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9話黒いストーカーその3

「ひぃ、はぁ、はぁ…」

(マズい!つい反射的に逃げ出してしまった!これじゃあ余計に怪しまれてしまう!でも仕方ないじゃないか、昨日伊弉波さんと一緒に居たパーマがこの辺で有名な不良と一緒にいたんだもん!!誰だって逃げるよ!)

 慧次と勇太郎から咄嗟に逃げてしまった黒縁メガネの男子生徒、黒田士郎。何故彼がこんなにも必死に逃げているのか、それは彼が今回のストーカー事件の犯人だからだ。

「待てコラ!だがあいつ足はあんまり速くないな。見た目の印象通りあんまり運動は得意じゃあないようだな!これならすぐに『マジック・ハンド』の射程距離まで追いつけるぜ」

「いや、そこまで近付く必要はない。俺をあいつの所まで思いっ切り投げてくれ!」

「は?」

「俺の『ペーパー・ムーン』の能力とお前の『マジック・ハンド』のパワーがあれば、十分出来るだろ?」

「成る程!」

『マジック・ハンド』の腕で慧次を掴む。

「よし、行くぜ!『ペーパー・ムーン』!!」

「行っけぇ!!」

『ペーパー・ムーン』の能力で自分の体にかかる重力を1/6にまで軽減した慧次の体は『マジック・ハンド』によって軽々と黒田の所まで飛んで行き、黒田を捕まえる。

「捕まえた!!」

「えぇっ!?空中を飛んできた!?何で!?」

「何で逃げるんすか?俺達は訳あってその顔の傷がどこでついたものなのか聞きたいだけです。何か俺たちには言えない理由でもあるんですか?」

「くっ、うぅ…!!」

突然黒田の姿がその場から消え、影も形も無くなった。

「き、消えた!?バカな!一瞬たりとも手を離したりしてねぇ、俺はちゃんと捕まえていたはずなのに!」

「クソ!どこ行きやがった!だがあいつ能力持ってたな。慧次、これで確定だぜ」

「あ、危なかった…まさか僕以外にも能力を持った人が居たなんて。今のうちにどこか人が来ない所に行かなくては、人が来ない所は…旧校舎!」

 慧次と勇太郎から逃げた黒田は一瞬にして校内に移動していた。旧校舎を目指してひた走る。息を切らせながらも何とか旧校舎に辿り着いた。

「はぁ、はぁ…着いた…。ここまで来れば、追ってこないはず」

「あれ?黒田君?こんなところで何してんの?」

「い、伊弉波さん…何で!?」

(嘘だろ、何でここに伊弉波さんが居るんだよ!?)

「その顔の傷、それにそんなに息を切らせてこんな所に来たってことは、成る程ね。黒田君、あなたがストーカーってことね。慧次に見つかって逃げてきたってとこかしら?」

黒田はまた逃げようとするが、足に何かが絡みついて盛大に転けてしまう。

「うげっ!な、何だ!?鎖!?何で床から!?」

更に壁や床から鎖分銅が伸び、黒田を拘束してしまう。

「あたしもあなたと同じように能力を持ってるのよ。名付けて、『ウェポンマスター』。床や壁のコンクリートの中にある鉄筋の鉄分を鎖分銅に変えたのよ」

(この学校どうなってんだよぉ!?何で僕以外にこんなに能力を持った人が沢山いるんだ!?ど、どうしよう!?…いや、もうやるしか無い!相手は女の子一人じゃないか!僕の『ブラック・ジェミニ』はパワーは無いけど、死角からの不意打ちならやれる!やるぞ、勇気を出して!)

黒田は伊弉波の背後の影から分身を出現させた。

「僕を拘束して勝った気でいるようだけど、僕の『ブラック・ジェミニ』は拘束されてようが関係なく使えるんだ!行け!」

伊弉波の背後から『ブラック・ジェミニ』が襲い掛かる。

「影からでてくるって分かった時点でどこから攻撃してくるのか丸わかりなのよ!」

「ぶはっ!!」

自身の鉄分から手甲を創り出し裏拳一閃。その一撃は背後から襲い掛かる『ブラック・ジェミニ』の顎を的確に捉えた。攻撃をモロに受けた事で『ブラック・ジェミニ』へのダメージを受け、黒田もノックダウン。

 放課後、慧次と勇太郎がオカルト同好会の部室に入ると、部室には伊弉波先輩と、ストーカー事件の犯人黒田が居た。朝よりも顔の傷が増えているような気がする。

「あ!テメェ、何でここに居るんだ!」

「ひいいぃぃ!」

「今日からオカルト同好会に入部した黒田士郎君よ。ストーカー事件の犯人だってことを公表しないことを条件にこの部活に入部してもらったから。部員が一人でも多く欲しかったし」

 こうしてストーカー事件は解決し、部員も一人増えた。正式な部活動昇格まであと一人。
























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