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Free World Frontier  作者: シバケン
パリィの村
2/79

冒険1km

銀狐さんがはじめての冒険に向かうそうです。


 キャラの設定も終了し、始まりの村の外れに降り立ったわけなのだが


「うへ〜、流石サービス開始当日だな〜、人が沢山いて活気がある?」


 始まりの村は一見沢山の人が居て活気があふれている様に見える。確かにそこにいる人の性別や種族、年齢層は様々なのだが皆同じ様な服装をしている。ついでに言えば俺自身もだ。


「うへ〜。よく見ればここ、全然家が建ってないじゃないか。もしかしてかなり寂れてない?」



実の所見渡す限り数えるぐらいの家しか立っていない。その中でも、そこそこしっかりとした建物は2、3軒しかなく、殆どが粗末な作りの建物という寂れた村に見える。ということは黒山の集りとばかりにそこら中にいる人の大半ははFWFのプレイヤーなのだろう。


「ストーリーだと、人類側も廃れたとか言ってたけど、流石に寂れすぎだろう。」


 しかも、人類の拠点となる場所は今現在ここしかないようだ。


「村は大きくなるみたいだし、これだけのプレイヤーがいれば直ぐだろう。とりあえずは今後も見据えて装備を整えないと。」


 現在の装備を確認しつつ、俺は人混みに四苦八苦しながら村の中心へと向かった。


<銀狐>

 武器

 メイン:<初心者の弓><初心者の矢×20>

 サブ :<なし>

 防具

 頭:<無し>

 体:<初心者の革鎧>

 腕:<初心者のレザーアームガード>

 手:<無し>

 足:<初心者のレザーグリーブ>

 靴:<初心者の革靴>

 装飾品

 無し


 やはり、最初ということで装備品は心もとない物しか装備してないや。

 とりあえず必要なものは、サブウェポンに、各種生産に必要な道具、ポーションなどの消耗品、余ったお金で残りの装備って感じだろう。

 そんなことを考えている間になんとか人混みに揉まれつつ村の中心へと到着した。だがどうだろう、いや、寂れた村だから仕方がないのかこのプレイヤー人口に対して店が2つしかない。どうやら雑貨屋と、軽食屋のようだ。どちらも夕方にバーゲンをしているスーパーの様な混み様だ。装備が手に入るか少し不安になるが、もう何日かしたら生産職プレイヤーの露店も何軒か出るだろうし、そうしたらこの店も結構空くだろうから気長に待とう。

 まずは雑貨屋に入り、必要な装備を探さなければ。


「おう、〈パリィの村〉唯一の雑貨屋にいらっしゃい!」


 こじんまりとした雑貨屋に入ると、店主の威勢のいい声が響いた。流石はNPC、こんなに混んでいるのにプレイヤーが入り込むたびしっかりと声をかけている。店内は外見通り手狭だが、中身は乗客率200%の朝の通勤ラッシュの満員電車状態だ。まぁ、流行っているわけでは無くお客はどう見てもNPCではなくFWFのプレイヤーなのだが。

 てか余り関係ないけど、この村の名前って〈パリィ〉って言うんだ。道中にNPCも看板もなかったからまったくわからなかった。

 こじんまりとした店内だったが、品揃えはそれなりに良い様だ。なんせ目的の物を見つける為に店を隈なく動く人の波に乗らなければならなかったから店中の商品を嫌でも見なければならなかった。何とかかんとか目的の物を店内一周で買えた俺を誰か褒めて欲しい。


 〈初心者のナイフ〉40/40


 重量+1、STR+1


 初心者用のナイフ。これ一本で敵との交戦から料理まで幅広く対応する万能武器。


 〈初心者の鍋>35/35


 重量+2


 初心者用の鍋。とりあえず料理ができる程度の粗末なつくり。


 〈初心者の(やすり)


