第八話 猫と恋する乙女たち
殴られた痕はそこかしこ。
タバコを押し付けられた火傷は無数。
銀髪紫眼は薬の後遺症で。
少年とも少女ともつかない実験体の体。
それはまるで奇蹟のようで。
まともに生きていられるのが嘘のよう。
「立ちなさいっ!」
それは誇りであった。
生きていられることは、誇りだった。
だから彼であり彼女であるその人は叫ぶのだ。いついかなる時であっても、あきらめずに立ち向かうことこそが、人の生きる道であると。
「立ちなさいっ!」
常に笑顔で在り続けた少女は、叫んでいた。
笑顔を消し、真摯な顔で力の限り、声の続く限り叫んでいた。
「……無茶、いうな」
血塗れの男は倒れていた。目の前には、絶対に勝てそうもない敵がいる。力の限り立ち向かったが駄目だった。左腕は折れていて、出血も激しい。
少女は叫ぶ。
「でも、あなたは立ち上がらなきゃいけないのっ! それはあなたが積み上げてきた努力を形にするためっ! みんなを幸せにするためにっ!」
少女は力の限り叫ぶ。
「それが、あなたの選択っ! もう一度立ち上がってみんなのために戦うことを決めたあなたの選択なのっ! 世界を救うと決めた、あなたの選択なのよっ!」
少女は声の限り叫ぶ。
「だから立ちなさいっ! 誰一人失わないはっぴーえんどがあることを、憎しみと絶望に思い知らせるためにっ! せかいをぜったいによくするためにっ!」
男は苦笑する。
「……無理だっつうの」
「立ちなさいっ!」
「…無理だってのにさ」
「立ちなさいっ!!」
少女は、想いの限り叫んだ。
「無理だってのに……なんで、立っちゃうんだろうね、僕は」
男は、苦笑しながら立ち上がっていた。
と、そこまで書いたところで夜が明けていた。山口文雄は大あくびをしながら横に置いてあったコーヒーを飲もうとして、切らしていることに気づいた。
「……買いに行くか」
背筋を伸ばすとパキパキパキ、と音が鳴る。
黒のジャケットを着込み、財布をポケットに放り込んで、静かに歩き出す。
部屋で眠っている青い毛並みの猫を起こさないように部屋を出た。
外の空気は清浄でいかにも朝を感じさせる。文雄はあくびをしながら愛用の自転車に乗って、ロックを外して走り出す。
と、その時。
「………………」
文雄は目を細める。道路には無残な屍骸が転がっている。
猫が車に轢かれて、死んでいた。
文雄は自転車を止め、躊躇なくその猫に向かっていく。朝方なので人通りも車通りも少ないため、誰も彼の行動をとがめるものはいなかった。
かがみこんで、そっと指を伸ばした。
「貴女に安らぎを。精霊の祝福を。
猫として誇らしく、気高く生きた貴女に敬意を。
血の魔法使いの代理として祈ろう。
貴女に大いなるぬくもりがあらんことを」
黙祷は三十秒ほど。文雄は顔を上げて微笑んだ。
「ありがとう」
礼を言ってから猫を抱き上げてその場を立ち去る。
そして、文雄は近くの公園に猫を埋めた。
私は猫である。名前はファリエル=ナムサ=オーレリア。毛並みは青に近い黒を持つ、まごうことなき美雌猫である。
黒縁眼鏡。黒づくめ。誰にでも優しく誰にでも厳しい。全体的に地味。部屋は質素でこざっぱり。小説家。高校一年生。嫌いなものは特になし。好きなものは浅く広くたくさんありすぎて私にもよく分からないがただ一つ、甘味に関してはやたらうるさい。妹には甘い。変な女に妙にもてる。人外の存在にやたら好かれる。ある意味大人。
以上、山口文雄の特徴である。
なぜそんな当たり前なことを思い出したかというと、
「まずは、文雄君の携帯の番号かメルアドをゲットするのが先決よね。手紙なんて生ぬるい手段じゃ駄目だったのよね、やっぱり……」
