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「そ、そうそう…なら、史都には新しい服を買ってあげようじゃないか。いつも、その振り袖姿だし…」
人それを、買収や懐柔などと呼ぶ。
「え〜、本当ですか〜。裕一郎さん〜」
すでに空っぽの湯呑ふたつ(飲めないから、もともと空の分はナシ)が乗ったままの盆を、脇に置き置き史都が、空とは逆の隣に座ってくる。
いかな人形といえど、そこは女の子か。史都ってば嬉しそうだ。あえて言わずと、表情は変わらんけど。
「炊事洗濯家事親父(?)、いつも史都には世話になっているからね」
「ありがとうございます〜」
忍法ごまかしまやかしの術、どうやら成功。
「よかったね〜、史都ちゃん〜」
「はい〜、空さん〜」
私越しに視線を交わす2人、もとい2体。どっちも無表情なのが、ちと怖い。
にしても、相変わらず空も史都も同じような口調だから、いい加減ここらで区別した方がよさそうだな。
ということで私は、
「そもそもカラクリ人形の史都は口調を変えられんだろうから…空、君の方が、少し変化をつけておくれでないかい」
彼女に向かってリクエスト。
「あ、はい〜、分かりました〜。ならば、これから私は、こういう風にしますー」
快諾。これ以降、空の方は語尾を「ー」と、直線的に伸ばす事に決まった。
で、その間にも検索を怠らぬ私。
そして…




