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第2話 特に説明も無い特殊能力

「さーて、そろそろはじめますかー」


 今俺は草原に立っている。

 日が明けて今日は動物たちの入れ替えの日。

 今まで外に出していた動物たちはみんな俺の周りに集まっている。


 「それじゃしばらくはゆっくり休んでてくれよな」


 そう言うと俺は足を一回トン… と地面を踏む。

 すると集まっていた動物たちが俺の足元に伸びる影の中に引き込まれていく。

 ずるずると影に入っていき、やがて全員が飲み込まれると当たりは静かな草原が広がるだけになった。


 「やっぱりこの瞬間はいつも慣れないな… というわけでさっさと」


 今度は足をトントンと二回鳴らすと、影から一斉に何かが飛び出してくる。

 その中のひとつが俺に襲いかかると、俺は勢いに勝てずあっさりと組み伏せられる。

 そいつは俺の上にまたがり顔を舐め始めた。


 「久しぶり、退屈だったかワンコ?」


 「ワン!」


 俺の顔を舐めているのはイヌ、確かにイヌだが顔が三つある、いわゆるケルベロスというやつだ。

 怖いイメージがあるかもしれないが人懐っこく、親しみを込めてワンコと呼んでいる。

 それにしても三つの顔から同時に舐められるとすぐに顔がベトベトになってしまうな。


 そしてそのワンコの背中の上からぬっと出てきた影に声をかけられる。


 「全く、ボクを閉じ込めておくなんていい度胸してるニャ」


 「おう、元気にしてたか王様」


 当然ニャ、ボクを誰だと思ってるニャ? とやれやれといった感じで言うのはケット・シーというネコが二足歩行している生き物だ。

 人の言葉を理解し、人間の生活を真似したりしている種族で、どこで覚えたのか尊大な態度を取るので王様と呼んでいる。


 「だからボクは本当に王様だって言ってるニャ!」


 ワンコの上でぷんすか怒っていた王様だったが、邪魔に思ったのかワンコが身震いすると振り落とされる。

 ぐしゃあと顔から落ちた王様はぴくぴくしていた。


 「主、私が呼ばれるのはまだ先かと思っていたのですが…」


 「すまんなデュラさん、実は俺が呼んだんだ」


 続いて俺の目の前に現れたのは、全身を覆うような黄金色の立派な鎧をまとい、馬にまたがった騎士。

 ただしその甲冑の首から上にはなにもなく、馬にも首がついていない。

 デュラハンという首なし騎士である、ちなみに彼女は女性のデュラハンで非常に珍しかったりする。

 抱えた自分の首から声を発するデュラさん、デュラさんには何かと相談に乗ってもらったりしているので自然とさん付けになっている。


 「実はサリサを怒らせちゃったみたいでさ、どうしたらいいか聞きたくて」


 「サリサというとあの女性ですか、一体何をしたのですか?」


 これこれこういうわけなんだと簡潔に説明する。

 するとデュラさんは大きなため息をはいた。


 「主は全く… それは別に怒ったわけではないでしょうに」


 「そうなのか? じゃあなんで帰っちゃったんだ?」


 「それは私が言うと面白く無いので、とりあえずここに彼女を呼んできてください、そのために私を出したのでしょう?」


 やっぱりバレてたか、デュラさんは騎士なだけあって強い。

 サリサも何度か彼女の手ほどきを受けているので、ただ謝りに行くより口実を作ったほうがいいと思って呼んだのだ。

 それにしても怒ってるんじゃないんならなんなんだ? デュラさんはたまに意地悪だよなー。


 「主よ、察せないというのは時に罪なのですよ」


 「全くニャ、さすがのボクでもわかるニャ」


 「ワン!」


 いつの間にか復活していた王様やワンコにまで言われてしまった。

 ちょっとショックだったが気を取り直してメシにしますか!

 他にも出てきたみんなともひと通りあいさつを交わすと、家へと向かって行った。

 午後からは街に行くとするかー。

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