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やがて、他スタジオの楽屋に入るやいなや、
がくっ…!
と、私がレトロにもズッコケてしまったのは、
「お待ちしておりました〜、裕一郎さん〜」
うん、またも史都が登場。しかも言葉通り、先に来て待ち受けていたからだ。
「あいや、史都。どうやって、ここが分かったんだ。まったく」
いちいち言って出た覚えもないし…さらに、また買収でもして、当スタジオの警備をも突破したのだろうか。
とか思いながら私は、やはり畳張りの個室の中、リリィ入りのケースを後ろへ置き置き卓に着いた。
「で〜、こちら夕食をお持ちしました〜」
かたや、卓を挟んで私の向かい。いつもの振り袖姿でもって史都が、なにやら卓上の風呂敷包みを解き始める。
にしても、あの後『収録の時には、大体お弁当が出るから大丈夫』って言ったはずなんだけどなー。
まあ、別に困りはしないがね。
「とはいえ…こんなに食べられんわいっ」
そう、いまや卓上には、なんと5段ものお重が。んな、おせちかいっ。
「そうねー。私も食べられないしー…」
あちゃ、どうやってかリリィも、自らケースを開けて出てくるし…もうメチャクチャだわい。
なになに、ファスナーが少し開いていたから、その隙間から手を、ね。なるほど。
ま、それはいいとして、なんだかんだで私が、その極めて派手な弁当を食べ始めた時のことだ。
こんこんっ…
当室の扉をノックする音が響いた。
はて、スタッフさんが呼びに来たのかな。
でも、収録開始までには、まだ間があるはずだが…
「どうぞ〜っ…」
とにもかくにも、その辺をフツーにウロウロしているリリィを、慌てて隣の座椅子に着かせると共に私は、その扉の方へ向かって声を張った。




