冒険39km
新装備の受け取りの日が来た。
朝食を食べた後すぐにログインする。
昨日はあの後10匹の兎を狩って<風属性入門>のレベルを2つ上げ、村に帰ったのだ。
そのおかげで<ウィンドウォール>と<ウィンドフォール>を覚えた。
この2つの魔法は水属性の魔法と似ているようで違っている。
<ウィンドウォール>の方はほぼ透明の為、使った本人にすら認識が困難だった。
しかし物理攻撃には滅法弱いようで兎の突撃でも貫通しかけた。
その時それなりのダメージを与えた様だが、流石に防壁としては使い辛いので対魔法用なのだろう。
<ウィンドフォール>は影も音もない為かなり気が付き難い魔法だった。
使われたら厄介どころの話ではないのだが、<ウォーターフォール>と同じく止まっていなければ当たらない為使い難い事は変わらない。
さて、今日は平日なのでスミスのログインは21時半ごろになるだろう。
つまりVCが来るのもそれぐらいの時間になるだろう。
ならばそれまでレベリングをしておくか。
場所は今まで一回も行ったことのない西の森にしよう。
兎肉の串焼きを食べてから早速出発だ。
西の森に到着した俺は、早速獲物の痕跡を探すことにする。
こっちにはどんな獲物がいるのかオラわくわくしてきたぞ。
おいしい肉や矢の材料になる奴がいいな。
雁とか雁とかガチョウとか。
願ったところで見つからないんだろうけど。
最初に見つかったのはいつもの獲物である兎だった。
本当にどこにでもいるなこいつ。
取り合えずサクサクっと<ウィンドショット>で倒しておく。
っと、経験値がたまっていたのか<鷹の目>と<視野探索>のレベルが上がった。
<風属性入門>の方もがんばって欲しい。
さて、次の獲物を探しますかね。
俺は西の森のさらに奥に歩を進めた。
何匹か兎を狩ったら幾つかのスキルがレベルアップしていた。
スキル<簡易マッピング>がレベルアップしました。新しい能力<探索範囲+10m>を覚えました。
スキル<隠密見習い>のレベルが上がりました。
スキル<暗殺見習い>のレベルが上がりました。
<探索範囲+10m>はそのまま探索範囲が10m伸びる効果があった。
このまま他のスキルも上げたい。
お、獲物の痕跡だ。
これは足跡だな。
見たことのある3本指の足跡。
またネコ目か。
山猫か?狼か?他の動物か?
何れにせよ確実に肉食系の動物だろう。
慎重に行動しなくては。
さて、こいつ何処にいるのかな?
なるべく近くにいてくれると楽なんだけど。
やっと見つけた。
いやはや、追いかけていたらいつの間にか西の森の奥のほうに来てしまった。
まぁ、大丈夫だよな。
今回の敵は狐だった。
尻尾がふわふわで気持ちよさそうだ。
もしも毛皮が取れたらマフラーにしてやろう。
さて、戦いを始めましょうか。
木の上から先制の魔法攻撃を行う。
「<ウィンドショット>」
発射された風の弾は真っ直ぐ狐に向かう。
いつものように避けられる事無く命中したと思った瞬間だった。
なんといきなり振り返ると向かってくる魔法を紙一重で避け、そのままこちらに走ってくる。
しかも、そのスピードの速いこと、50mを数秒で駆け抜けてきた。
くそ!予想外すぎる!
木に登られる前に<ウィンドボール>を放ち足止めしようとしたが、これまた超反応で避けられてしまった。
しかも爆発範囲まで見切られてノーダメージなのがキツイ。
攻撃されてもまったくスピードを落とさなかった狐は俺が登っている木の下に到着してしまった。
登られて、攻撃されるのも嫌なのでさっさと他の木に飛び移る。
狐はこれまた超反応し、登りかけていた幹から飛び降り俺を地面から追ってきた。
これがかの「追い詰められた狐はジャッカルよりも凶暴だ」という名言のことかとも思ったが、別に追い詰めたわけでは無いから違うか。
さてどうしようか。
熊の時と同じように木々を飛び移りながら逃げる。
一応<ウォーターショット>や<ウィンドショット>を打ち込んではいるのだが、すべて避けられてしまって効果が無い。
そういえば、<水属性入門>にまだ使ってない魔法があったな。
あれならばもしかして当たるかもしれない。
そうと決まれば詠唱をスタートしよう。
詠唱時間は2秒ぐらいだったかな?
二秒くらいならさらに逃げるスピードを上げれば何とかなるかな?
さっさと逃げますよっと。
さて、がんばって枝を跳び移ったから何とか15m程離すことができた。
おかげでSPが悲惨なことになってる。
これで何とか詠唱出来るかな?
