5.保護観察人
〈登場人物〉
守島 朝陽(17)
元気で明るく優しい男子高校生。
黒澤友紀(21)
美大生の女の子。絵を描くことが好き。
出島雄大(26)
大卒フリーター。遊ぶことと旅が好きで世界中を旅するのが趣味。
堀田真由(32)
東京の製薬会社で研究職をしている。疲れて休職し西表島にやって来た。
『あー!いつになったらここから出れるねん!まじではやく俺の荷物返してくれー!』
僕たちは今、留置所的な場所に来ている‥。
手荷物全て取り上げられた。
身体検査をされて、身ぐるみを全て剥がされ、体一つで同じ牢屋に入れられている。
『はぁー‥なんでこんなことになっちゃったんだろ。私のカメラ返してくれるかな。入学祝いにママに買ってもらった高いやつなのに‥』
三角座りをして完全に項垂れている友紀。
カメラの心配をしているようだ。
『あー俺の全財産やぞ!てか、こんなことしとったらバイトに遅れるやんけ!金ないのにもう最悪やわ!』
全財産をなくした青年が1人。
『はぁー‥困ったわね。おそらく留置所よね。あきらかに様子が変だわ。異世界転移でもしちゃったのかしら。』
意外と平気そうな成人女性ひとり。
『あの、そういえば名前を聞いてなかったなと思って、お名前はなんでいうんですか?』
『堀田真由。会社員よ。』
『なんの仕事されてるんですか?』
『製薬会社で、一応研究職よ。今は休職中だけど‥』
『そうなんですね。優秀な方ですね。だから英語の事情聴取にも流暢に対応されてたんですね』
『いや、日常会話程度にしか出来ないわよ。そういうあなたは若そうだけど学生さん?』
『僕は、守島朝陽っていいます。高二です。』
『高校生かー!若いわね、羨ましい!ここにいるメンバーだとおそらく私が最年長よね。嫌になっちゃうわ。』
『おいくつなんですか?』
『それ聞いちゃう?』
バシッ後ろから平手で背中を叩いて来たのは、友紀だ。
『女性に年齢を聞くなんて失礼よ』
『あ、友紀さん。すみません‥。』
『ふふふ、貴方は友紀さん言うのね。』
『あ、はい。黒澤友紀です。聞き耳立てちゃって‥堀田さんですよね。よろしくお願いします。』
『真由でも良いわよ。よろしくね、友紀さん。なんだかしばらくお付き合いしそうだしね。
奥にいる全財産を無くした彼は彼氏か何か?』
『全然違います!島で遭遇した関西人のフリーターです!』
『雑な紹介やな。俺は出島雄大。デジでいいよ。綺麗なお姉さん♪』
『そう、よろしくね』
『製薬会社で研究職ってことはお金持ってるんやろ‥?なあ、これも何かの縁やし家帰るまでの交通費ぐらい貸してくれへんかな?俺もう無一文やねん、片道切符で来たからさ〜高そうな結婚指輪もつけてはるし、ご主人も高収入なんやろー?』
『え?』
真由は、左手の薬指を見る。
大きなダイヤモンドがついたハイブランドの指輪を身につけているのを今気が付いたようだ。
しかし、表情はなんだか暗い。
おもむろに指輪を外すとデジに差し出した。
『あげるわよ。売ればいくらかお金になるでしょ?』
『え、マジで!?』
『え!お姉さん何言ってんの!?』
『良いんですか!?この人にあげても!?』
デジは喜びより驚きの方が優ったようで体全身をのけぞらせながら若干引いている。
友紀と朝陽も驚いて立ち上がった。
『ええ、もういいの。彼とはもう別れるから。』
『まだ別れてないんやったらつけといた方が良いんちゃう‥?そういうのは自分1人で一方的に決めん方が良いよ。お姉さん?』
『大丈夫よ。両家の挨拶も済ませて、式の予定も決まってたのに若い女と浮気するようなクソ男。もういらないでしょ。』
真由は、デジに指輪を差し出しながら不適な笑みを浮かべている。
『‥それは、そうですね。貰っときなさい。デジ。』
その様子を見た友紀も何を思ったのか、真由の横に並びながら静かな声でそう言った。
『重ッ!怖ッ!まあ、けど、宝石に罪はないしもらっとこかな〜!おおきに!』
若干引きながらもしっかりと指輪を受け取りポケットを入れたデジ。なかなか肝が座っている‥。
ガチャ‥
重たい扉が開く音がした。警察官が入って来た。
『君たちに会いたいとやってきたお方がいる。部屋へ通すが構わないな?』
『一応聞いてくれるのね‥どうせだめって言ったって、通すんでしょ!』
『‥偉いお方だ。粗相のない様に気をつけなさい。』
すると、扉の向こうからやって来たのは、
クマだ。
『くまさんや!』
くまの着ぐるみを被った長身の黒スーツを着た男。
男は、真っ直ぐに僕たちのいる部屋の前の鉄格子の手前までやって来た。
『え、なになに‥怖いんだけど』
『‥』
全員が唾を飲んで緊張感のある静寂が流れる。
『あ!君たちがその過去から来た謎の人間たち?』
クマ大男の後ろからひょっこり顔を出したのは、色白で黒い髪をした中性的な男性‥?女性?
声の低さからして男性だろうか?とても美人だった。
目をキラキラ輝かせており、口角はにっこり上がっている。まるで新しいおもちゃをもらっま子供の様な無邪気な表情をしていた。
『過去から来た‥?』
全員が首を横に傾げている様子を見た青年は、大きな瞳をさらに大きく広げて、全員を観察した。
『質問を変えよう。ここは、西暦2525年の日本東京都の新宿区にある警察署だ。』
『2525年‥!?』
『君たちの身分証を見せてもらったよ。2025年の日本に住んでいた人間ということで間違いないね?』
全員が目を見開いて、驚きを隠せない。
頬には今日何度目かわからない冷や汗が流れた。
『ほな‥ここは未来の日本っていうこと?』
『そうなるね。』
『あんたは、誰や?』
『僕はただのITエンジニア。名前は、李人。これから君たちの保護観察人だ。よろしくね。』
そういうと、李人は笑顔で鉄格子越しに僕たち手を振っている。それは対照的に横にいるクマ大男が僕たちを恐ろしい目つきで見下ろしていた。