他人の家の玄関先で物思いにふけりながらブツブツ独り言を呟いている一人の少女を見つけたからである。
さて、これはどう判断したものか……。どこかで見たことのある顔ではあるのだが、いまいち思い出せない。髪はショート、顔立ちはそれなりに整っている。引き締まった体つきはいかにも健康的で、体の発達具合から考えてなにかスポーツをやっていると思われる。
「かといって生半可な方法じゃ駄目よね。あの女がいるし。……こうなったら実力行使で既成事実を作ったほうが早いのかしら?」
どうやら、恋する乙女であるらしい。
しかも、変な女らしい。
まったく……つくづく変な女にもてる男だ。そういえばタマのところの四女も文雄に惚れているようだったし、もしかしたら人外専用に発揮される変なフェロモンでも発散しているのかもしれない。
……どっかの語り部失格じゃあるまいに。
「よし。とりあえず作戦1、決行よ」
少女はそそくさと鞄からあるものを取り出した。
焼いた食パンである。
…………まさか、とは思うが。
いやいや、まさか、そんなはずがない。いくらなんでもそれはない。ないったらない。絶対にありえない。
心配になったので、私は彼女の心を覗いてみることにした。
………………。
〜空想開始〜
いつもは早起きな私。でも、今日に限って寝坊しちゃった。
『きゃー、ちこくちこく、早くしないと学校に遅刻しちゃう』
と、その時。
曲がり角から、急に飛び出してくる人影に衝突しちゃったの。
『うわぁっ!』
『きゃっ!』
ドンッ!
『あいたたた。あ、きみ、大丈夫?』
『は、はい。だいじょうぶで……』
思わず、呼吸が止まっちゃった。
それが、恋の始まりだったの。
〜空想終了〜
………………。
ぐがああああああああああああっ!
そうか……精神攻撃かっ!!
この女は、私の精神を攻撃しているっ!
恐ろしい……世界広しといえども、ここまで恐ろしい精神攻撃は初めてだ。
「そして、作戦2でたたみかける」
少女が取り出したのは、ネズミの形のすとらっぷ。
世界的な方ではなく、とっとこ走るネズミである。
別名、はむすたー。私にとっては仇敵に等しい。
……いや、今はそんなことはどうでもいい。
まさか………。
いやいやいやいや、いくらなんでもそりゃないだろ。ない。絶対にありえない。もう天文学的な確立だぞそれは。……ない、はずだ。
私は、内心で脅えながら、彼女の心を覗いてみた。
………………。
〜空想開始〜
あーあ、大事にしていたストラップを落としちゃった。
もう、今日は本当にブルー。
『あ、ねぇ、ちょっと君っ!』
『え?』
そこには、今朝出会った憧れのカレが。
きゃっ、わ、私どうしようっ!
『今朝ははごめんね』
『あ、あのっ。わ、わたしは別に……』
『このストラップ、君のでしょ?』
憧れのカレの手には、私が大事にしていたストラップが。
『あ、ありがとうございます……』
『それじゃあ、ぼくはこれで……』
憧れのカレが目の前にいる。
だから私は、勇気を必死で振り絞ったの
『あ、あのっ! もし良かったら、家に来ませんか?』
『え?』
『ストラップを拾ってくれた、お礼がしたいんですっ!』
私の言葉に、
カレは嬉しそうに微笑んでくれたの。
「それじゃあ、放課後校門前に待ち合わせってことで」
「は、はいっ!」
私は、胸が『きゅん』と鳴るのを感じたよ。
〜空想終了〜
………………。
にゃああああああああああああああああっ!
私の心を土足で踏みにじった後にブルドーザーで一気に更地にするかのようなショッキング! 全てが狂えるほどにビートッ! 四肢を引き千切るほどにショートッ! 山吹色の幽波紋を顔面に叩き込んでやろうかと思わせるほどのインパクトッ!!
