胸騒ぎの理由
「さあ、みんなっ。『ゴン読む』の時間だよっ」
はいっ、本日もまた権田原15の冠番組、『ゴンダワラって読むんだよ』の収録がスタート。
「私、司会のゼロと…きょうもカワイイ、ゴンちゃんたちですっ」
すると、衣装こそ新調されたものの、これまたいつもの調子。いえ〜いっ…ってな具合で、メンバ一皆が皆、カメラに向かって愛嬌を振りまきにまきまくる。
「さて、さっそくイッてみましょう。では、本日の企画を…リリィ、お願いします」
そこで、例の如くリリィを膝に。やはり例によって、腹話術で発表…と思ったら、
『はいっ、きょうの企画は…はうっ』
いきなり勝手に喋り出すリリィの口を、慌てて塞ぐ私。
そう、実は今のは空の声。彼女(の霊)ときたら、きょうはまたこっちに憑依して、私について来たんだよ。やれやれ。
「しっかし、皆を驚かせたくないって、自分で言ってたクセに…」
こそりこそ…私が小声で言えば、
『うん、そうなんだけどー…でも、皆に会えたから、ついー』
同じく空も小声で返してくる。
そっか、嬉しかったのか。ま、いーか。一瞬だったし。
ん、なんだい、ゴンちゃんたち?
「なんかゼロさん、いまの声、凄いリアルだった」
どきっ…
「うんうん、本物の女の子みたいだったー」
どきどきっ…
「どうやって出したんですか〜」
どきどきどきっ…
うむ、こりゃ誤魔化さんといかんな。




