表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/139

3-37話フラッシュその8

「ヤロウドモ、イッキニキメルゼ!」

「「「イーハーッ!!!」」」

右足を負傷した竹中にサヴェージ達は矢を雨のように浴びせ、それに続いて近接武器を装備したもの達が突撃する。

「う、うおおおぉああぁ!!?」

(マズい!やるしかねぇ!『フラッシュ』非常用電力開放!!)

 竹中の体が電気の輝きを纒い身体能力が強化される。矢のように降り注ぐ矢を回避して襲いかかるサヴェージ達を消し炭に変えていく。

「…俺は、特別なんだぁ!!」

 竹中悟志30歳。東京生まれ東京育ち。彼は子供の頃から他人よりも特別優れたところのない所謂“モブ”というやつだった。どんなに頑張ってみても良くて人並み。何か一つでも極めて特別になりたかったが、その努力が報われることはなく、やがてそんな自分に絶望し努力することを辞めた。高校も取り敢えず楽に入れるレベルの学校を選んだ。それが彼の人生のターニングポイントだったのかもしれない。その高校は色々な事情で他の高校に入れずあぶれた者達が多く、そこにのこのこ入っていった竹中はそれらの標的となる。

 高校1年の春、クラスメイトからの暴力に耐えられなくなった竹中はクラスの中心的な生徒数名をカッターナイフで滅多斬りにして病院送りにし、その際止めに入った教師も斬りつけ、馬乗りになって殴るなどして怪我を負わせ早くも高校を中退。その後も気に入らないことがあるたびに問題を起こし、少年院に収容される。この時17歳。そして少年院での生活も1年が過ぎ、18歳のある夜、眠れずぼんやりと天井を見つめていると、ふと自分のベッドの傍らに男が立っていることに気づいた。一体いつからそこに居たのか、どうやってこの厳重に施錠された独房のような部屋の中に侵入してきたのか、それはわからない。だが確かに黒尽くめの影を人型に固めたような風貌の男がベッドの傍らに立ち、こちらを見下ろしていた。

「う、うわああ!!!だ、誰だ!?いつからそこに居る!?どうやって入ってきたんだ!?」

これまで数え切れないほどの問題を起こし、もはや自分には命以外に失うものはないし、怖れるものもないと思っていた竹中でもこれには流石にビビった。

「…竹中、悟志君だね?」

「だ、誰なんだよあんたは…!」

「そんなことは今はどうだっていいじゃないか。それより、ここから出たいとは思わないか?自由になりたいとは思わないか?」

「は?…ははっ、だったらなんだ?あんたがここから出してくれるっていうのかよ?どうやって入ってきたかは知らんけどな、出ようと思って簡単に出れるような場所じゃねーんだよ!」

「出られるさ。ただし、俺ではなく、君がやるんだよ。君自身に眠る力でやるんだ。俺はただその力を目覚めさせる手助けをするだけ…」

言いながら黒尽くめの男は手に持った“ディスク”を竹中の額に押し付ける。すると、額にその“ディスク”を挿入するスロットが出現し、ゆっくりと“ディスク”を飲み込んでいく。

「な、なにを言って…っぐ、うああああっ!!?」

瞬間、激しい頭痛に加えて、目でも回したかのように目の前の景色がグルグルと回り吐き気に襲われる。

「それに耐え切れたなら、こんな場所を飛び出して自由になれる力が手に入る。君だけの特別な才能だ」

男はそれだけ言い残し、部屋の分厚く硬い壁を暖簾でもくぐるかのようにすり抜けていった。

「う、うぐぅ…ま、待て…!」

竹中はあまりの苦痛に意識を手放した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