つーか、普通、ストラップ拾ってくれた程度で初対面の男を自宅に招くか!? 絶対に頭悪いだろう、この小娘っ! それ以前に、胸から『きゅん』とかいう奇怪な擬音が鳴るわけなかろうがっ! 今すぐ病院に行って心臓を切除してもらえっ! それか、上半身についてる頭という無駄なパーツを取り外せ! 可及的速やかにっ!
………はっ!。
しまった……つい、我を忘れてしまったようだ。
なんという精神攻撃だ。まさか、私の心をここまで乱すとは。
私の動揺とは裏腹に、少女は含み笑いを浮かべていた。
「ふふふ、完璧だわ……」
たぶんあの少女の頭の中では、
『ボクハキミノコトガスキダッタンダ』
『フミオクン………』
みたいなことになってるんだろう。詳しいことはあの少女の頭の中を覗けば分かるのだが、それをすると多分、私のココロが保たない。
「よし、それじゃあ作戦決行……」
「田辺慶子。あなた、馬鹿ですか?」
「っ!」
少女が振り向いた先には、冬孤が腕組をして立っていた。
「山口……冬孤。なんでここに?」
「簡単なことです。あなたが私と兄さんの行動パターンを見張っていることは、とっくのとうに気づいていましたからね。貴女の気配で」
「……くっ。気配は消していたつもりだったけど……」
いや、なんかもう今さらという感じもするが。
こいつらは本当に女子高生なんだろうか?
女子高生が『気配』とか言うな。頼むから。
「それで……まだ兄さんを狙っているんですか?」
「……だとしたら?」
「今度は、本気を出さなきゃならなくなるわね」
ゴキリ、と冬孤の指が鳴る。
睨みあう二人。激烈な殺気がぶつかって散っていく。その背景に竜虎を描き出せばさぞかし絵になることだろう。
しかし、不意に慶子は口元を上につり上げた。
「冬孤。あなたは文雄君の女性のタイプ、知ってますか?」
「…………そんなの、知るわけないじゃない」
「知りたいとは思いませんか?」
ぐっ、と冬孤は珍しく言葉に詰まる。
己の優位を確信して、慶子は言葉を続ける。
「確かに、私はこの一週間ほど文雄君や貴女の行動パターンを観察していました」
えらそうに言っているが、それは明らかにすとーきんぐ行為である。
「冬孤がどういう経緯で文雄君に惚れたのかは知りません。私に限って言えば、単純に『一目惚れだから』の一言に尽きますけどね。で、一週間ほど文雄君を観察していましたが、えっちぃ本の立ち読みすらしない、とても綺麗な青少年だということが分かりました」
「当たり前です。兄さんがそんなことするわけないもの」
「なら、彼は女性には興味がないということですか?」
「そんなことは……」
言葉に詰まる冬孤。
まぁ、冬孤が言葉に詰まる理由も分かる。パソコンの中には自分が書いた文章以外は収まってないし、本棚の中には専門書やら漫画本やら小説ばかりで、青少年らしいアレでかつアレな本は一冊も収まっていない。ベッドの下の鍵の掛かった引き出しには、美味しい甘味所がチェックしてあるメモ帳が入っているだけだった。
友人がいないというわけではないが、付き合いは浅く広く。親友はほとんどいないと言っても過言ではない。
……なんか、将来が心配になってきた。
慶子は、口許を緩めて目を細めた。
「ここで、一つ仮説を立てます。『文雄君にはすでに彼女がいるのではないか』、と私たちにとっては最悪な仮説です」
「そんなことっ!!」
「ないと、言い切れますか?」
言い切れるわけもない。冬孤は案の定言葉に詰まる。
「それは……分からないけど」
「私は、それを確かめたいんですよね」
恋に恋する純粋な少女は、にやりと不敵に笑う。
「一緒に調べませんか?」
「え?」
