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3-42話藤堂清虎の幼馴染その2

思い出に浸ってねーなーと思ったので、サブタイトルを変更しました。

「そういえば先生、車の免許なんて持ってたんですね」

「東京からこの街に引っ越してくる前に取ったんだ。田舎で生活するなら車は必要だからね」

 清虎が運転する車で二、三十分ほど移動し、目的地に着いた。車を路肩に停めて、降りると清虎は辺りを見渡しながら歩き出した。恵一もそれについて行く。

「住所はこの辺りのはずなんだが…。恵一君、今更になって言うのは本当に申し訳ないと思うんだが、実は君を今回誘ったのはただ昔の思い出に浸りたくなったってだけじゃないんだ。これから話すことが君を誘った本当の理由だ。ぼくがこの街に引っ越して来た本当の理由と言ってもいい」

近くにあった自販機で二人分のジュースを買って歩きながら清虎は恵一に今回連れてきたもう一つの理由を話し始めた。

「ぼくには当時家族ぐるみで付き合いがあった幼馴染が居たんだ。名前は長宗我部洋貴。彼はこの辺に住んでいてね。ぼくの2つ下だから、恵一君の2つ上になるのかな?…生きていればね」

「生きていれば?それって…」

「3年前から彼は行方不明になっているんだ。当時は新聞にも載って全国ニュースにもなっている」

「そのニュースなら知ってますよ。今も手がかり一つ見つかってないって…その幼馴染の手がかりを探しに来たんですか?」

「そう。行方不明と言うか、忽然と消えたんだ。入院中に色々調べたんだが、昔この街で行方不明事件が多発していたらしい。その被害者は今も見つかっていないとか。“神隠し”なんて呼ばれて、オカルト好きが県の内外からよく訪れていたようだね。もっとも今ではそんな事件はなくなったそうだが…」

“神隠し”の事なら恵一も聞いたことがある。確か侃士の兄、前田将吾も言っていた気がする。ふと清虎は少し古い大きな一軒家の前で立ち止まる。その家の表札には長宗我部と書かれていた。この家が行方不明の幼馴染の家らしい。

「それで幼馴染の家族に話を聞きに来たんですか?」

「…まぁ、そう言うことだよ。三年もの間行方不明だし、もうこの世にいないのはわかってるが、手がかりの一つでも見つかればその事実を受け入れられると思ってね。恵一君は少しの間待っててくれ」

 インターホンを押すと、程なくして四十〜五十代くらいの女性が姿を見せた。

「は〜い…あなた、もしかして清虎君!?」

「お久しぶりです…」

「あら〜、しばらく見ないうちに立派になって!え、どうしたの急に!?」

久しぶりに会った長宗我部洋貴の母親は行方不明の息子の事はもう既に割り切っているのか、それともただの痩せ我慢か、とにかく元気な様子だ。清虎は予想外の彼女の元気な姿に驚きながらもどうにか顔には出さずに会話を続ける。

「実は少し前に東京からぼく一人でこの街に引っ越して来まして。ご挨拶をと…」

「あらそうなの!?そうだ、洋貴居るけど久しぶりに会っていく?少し前に学校から帰ってきたとこなの」

「…え!?」

 突然、信じられない言葉が飛び出した。三年前から行方不明の長宗我部洋貴が今家に居るというのだ。彼女が元気な理由は息子の死を受け入れてそれを乗り越えたからでも、痩せ我慢でもない。今実際に息子が居るからだったのだ。それも行方不明だった人が見つかったとか、そう言う感じではない。そもそも最初から行方不明などなかったような、ずっと一緒に住んでいるかのような、それがいつも通りの日常だと言うような感じだ。

(バカな…!?三年前から今現在まで手がかり一つ見つかっていない人間が生きて戻って来ているだと!?本来なら喜ぶべきところなんだろうが、何かがおかしい!)

清虎の直感がうるさいほどに洋貴と会ってはいけない、直ぐにここを立ち去るべきだと告げていた。

「い、いえ…今日はご挨拶に伺っただけなので、また改めて。それじゃあ失礼します」

清虎は挨拶もそこそこに逃げるように長宗我部家を後にした。

「あ、先生。どうでした?」

「直ぐに帰るぞ、恵一君!」

「どうしたんですいきなり!?」

「理由は後で話す。早く車まで戻るんだ!」

二人は来た道を慌てて引き返し車まで戻ると、直ぐに発車させてその場を離れる。

「先生、一体何があったんですか?」

「長宗我部洋貴が生きていた…!実際にこの目で見た訳では無いし、何言ってるのかわからんだろうが長宗我部洋貴の母親がたしかにそう言った」

「えっ!?で、でも、それは良いことなんじゃ…?」

「入院中にこの事件についての記事やニュースは全て調べたが、彼が見つかったなんて記事は一つもなかった。普通行方不明者が見つかれば少しはニュースになるはずだろ?とにかく異常なんだよ!」

「ま、まさか…能力者が関係してるんですか!?」

「わからんが、十分にあり得るな…。ぼくがこの街を離れていた十五年の間に何かが起きた。或いは今も起きている。とにかく今日はもう帰ろう。そういえばマックを奢る約束だったな」

 清虎と恵一が帰った後、長宗我部家。

「母さん、誰か来てたの?」

二階に続く階段から降りてきた洋貴は母親に尋ねた。

「今ね、清虎君が来てたのよ。急いで帰っちゃったけど。ほら、昔近所に住んでた藤堂さんのとこの。洋貴よく一緒に遊んでたでしょ?東京からまたこの街に引っ越して来たみたいよ。洋貴が居るって言ったら何だか知らないけど凄くびっくりしてたわ」

「…そっか」

(長宗我部洋貴…県外にも知り合いがいたのか。どうする…いや、三年かけてようやく長宗我部洋貴として溶け込めたのに、ここまで来てまた最初からやり直すのは面倒だし、リスクが高い。決して戦うために来た訳では無いが…仕方ない。藤堂清虎を始末するしかない!)

洋貴は再び階段を上がって二階の部屋へと戻った。そしてメッセージアプリを開いてグループチャットにメッセージを書き込む。














 






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