冒険11km
今度こそ実験です。
北の森で罠を張って鷹が掛かるのを待っています。
現在番えているのは木の矢だ。
飛距離が長いが威力が弱いため一撃で仕留められない可能性がある。
いざという時のために、いつでも魔法が打てるようにしなくては。
そう考えながらも辛抱強く待つ。
時間が押し迫っているがこればっかりは仕方が無い。
すでに日は傾き始めており、森の中は燃えたように赤く染まっている。
そう言えば鷹って昼に活動する昼行性だった気がする。
もしかして、今の行動って実は無駄?
一度そう考えてしまうと、思考は悪い方向へ向かうようで全然狩りに集中ができなくなってしまった。
仕方が無いので、村へ帰りログアウトしよう。これ以上やってもミスをするだけだ。
ただし帰り際に見つけるウサギだけは魔法で狩って行く。
罠の材料であるのに加え、俺の主食となる肉とそろそろ切れそうな膠の補充のため皮が欲しいのだ。
次の日も、朝食を食べ終わったらログインする。
時間的にゲーム内ではまだ明け方なのだが、早めに行って罠をいくつか仕掛けるのもいいかもしれない。
でも、ログインして最初にやることは食べ物を食べる事だ。
どうも、空腹メーターの進みは最初の1日だけゆっくり進むようになっていたようだ。
現在は通常に戻っているせいか、半日しか経っていないのに空腹メーターは1/3を割ってしまっている。
取り敢えずログインするたびに食べることにして、今日の飯を作る。
まぁ、いつも通りの何もした味をつけていない串焼きなのだが。
取り敢えず前回と同じ2本作れば丁度いいだろう。ウサギの肉には余裕があるしね。
というわけで、村の外れの焚き火で何時ものように料理(?)をしていると、どうも後ろから視線を感じていた。
無視をするべきか否か。うん、無視しよう。
というわけで無視して焼き続ける事にする。
肉汁がポタポタと垂れてきて美味しそうだ。後ろからジュルリという音がしたが聞こえない。
さて、いい感じにこげ色も付いてきたし、そろそろ食べ頃だな。
今度は後ろからぐぅ〜〜という音が聞こえた気がするが多分気のせいだ。
焼きあがった串焼きを1噛みすると肉汁が口の中に溢れ出てくる。やっぱり美味い。
後ろから生唾を飲んだような音がしたが、俺は絶対振り向かない。
二つの串焼きを食べたのでさっさと北の森に行くことにする。
あまりに急ぎすぎたから焼きかけの串焼きを一本置いてきてしまったかもしれないが、時間は有限なのでさっさと行くことにする。
後ろから何かが聞こえた気がしたが、今回は完全に気のせいだろう。
取り敢えず、北の森に3つ程罠を仕掛けて見た。
場所はどこも視界に入る場所にしてある。
単純計算で3倍の効率だ。
これで何とか検証できるようになるはずだ。
まぁ一気に来られたらかなり困るけど。
来た!
近くの罠と遠めの罠に同時に来た。
仕方が無い、先に近めの鷹を<鹿角の矢>で倒した後、遠めの方を<木の矢>で狙うしかなさそうだな。
<木の矢>を一旦外すとそれを右手の小指と薬指で持ち、矢筒から<鹿角の矢>を取り出し番える。
目一杯引き絞るのはいつも通りのだが、狙いは最低限付けるだけにする。
素早さが勝負の分かれ目なのだ。
ペンッ
放った後はすぐさま<木の矢>に持ち替え、遠目の方を狙う。
ギャッ!
声がしたので命中したのだろうが、目視で確認する余裕はない。今の声で鷹が警戒し出したのだ。
俺は焦らず、鷹が向こうを向いた瞬間に矢を放つ。
ペンッ
<木の矢>はその性能通り、何時もよりも早く鷹へ向かって飛んで行く。
鷹が気がついた時にはもう遅く、<木の矢>は飛び立とうと広げた羽の付け根に突き刺さる。
ギャ!
矢が当たったことでバランスを崩したのか、飛び立てず地面に緩やかに着地する。
そこを狙ってすぐさま着弾するのは水の球。
ウサギ狩りの時に気がついた、魔法は口に出せば声の大きさに関係無く発動する仕様を利用して、音をほとんど出さずに魔法を放てるようになったのだ。
この仕様、いずれ修正されそうだが今のうちは良いように利用させてもらおう。
そんなことよりも剥ぎ取りだ。
さっさと剥ぎ取って、今度は鹿相手に実験をしよう。
ウキウキとしながら鷹の死骸へと走って行った。
ネーム〈銀狐〉Lv.4
種族 〈エルフ〉
ジョブ〈弓使い Lv.5〉
ステータス
HP :66/66
MP :63/70
SP :38/38
STR:12
SIZ:7
DEX:22
VIT:7
INT:12
AGI:14
MND:12
LUK:7
LP :0
スキル
〈弓入門 Lv.6〉〈狩人の眼 Lv.8〉〈木工見習いLv.4〉〈簡易調理Lv.1〉〈水属性入門Lv.2〉〈発見 Lv.5〉〈隠密行動見習い〉
武器
メイン:<初心者の弓><石の矢×14><木の矢×2><鹿角の矢×2>
サブ :<初心者のナイフ>
防具
頭:<無し>
体:<初心者の革鎧>
腕:<初心者のレザーアームガード>
手:<無し>
足:<初心者のレザーグリーブ>
靴:<初心者の革靴>
装飾品
無し
その他
〈初心者の鍋〉〈初心者の鑢〉〈初心者のグリーンポーション〉