「今回ばっかりは『休戦』ということにして、文雄君の行動を二人で追ってみようってことです。普段、文雄君がなにをしてるのか、知りたいと思いませんか?」
「………………」
少しばかり悩んで、冬孤はゆっくりと溜息をついた。
「分かったわ。でも、その前に一つだけ言わせて」
「なんでしょう?」
「あんたの作戦、思いっきり穴だらけだから。トースト口にくわえて遅刻する女はこの世界には存在しないし、ストラップから生まれる恋愛も存在しないのよ?」
田辺慶子は『きょとん』とした表情を浮かべた。
「……そうなんですか?」
「……うん」
冬孤は目を細めて、どこか遠くを見た。
田辺慶子。一見、計算高そうに見えるが、
どうやら………『天然』らしい。
作戦決行は放課後らしいので、私は私で行動を開始することにした。
餅は餅屋。そばを打つのはそば職人。
人のことを知るのは探偵だと相場が決まっている。
その探偵は殺人事件を解決したりしない。人を調査したりもしない。背負っているのはこの世界の全て。猫の探偵にして血の魔法使い。
名を、浅上壱檎という。
家賃二万円の安アパートに、そいつは住んでいる。
「しっかし、なんつーかお前もつくづく心配性だな」
私に牛乳を振舞いながら、壱檎は笑う。小柄な体躯をユニクロで揃えたようなラフでかつ安物の服でつつんでいる。短く切りそろえた髪の毛は、黒に赤が混じったような色だ。ぱっと見では中学生の男子にしか見えないが、壱檎は現役の大学生だ。ちなみに、性別は正真正銘の女。ついこの間、男にふられてふてくされていたようだったが、どうやら立ち直ったらしい。
「文雄のことなら、とりあえず心配ねぇよ」
「私は心配だ」
文雄の生き方は、少しばかり『普通』の人間からは外れている。
どんな生き物であっても、『綺麗』には生きられない。生きている限りなにかを殺さなければ生きていけないし、生き続けるからには子供に何かを残さなければ生きている価値もない。『生きて死ぬ』ということは、決して綺麗事ではないのだ。
壱檎は、微笑を浮かべた。
「なぁ、ファリエル。人間ってのは不器用な生き物なんだ」
「?」
「猫は自分の欲求に素直だろう? だから、強くなれる。己に適した最強の力を伸ばして、『生きる』っていう生物の最大の目的を躊躇なくやり遂げようとする。でも、人間は違う。弱いし、不器用だし、なにより同情に弱い。自分に素直にはなれない。自分に適した道であっても、それを無視してつい脇道に逸れてしまう。それが人間だ」
「……かもな」
私も、半分は人間だ。
壱檎の言いたいことは、なんとなく分かる。
「誰だってそうだ。文雄だって例外じゃないさ。あいつは今色々なことに悩んでいて、なんとかしようと足掻いているんだ。自分の頭で考えて、前を向いて、目を逸らすことなく。それがお前には不自然に見えるだけのことだよ」
壱檎の言葉に嘘はない。言っていることも至極もっともだ。
しかし、
「………壱檎」
「ん?」
「なにを隠している?」
私を誤魔化そうとするのは、百年早い。
「なんのことだか、俺にはさっぱりだな」
「お前が訳の分からんことを長々と話す時は、大抵なにか誤魔化したいことがある時だ」
「ぐっ」
壱檎は一瞬だけ顔を強張らせて、観念したように溜息をついた。
「あー……なんつーか、ちょいとややこしい事情があってな」
「うむ」
「とりあえず、詳しい事情はトーコ姉の所で聞いてくれ」
「………………」
沈黙。
「壱檎。お前……いくらなんでもそれは……」
「なにも言うな。俺だって分かってる。分かってるけどどうしようもないことだっていっぱいあるんだよ。文雄のことに関しちゃトーコ姉が最適だった。最悪なんだけど、最適だったんだよっ! だからなにも言うなっ! 俺を責めるなっ!」
「……そ、そうか」
私と壱檎は、二人で遠い目をしながら、溜息をついた。