「<ウォーターラディエート>」
詠唱完了まで後2秒。
狐は木まですぐのところまで来ている。
相変わらず早い狐だ。
詠唱完了まで後1秒。
大体木の半分ぐらい登ってきてる。
流石に木に登るとスピードは下がるな。
でもやっぱり早いぞこいつ。
詠唱完了まで0.5秒。
もう真下まで来ている。
なんて奴だ。
詠唱完了。
狐はこちらを攻撃してきている。
牙をむき突っ込んでくる。
だが残念だったな、こちらの詠唱は完了してるんだ。
俺は向かってくる狐に<ウォーターラディエート>を放つ。
手から放たれたのは大量の水だった。
なんというか見た目が放水であまり威力があるようには見えない。
しかし、放射状に広がった水では逃げ場が無かったのか、とうとう直撃した狐は地面へと叩きつけられていた。
狐のHPは<ウォーターラディエート>が当たった時点でゼロだったのでオーバーキルになってしまった感じだ。
それでも勝利は勝利だからな。
ここは喜ぶとしよう。
さて、戦利品を確認しますか。
木から下りると狐の元に向かった。
狐を倒したことで、緊張が解けたのか、俺は完全に油断していた。
まさか、次の敵がこちらを狙っているなんて思いもしなかった。
だから俺は、相手側の先制攻撃を食らってしまったのだ。
初めに感じたのは強い衝撃だった。
悠々と狐に向かっていたとき、後ろから足音がしたと思ったら、衝撃と共に体が宙に浮いていた。
いきなりのことで一瞬混乱したが、すぐに我に返り<跳躍>の効果を利用して空中で体制を整える。
腕や足の振りで空中の姿勢制御をするってどこのロボットアニメだよ。
そんなことより誰が攻撃してきたんだ?
それは目の前にいた。
地面を削るようにして止まったと見える跡の先。
人の腰ぐらいの大きさの猪がいた。
いつの間にかチェインしていたようだ。
さて、猪って事は突進が攻撃のはずだ。
それなら使う魔法はウォール系か。
でもすでにこちらを狙い始めてるし、詠唱している時間はなさそうだな。
背中のクロスボウを抜いておく。
猪がこちらに狙いを付けた。
いいぜ、来いよ!
どうせ、地面を蹴る動作の後突進がくるんだろ?
と思っていた時期が俺にもありました。
狙いを付けてきた猪はなんとノーアクションで突進してきた。
マジかよ!
驚いたせいで攻撃できなかった。
向かってくる猪を寸前で横に飛んで避ける。
ついでに捻りを加えて、猪が突っ込んでいった方向へ体を向ける。
走り去っていく猪に向けてクロスボウを撃つ。
ボルトは真っ直ぐ走り去っていく猪の右腿の辺りに命中した。
これで少しは機動力が落ちてくれればいいのだが。
猪は大きく旋廻してこちらを狙ってきているようだ。
だが、今度はこちらにも準備の時間がある。
「<ウォーターウォール>」
猪のほうはスピードを落とさないようにかなり大回りをしているし、走るスピードも狐ほど速くないからギリギリ二枚の壁が張れそうだ。
さてと一枚張れた、次の準備だ。
「<ウィンドウォール>」
猪の方は円の3/4を走り終わってこちらに狙いを付け始めている。
何とか間に合うか?
どうせ詠唱を始めちゃったから動けないんだけどね。
猪がもう近くまで来ている。
だが、何とか詠唱が間に合った。
<ウォーターウォール>の前に<ウィンドウォール>を張る。
突破されるだろうがダメージは入るだろう。
猪はもう目の前に来ている。
MPはもう殆ど無い。
MP回復薬って無いのかね?
そんな事を考えていたら猪が壁にぶち当たっていた。
<ウィンドウォール>は一瞬で突破された。
しかし猪に少なくないダメージを与えたようでHP表記が9から7になっていた。
次の<ウォーターウォール>は少し耐えたがやはり突破された。
こちらのダメージで5まで減少した。
大体半分てっ所か?
あっさり突破されたので横っ飛びに回避する。
また同じように走り去っていく猪を見送りつつ、クロスボウをリロードしておく。
MPがもう無いので仕方が無い。
さて、猪がもう一周して戻ってくるまで暇だな。
大体一周7秒もあるからな。
やっと一周まわってきた猪がこちらに顔を向けた。
真正面に来ればこちらのものだ。よく狙って撃つ。
放たれたボルトは猪の右目を貫通し、一撃でそのHPを吹き飛ばした。
ああ、なんだか二匹の敵に対してかなり苦戦したな。
ネーム〈銀狐〉Lv.9
種族 〈エルフ〉
ジョブ〈弓使い Lv.12〉〈労働者 Lv.5〉
ステータス
HP :38/78
MP :0/74
SP :46/46
STR:15
SIZ:10
DEX:30
VIT:7
INT:13
AGI:20
MND:13
LUK:8
LP :0
スキル
〈弓入門 Lv.16〉〈鷹の目 Lv.3〉〈木工見習いLv.19〉〈簡易調理Lv.4〉〈水属性入門Lv.9〉〈風属性入門 Lv.5〉〈視野探索 Lv.2〉〈隠密行動見習い Lv.12〉〈暗殺見習い Lv.11〉〈簡易マッピング Lv.5〉〈跳躍 Lv.2〉
武器
メイン:〈ツインクロスボウ Mk-Ⅱ〉〈鉄のボルト×36〉〈石の矢×28〉〈黒熊の矢×1〉〈緻密な石の矢 ×12〉
サブ :〈初心者のナイフ〉〈木の銛〉
防具
頭:〈皮の帽子〉
体:〈初心者の革鎧〉
腕:〈初心者のレザーアームガード〉
手:〈鹿の騎射がけ〉
足:〈初心者のレザーグリーブ〉
靴:〈初心者の革靴〉
装飾品
無し
その他
〈初心者の鍋〉〈初心者の鑢〉〈石の斧〉 〈鉄の鋸〉 〈鉄のつるはし〉 〈鉄の鑿〉 〈鉄の斧〉 〈粗悪な松明 ×3〉




