注文の品です。さあどうぞ。」
スミスの言葉に従い、装備を受け取る。
<ノーマーディッシュ・ボウゲン>
重量2、レア度3、品質B
STR+1、DEX+2、ダメージボーナス35%
スミス製の合成弓。ウォールナットの軸に鹿の腱や皮を利用し威力を上げている。重量バランスを緻密に整えている為精度が上がっている。
<イェイガー・レーダーブルストン>
重量2、レア度3、品質B
SIZ+1、DEX+2
楓製の革鎧。狩人用に革製のベストの脇などの要所要所に鉄を当てたもの。なるべく動きやすいように作られているため防御力は低め。
<イェイガー・レーダーアルムシュッツ>
重量1、レア度3、品質B
DEX+2、命中精度30%up。
楓製のアームガード。狩人用になるべく動きを阻害しないように、補強箇所は最低限になっている。
<イェイガー・レーダーホーゼ>
重量1、レア度3、品質B
DEX+2、AGI+1
楓製のズボン。狩人用に動きやすさを重視して作られた革のズボン。防御力は度外視されて作られている。
<イェイガー・レーダーシュティーフェル>
重量1、レア度3、品質B
DEX+1、AGI+1、隠密行動時消音効果25%UP
楓製のブーツ。狩人用に靴底が足音が立ち辛い構造になっている。鉄での補強は動きを疎外しない程度に付けられているが、そのせいで防御力が低い。
<イェイガー・カルヒャー>
重量1、レア度3、品質B
矢の装填量30本
楓製の矢筒。少々大きめになっているため矢を入れる量が多めになっている。
おお、これはかなり良い物だ。
全てにおいて防御力を度外視してDEXを重点に置いてるようだが俺のプレイングに合った構成だと言えよう。
だがしかし、一つだけ言いたいことがある。
「何で全部ドイツ語にしているんだ?これ日本語ならこんなにも長い名前にならないだろうに。」
「いや~、なんと言いますか『今回はドイツ語縛りで名前を付ける!』みたいなノリになってしまいましてね。少々無理をしているのもあるんですよ。」
その考え方が分からないのは俺が生産系プレイヤーじゃないからか。
まぁ、これだけいい装備だ名前なんて関係ないな。
あ、それと気になることが1個あった。
「そういえばこの矢筒なんだが、どうやって装備すればいいんだ?装備画面にはこれを装備する場所なんて無かった気がするが。」
いままで矢筒は変更できないものだと思っていたんだがな。
「あー、矢筒の装備方法はですね。装備画面の弓を装備する場所にですね一緒に装備してみてください。そうすると装備できますよ。」
スミスに言われたとおり、ステータス画面のメインウェポンのところに装備してみる。
すると画面が少し変化し、メインウェポンのところに小さな反転記号が出てきた。
その反転記号を押してみると、矢筒の能力と、矢をどれだけどのように入れるのかの設定画面が開いた。
「これって何か意味があるのか?」
今まで出来なかったことなので少し戸惑いながら聞く。
「実はですね、今までの所謂<初心者の矢筒>と呼ばれるものはですね、装填数が10本しか入らず、矢の種類と数も全体からの比例で装備されるんですね。知ってると思うんですが、矢筒の矢は戦闘終了時にしか自動補充されないので装填数が少ないとその分戦闘が不利になるんですよね。」
へぇ、そういう風になってたのか。
今まで矢が切れるまで放ったこと無いから知らなかった。
「矢筒の矢が切れたらどうなるんだ?もう戦えなくなるのか?」
確かに矢筒の矢が切れたら戦えなくなるなんて不遇になっても仕方が無いような仕様だな。
「戦闘中は手動で装填しないといけなくなります。詳しく説明しますと、矢が切れた時点で装填ウィンドが開き、その画面からどの矢をどれだけ矢筒に入れるのか決めないといけないのです。決定すると矢1本に付き大体1秒程で装填されますが、満タンになるまで装填しないと新しい矢が取れないそうです。」
なるほど、インベントリから直接矢を出して撃つことは出来ないんだな。
魔法と比べると不便に感じるな。
「それで、装填の比率変更についてはですね、強敵と戦うときに少ししかないけど強力な矢が使いたい場合等に事前に設定しておけば、矢筒にその分だけ入るため戦いやすくなるんですよ。」
ほう、そんな事が出来るようになったのか。
確かに弓使いには必須のテクニックだな。
「あ、あと契約の記念にこれもつけちゃいます。」
そういってスミスが渡してきたのは刃の部分が波打っている奇妙な短剣だった。
「これは?」
「クリスです。」
「ドラーイブ!」
「ターイプスピード!ってクリス・ペ○ラーさんじゃ無いですよ!」
ふむ、違うのか。
「じゃあ、駱駝か。」
「おい、クリス・○本さんのことを駱駝って言うなよ。って違うから!」
なんかスミスのキャラが崩壊してきたからそろそろいじるのを止めるか。
「それで、クリスってのはなんだ?」
「クリスと言うのはマレー民族固有の短剣の事です。この刃や柄に彫られている装飾はマレー民族の神話や秘術等が描かれているそうで一つとして同じものは無いそうです。シド星のインドネシアの指導者が持っているのを見る事が出来ますし、UUでも出てきますよ。」
スミスの話を聞き、改めてクリスを見てみる。
刃にはかなり緻密な装飾が彫られており、どうも鷲と鷹の様な鳥が描かれていることが見て取れる。
シド星の事は知らん。
あまり突っ込んでどっかの偉い人に怒られるのも嫌だ。
「まぁ、このクリスの装飾はアイアンファントムが勝手に彫ったものですからマレー民族には何の関わりも無いんですけどね。」
良いのかそれで?