次回に続く。
小劇場。
注、ここからの展開は時系列、作品の本編の展開、その他諸々とは一切関係ないかもしれない小劇場でございます。それでは、はりきってどうぞ。
〜開幕〜
「みなさん、ここまで猫日記をご覧下さってまことにありがとうございました。作者急病のため、ここいらで打ち切らせてもらいます。では、また」
「……コッコさん、そういう洒落にならないことは言わないで」
「あら坊ちゃん。こんなところにまでツッコミご苦労様です」
「まぁ、僕がいなくなったらツッコミがいなくなるし」
「ふふ、そうですね。作者の『あー、後書きのネタ考えるのが面倒くせぇ。そーだ、どうせ同じ時間軸でやってるんだから次回予告任せちまえ』っていう怠惰極まりない態度がなければ、ツッコミすらままならなかったわけですが」
「……楽屋ネタはやめとこうよ」
「でも、ちょーっと楽しみですよね。こういう風な手法を使い出すと、もうそろそろ本当に終わりが近いんですよ? 『第一部完』がいい例です」
「いや、本当くさいからやめて。作者はまだ書く気満々なんだから。使ってない設定やエピソードだって、いくつかはあるんだよ?」
「使う使わないは作者の自由ですけどね」
「まぁ……そーなんだけどさ。それを言ったら元も子もないっていうか」
「それにしても文雄君、なんか坊ちゃんとキャラが被ってませんか?」
「そうでもないよ。僕はあそこまでしっかりしてないし」
「そうですね。坊ちゃんの部屋にある金庫には、ちゃーんとえっちぃ本もしまってありますからね」
「なんでそれをっ!?」
「好みが普通で面白くはないんですけどね」
「べ、別に僕の好みがどうこうとか、関係ないだろっ!」
「『メイドさんと一緒』とか、そういう本があったら身の危険も感じたんですけど、ほどよく乳が大きくて、適度に淫乱な女しか出てきませんしね」
「コッコさん。痛い、イタイ、視線が痛いからっ! 汚物を見るような目で僕を見ないでっ! あとさりげなく耳たぶをひっぱらないでっ! 凶悪に痛いからっ!」
「坊ちゃんはそんなに年下か同年代がいいのですか?」
「いや、そーゆーわけじゃ……」
「血の繋がった妹は駄目ですか?」
「……いや、妹いないし」
「そんなに宇宙戦艦がいいんですか!?」
「はぁっ!?」
「と、いうわけで次回、『猫と悩める少年』。果たして、少年が悩んでいることとは一体何なのか!? どうぞ、お楽しみにっ!」
「うっわ、最悪の次回予告だ」
「ついでに、私たちのことを知らない人は、田山歴史で検索して、それらしい短編を選べば、私こと山口コッコの活躍を見ることができます。そちらもよろしくっ!」
「しかも宣伝してるしっ!」
「ではでは、さよなら〜」
業務用の綺麗なスマイルと共に、閉幕。
〜舞台裏〜
「こんなものでよろしいでしょうか? 坊ちゃま」
「いや、あのね、さも僕が仕組んだみたいに言わないでよ」
「ハイテンションって疲れますね。坊ちゃまの秘密をいくつか暴露しなくてはいけませんでしたし。もうこりごりです」
「………それは僕の台詞なんですけどね」
「それでは、私は仕事に戻ります」
「うん、頑張ってね」
メイドの後ろ姿を見送って、少年は溜息をついた。
「……やれやれ、カムフラージュに金庫を置いておいてよかった」
金庫はメイドの目を逸らすため。
中身の本は、『説得力』を強めるために。
本命は部屋に置いてある分厚い洋書。232ページ目。
「コッコさん、写真は嫌いだからなぁ……」
その写真では、メイドが驚いたような表情を浮かべている。
少年はそれを見つめて、口許を緩めた。
小劇場『コッコさんの次回予告』END。
こういう小ネタは結構好きなんですよね(笑)
と、いうわけで次回に続きます。