 重量+1


 初心者用の鑢。比較的柔らかい木材しか使えない。


 〈初心者のグリーンポーション〉×5


 重量+0


 初心者が作成したグリーンポーション。HPを微量回復する効果を持つ。


 手持ちのお金5000Gではこれだけで精一杯だった。特にナイフが高く3000Gほどしたのが懐に痛い。ちょっと最初の装備にしたら高い気がするが、装備が買える店がこの一軒しかないのが問題なのだろう。それなりに発展してくれば、安い店も増えてくれると俺は信じている。

 そういえば、店で商品を選んでいる時、やたら周りのプレイヤーがこっちを見てひそひそと話していたのはどうしてだろうな。正直あまり良い気分ではないのだけれど。今のところは実害もないし、放っておくのが一番だろう。

 そんなことよりも、新しい装備を買ったことだし一度近くのフィールドで狩をしてみよう。それから、本格的な進行方法を考えよう。あまりにも敵を倒せなければパーティーを組むしかなくなるわけだし。まぁ、これだけプレイヤーがいたらパーティーの一つや二つ簡単にできるだろう。

 そういうわけで俺は、周りの視線を地味に集めつつ始まりの村〈パリィ〉近くの森へと始めての冒険に行ったのだ。






「ぜんぜん当たらないじゃないか。」


 うな垂れる俺の手には弓矢が。そう、矢がぜんぜん当たらないのだ。

 初めは意気揚々と森の中に入ったのだが、いけどもいけども何も見当たらない。最初は他のプレイヤーたちに狩り尽くされてしまったのかとも思ったのだが、かれこれ30分も探索して誰ともすれ違っていないので、その予想は間違っているだろう。もしかして獲物がいないから人気がないのかね?


 それからさらに10分ほど探索し、ようやく50mほど先に獲物を発見することができた。全く、俺の考えた通りだった様だ。

 獲物の見た目はウサギそのもので、耳を立ててあたりをキョロキョロ見渡しているところから、どうやら俺が近くにいることを悟られているように思われる。

 悟られているならばと、なるべく音を立てないように弓に矢をつがえて弦を引き絞る。

 短弓なので鼻面まで引き絞ると、慎重に狙いをウサギに定める。

 ペンッと締まりの無い弓音とともに、矢がウサギに向かって放たれる。

 山形を描いた矢は、残念なことにウサギのはるか手前に刺さり、ウサギは自身が狙われていることに気がつきまさに脱兎のごとく走り去った。


 っと、こんなことが2時間の間に5回もあったわけだ。

 正直、ソロプレイでやっていく自信を完全になくした訳だ。

 一応これでも弓の経験はあり、この程度では外すつもりも無かったのだが、現実は厳しいようで今回の狩の結果が0ならばソロでのプレイは厳しいと自覚しなければならないようだ。

 一度〈パリィ〉に戻って、パーティーを募集するか、メンバー集めをしているところに参加してみようか。

 俺は、肩をガクリと落としながら、今まで探索してきた道のりをとぼとぼと歩いて帰るのだった。

 ちなみに、5回ほど矢を撃ったのだが、ジョブレベルやスキルはまったく伸びていなかった。やはり、敵を倒さないと効率が悪いみたいだ。

ネーム〈銀狐〉

 種族 〈エルフ〉

 ジョブ〈弓使い〉

 ステータス

 HP :60

 MP :66

 SP :32

 STR:9

 SIZ:7

 DEX:18

 VIT:7

 INT:9

 AGI:14

 MND:12

 LUK:6

 LP :0

 スキル

〈弓入門〉〈狩人の眼〉〈木工見習い〉〈簡易調理〉〈水属性入門〉

 武器

 メイン:<初心者の弓><初心者の矢×15>

 サブ :<初心者のナイフ>

 防具

 頭:<無し>

 体:<初心者の革鎧>

 腕:<初心者のレザーアームガード>

 手:<無し>

 足:<初心者のレザーグリーブ>

 靴:<初心者の革靴>

 装飾品

 無し

 その他

 〈初心者の鍋〉〈初心者の鑢〉〈初心者のグリーンポーション〉

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