まあ、マレー民族の神話なんて普通知らないから仕方がないか。
「そう言えばLUKはどのくらいありますか?10以上あればある程度は安心できますが。」
何に対して安心できるのか分からないが、一応ステータスを確認しておく。
ふむ、LUkはちょうど10か。
なのでスミスに対し頷いておく。
「実はこのクリスなんですが、作成した時にはまだ効果が決まってないみたいなんですよ。」
効果が決まっていない?
つまりどういうことだってばよ。
「このクリスは描かれている模様と使うプレイヤーによって効果が決まるみたいなんですよ。」
スミス曰く、同じ模様のクリスを違うプレイヤーに持たせると似た様な効果が現れるそうだが、まったく同じにはならないという。
さらに、別の模様のクリスを同じプレイヤーに持たせるとまったく違った効果が現れるのだそう。
そしてLUKに関してはまだ判明していないそうだ。
しかしすべてのステータスに言えるそうだが、ステータスの値が10と9では大きな差があるようだ。
だからスミスは俺のLUKの値が10を超えているか聞いたのか。
ついでに装備前のクリスでも見てみよう。
<クリス・オブ・ホーク>
重量1、レア度3、品質B-
能力不明
アイアンファントム製のクリス。鷲の意匠が彫られている。
確かに能力の項目が不明になっている。
装備したらここが変わるのだろう。
というわけで装備してみることにした。
<クリス・オブ・ホーク>
重量1、レア度3、品質B-
AGI+1、視界範囲+10m、回避効率+10%、VIT-2
アイアンファントム製のクリス。鷲の意匠が彫られており狩りの能力が上昇する神秘的な効果がある。
いい感じな能力が発生したようだ。
VITが下がっているが、元々上げていない能力だったのであまり関係はなさそうだ。
「その様子だとなかなか良い能力が出たみたいだね。」
「まあまあかな。」
そうそう、忘れないうちに素材を売ってしまわないとな。
後、狐の毛皮でマフラーを作ってもらわないと。
「それじゃあ俺はそろそろ落ちるから素材の買取をやってくれ」
「そうですか。それでは素材を出してください。」
俺は手持ちの素材をテーブルの上に並べる。
「それとこの狐の毛皮でマフラーを作って欲しい。代金は素材を売ったお金から天引きしてくれ。」
「はい、分かりました。それにしても珍しいですね。あなたが素材を持って来て頼むなんて。狐の毛皮に何かあるんですか?」
「まぁ、単純にフォックスが好きなんだよ。ガードヘアは少し固めだけどアンダーファーがかなりふわふわでその対比がいいんだ。」
スミスは俺の話を興味深そうに聞いている。
たいした話でもないのに。
「そうなんですか。私はてっきり狐に関して何かあるのかと思っていましたよ。名前にも狐が付きますしね。」
スミスはそう良いながら俺に素材の代金を渡してきた。
俺は代金を受け取りながら考える。
確かにこの名前にしたのには訳がある。
しょうもない話なので別段しようとは思わないのだが、俺の表情から何かしら理由があるとスミスの奴が面倒なことに察しやがったようで、妙に期待した眼でこっちを見てくる。
はぁ、一応面白くは無い話だと断ってから話すことにする。
「お前はさ、このFWFの第3弾目のPVって見たことあるか?」
このFWFは大体1年ほど前にひっそりと作られた公式ホームページにこれまたひっそりとアップされたPVからその存在が知れ渡った。
最初は本当にひっそりとしすぎていて多くの人に知られることも無かったのだが、その実写にしか見えない様なフ○ムを超えるとも言われるグラフィックスとまるでハリウッド映画のような撮影技術があいまって完全無名だったその開発会社の名前とFWFは瞬く間にその知名度を上げることとなった。
ちなみにPVの内容は第1弾がこのゲームのプロローグともいえる人間と魔王との戦いとその終焉を描いた作品で、第2弾が壁と見間違えるような巨大な幹をした木々が茂る樹海やキラキラと白く輝く砂漠地帯等の雄大な自然の中を一人のプレイヤーが巡る物、問題の第3段は飛ばして、第4弾は農耕や釣りなどの牧歌的な生活をするプレイヤーが、第5弾にはダンジョンを攻略していくパーティーが移されていた。
