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3-44話帝王領域(エンペラー)その2

「うおおおっ!!間に合えぇ!!」

 清虎はハンドルを目一杯切って迫る巨大な車の下に自分の車を滑り込ませてなんとか躱した。

「はぁ…はぁ…、し、死ぬかと思った」

「あ、危ねぇ〜…!この時間帯は帰宅ラッシュで交通量多いし、次が来ないうちに路肩に避難したほうがよくないっすか?このまま道路の真ん中に居たらマジで死んじまうっすよ」

「…さて、どうにか避難できたが、どうしたものか…」

「どうにかしようにも、敵がどこにいるのかすらわかんないんじゃなぁ…」

「そもそも、俺達は何でこんな目にあってんだよ?」

侃士の疑問を清虎は無視して車を路肩に寄せて一息ついたところで、急に車が何者かに持ち上げられた。どうやら通りがかった子供がおもちゃと勘違いして拾ったらしい。

「ママ見てー!おもちゃ落ちてた!」

「カズくんだめでしょそんなの拾っちゃ!ばっちいから置いときなさい。マック行くよ」

「はーい!」

子供は手に持った車を投げ捨て、母親について行く。

「なっ、クソガキめ投げやがった!!」

「し、死ぬ!!」

「子供にも簡単に持ち上げられる重量なら!『エアマスター』!!」

車が地面に叩きつけられる直前、空気を固めてクッションを作り、衝撃を殺してどうにか無事に着地することができた。

「…あのガキ、顔覚えたからな…!」

「あの子はただおもちゃと勘違いしただけですし、無事だったんですからそういうのはやめましょうよ先生」

「大人気ないっすよ先生」

「うるさい!お前は黙ってろ!!」

「それよりこのまま車内に居るよりも外に出たほうが良いかもな。また同じ目にあうのは勘弁っすよ」

「…それもそうか」

「この能力の射程距離がどれくらいあんのか知らねーけど、近くにいるならほかとは違う動きをしてるはず…」

四人は車を降りて辺りを見渡してみたけれど、特に変わった動きをしている人はいない。

「…居ないね」

「敵は吉良会長の『マッド・クイーン』みたいに相当遠距離から攻撃出来る能力ってことか?そうなら今のこの状況で敵を直接叩いて能力解除するのはかなりキツい…。しかも、遠距離から俺達だけをピンポイントで攻撃出来る厄介な相手だ」

 突然、四人の頭上に影が出来、見上げた侃士が叫んだ。

「お、おい!!皆逃げろ!踏み潰されるぞ!!」

侃士の声に反応して上を見上げると、四人の頭上に何者かの靴底が迫って来ていた。

「うわ!マジか!!」

「うわああぁ!!」

四人は咄嗟に躱したが、清虎の車はその靴に踏み潰されてスクラップになってしまった。

「ああっ!なんてことをするんだ!!まだ納車したばかりなんだぞ!!」

清虎の車を踏み潰したのは、学ラン姿の少年だった。彼は車に気付かずに潰してしまったというよりも明らかに故意に踏み潰した。

「チッ、また逃げたか…。さっきの車か子供にやられてくれればわざわざ俺自ら潰さなくてもよかったのに。虫とか潰した感触って嫌なんだよなぁ。人はもっと嫌だろうなぁ…。でもトモダチの頼みは断れないよなぁ」

「な、何!?こんなに近くに!」

「ぼく達はこれまで敵の能力が遠距離型だと思い込んでいたから気付かなかった!灯台下暗しってやつか…!こいつはずっとぼく達について来ていたのか」

「君達の中に藤堂清虎って居るよな?さっきマックで話してるのをたまたま聞いたよ。洋貴君の頼みでその藤堂清虎ってやつを始末しなきゃいけないんだ。俺はそんな事したいわけじゃないけど、頼まれたから仕方ないんだ。小さくて誰が誰だかわかんないから、全員まとめてやっちゃうか。藤堂清虎と一緒に居るやつもその仲間ってことで」

「誰だ洋貴って?」

「その制服、北工業の制服だな…何者だてめー!?」

「フフフ…良いだろう答えてやるよ。どうせ死んじゃうんだからな。俺は北工業高校2年、立花帝敬たちばなきみひろ16歳。もうわかってると思うが、君達が小さくなってるのは我が『帝王領域エンペラー』の能力によるものさ。領域内の対象を小さく出来る。それに伴ってスピード、パワーもそのサイズ相応になってしまうのさ。射程範囲は半径15メートルとあまり広くないが、小さくなっている君達には実際の何倍もの距離に感じるだろう?つまりもうこの領域から生きて出ることは出来んということだ!!ハハハ!!」















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