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3-32話フラッシュその3

「ククク…やっと我を忘れて寄って来た!バカが、射程距離のアドバンテージを自分から手放しやがって。まぁ、お前の得意な距離で戦ったって変わんねぇがな!」

「ぬかせこのボケ!!お前の得意な至近距離だろうがどこから来るかわかんねぇ攻撃は防ぎようがねーだろ!」

侃士は両手の肘から先を歪んだ空間の中に突っ込んで四方八方から竹中に拳を浴びせるが、竹中は涼しい顔でガードすらせず次々と捌いていく。

「俺の能力は身体能力を強化できる。身体能力が上がるってことはパワー、スピードだけじゃなく視力や反射神経も強化されるってことだ。それにその攻撃は前に一発も当たんなかっただろうが。忘れたのか?…いや、そうか、お前、それしか能がないんだな?頭が悪いとかは別として、それしかできないんだな?」

「うっ…!」

「はぁ…んだよつまんねーな。もういいよお前、終わりにしよう」

竹中の手が電気を帯びて眩く光る。その輝きは徐々に強くなっていく。

「お前の兄貴と同じように消し炭にしてやるよ!」

初めて遭遇した時と同じように人間離れしたスピードで肘から先をワープさせたままの無防備な侃士の懐に潜り込み、電気を帯びて眩くスパークする手を伸ばす。

「やば…!」

(まずい、速すぎる!)

しかしその手は侃士に触れる直前でなにか見えない壁に触れた。

「なんだ?このゴム風船のようにグニグニした壁は!?」

突然その壁に穴が開き、そこから空気が勢い良く噴出して竹中と侃士をそれぞれ後方に吹き飛ばす。

「な、何ぃ!?」

「うわぁ!?」

吹き飛ばされ地面に叩きつけられそうになった侃士を見えないクッションのようなものが受け止める。

「ふぅ…危機一髪だったな侃士。気になって見に来て良かったぜ。まさか竹中の野郎と遭遇してるとはな」

「隼人!?お前なんで来た!?」

 ほぼ同時刻、I市駅に向かうタクシー内。

「あ、そうだ。駅に向かう前に草薙霊園に寄ってもらってもいいかい?」

「え、草薙霊園ですか?ここからですとちょっと遠回りになりますが?」

「あぁ、構わないよ」

「わかりました」

運転手は何故急に草薙霊園に行くのか訊ねようと思ったが、なにか事情があるのだろうと思い特に何も聞かなかった。そして草薙霊園に向かって暫くした頃、その草薙霊園辺りが一瞬稲妻が走ったように光った。

「なんか光った!雷落ちたのか!?…いや、晴れてるし気のせいか?お客さん、今の見ました?」

「…いや、何も見えなかった。この辺でいいよ、降ろしてくれ。すまないがここで待っててもらってもいいかな?」

「え、えぇ…それは構いませんけど」

「とりあえずここまでの乗車賃渡しておくよ。すぐ戻る」

男性は草薙霊園近くの路肩にタクシーを停めさせ、一人草薙霊園へと向かう。車内に残された運転手は草薙霊園とそこに向かう男性の背中をぼーっと見ながら、やっぱり今の光は気のせいだと結論づけた。










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