「はい見ましたよ。確か第3段は戦闘と種族の紹介でしたっけ?小、中型のモンスターの群れやフィールドボスの様な大型の敵に望むパーティーや、レイドの様な多人数での超大型の敵に立ち向かっていく様子、そして立派な城壁に囲まれた街を防衛する様子が写されていたように思います。発見されていない敵や種族がかなり写っていましたね。」
そう、第3弾は戦闘と種族の紹介といわれている動画だ。
いわれている理由は動画の名称が第3弾PVとしか書かれていないためだ。
「その中の大体13:17あたり、ちょうど大型ボスと戦うパーティーが写されてた所に9本の尻尾を持った狐の獣人か妖狐だと思うプレイヤーが写るんだが、その妖狐になりたくてこの名前にしたわけだ。」
まぁ、残念なことに最初の種族には狐系の獣人や妖狐なんていなかったんだけどな。
だが、PVで写った以上このゲームの世界のどこかにその村があるはずなんだよな。
今はまだ大きく動くことは出来ないのだが、いずれ妖狐を探しに行きたいと思っている。
「なるほど、そういうことだったんですね。尻尾を9本持った狐ですとやっぱり東洋系ですから東側の奥のほうに村があるのでしょうね。あなたはいずれそれを見つけに行くわけですか。」
俺はうなずく。
「いつになるのか分からないのがネックなんだがな。」
まだパリィから大きく離れることの出来ないから地球の5倍の面積はあるというこのゲームの世界ではいつになるのか本当に分からない。
というかそれだけ遠いと何かしら転移のようなものが無い限り世界中を旅するのは難しそうなんだが。
「大丈夫ですよ。私たちが(契約している間は)全面協力しますからね。分からないことや欲しいものがあったらどんどん言ってくれてもいいんですよ。」
スミスが笑顔でそう答える。
「どうせ契約している間だけとか、代金はちゃっかり持っていくんだろ?分かってるよ。」
俺も笑いながらそれに返す。
なかなかに油断できない奴ではあるが、このパーティーの生産スキルは確かなものだと感じる。
ならばせいぜい利用し利用されることにしよう。
「それじゃあ、マフラー頼んだぞ。」
俺はそれだけ言うと、さっさとこの地下工房から出るのだった。
ステータス表記を変更してみました。
見やすくなったでしょうか?
マガジンの別の言い方を募集します。
ネーム〈銀狐〉Lv.10
種族 〈エルフ〉
ジョブ〈弓使い Lv.12〉〈労働者 Lv.6〉
ステータス
HP :74/74
MP :74/74
SP :54/54
STR:16
SIZ:11
DEX:38
VIT:5
INT:13
AGI:24
MND:13
LUK:10
LP :0
スキル
〈弓入門 Lv.17〉〈鷹の目 Lv.6〉〈木工 Lv.2〉〈簡易調理Lv.5〉〈視野探索 Lv.5〉〈隠密行動見習い Lv.14〉〈暗殺見習い Lv.13〉〈簡易マッピング Lv.5〉〈跳躍 Lv.6〉<嵐属性初級 Lv.1><回避 Lv.2><調薬見習い>
武器
メイン:〈ノーマーディッシュ・ボウゲン>
├クリバー:〈イェイガー・カルヒャー〉
└アロー:〈石の矢×50〉〈黒熊の矢×1〉〈緻密な石の矢 ×12〉<緻密な石の矢(劣化2) ×26>
サブ1:〈ツインクロスボウ Mk-Ⅱ〉
├クリバー:〈ボルトストッカー〉
└ボルト:〈鉄のボルト×28〉<石のボルト×50>
サブ2:〈クリス・オブ・ホーク〉
その他:〈初心者のナイフ〉〈木の銛〉
防具
頭:〈皮の帽子〉
体:〈イェイガー・レーダーブルストン〉
腕:〈イェイガー・レーダーアルムシュッツ〉
手:〈鹿の騎射がけ〉
足:〈イェイガー・レーダーホーゼ〉
靴:〈イェイガー・レーダーシュティーフェル〉
装飾品
無し
その他
〈初心者の鍋〉〈初心者の鑢〉〈石の斧〉 〈鉄の鋸〉 〈鉄のつるはし〉 〈鉄の鑿〉 〈鉄の斧〉 〈粗悪な松明 ×3〉




