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『…ソレハ…コノアタリヲタダヨウレイタチガ…』


 うわっ、なんか女のそれに違いなき声が、どこからか急に!


『…アナタノシュゴレイデアルワタシヘノヨキタイグウヲウラヤミ、コノキンジョノアキチニステラレテイタニンギョウタチニヒョウイシテ、ココヘヤッテキタノデス』


 訳(1行目含む):それは、この辺りを漂う霊たちが、あなたの守護霊である私への良き待遇を羨み、この近所の空き地に捨てられていた人形たちに憑依して、ここへやって来たのです。


 たどたどしい話し方。なんだか、新鷹霊幻先生みたいなことを宣うその声は、と…!?


 し、信じられん。それは、この居間の片隅に置いてある、古いCDラジカセのスピーカーから発せられているようだ…って、あなたの守護霊(・・・・・・・)ということは?


「うわっ…!?」

 

 なんと、いまのいままで、そこの卓(の上座)にあったはずのヒミコが…そのヒミコが、いつの間にやら私と史都のすぐ側に立っているではないかっ。


「ななな、どうなってるんだ…」 


 先に『さほどでもない』とか言っておきながら、思わず後退る私。だが、自身も動く人形であるせいか、史都は冷静だ。


「霊幻先生様の仰る通り、今まさに裕一郎さんの守護霊様が、このヒミコさんに憑依しているのではないでしょうか〜」


『私は自分で喋る事が出来ないので、あのラジカセのスピーカーを媒体として、あなたに話しかけています』(時短(・・)の為、あらかじめ訳文にした)


 いまだセーラー服姿。その声と同じく、たどたどしい身振り手振りで、ヒミコが私に説明してくれた。


 んな喋れんでも、こうして動けるだけで十分だわい。


 うむ、やはり霊幻先生の言う通り、私の守護霊がヒミコを動かしていたことが、これで証明されたようだ。


「ならば、いまのこの状況はどうしたらいいのでしょうか、守護霊さん」


 なおガラス戸を叩き続ける人形たちを脇目に、私はヒミコに尋ねてみた。


『あの人形たちを中へ入れてあげてください。私が話し合ってみます』


 とのことだが…


 いやはや、なんだか妙な展開になってきてしまったようだな。




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