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3-30話フラッシュその1

 I市の外れにある草薙霊園。ここには全国で指名手配中の脱獄犯、竹中悟志に殺害された侃士かんじの兄、前田将吾が埋葬されている。最近はほぼ毎日来ている。

「兄貴…あれから竹中の野郎は全然姿を見せやがらねぇ…。手がかりも何もねぇ!どうすりゃ良いのかなぁ?俺頭悪いからわかんねぇよ」

侃士はある日の放課後兄の眠る墓に手を合わせて問いかけてみるけれど、当然だが答えは返って来ない。

「…そりゃそうだよな。答えなんて返って来るわけないよなぁ…」

侃士は溜息を一つ。立ち上がって空を見上げると、今の侃士の気分を表したような曇天だった。S県は他の都道府県と比べるとカラッと晴れた日はあまり無く、どちらかと言えば今のように曇っている日や雨の日のほうが多い。どうでもいいことだが。

「…一雨来るかな?やべ、洗濯物取り込まないと。それじゃあ、また来るよ兄貴」

侃士は草薙霊園を出て急いで自分の住むアパートに帰る。その日の夜、侃士は中々寝付けないでいた。竹中を見つけ出して十二年前からの因縁に決着をつけたい思いとは裏腹に手がかりすら見つけることが出来ないことへのやり場のないイラつきからだ。

(…そう言えば今までこんなに悩んだ事なかったかもな。今までは兄貴について行けば上手くいったからなぁ…)

などと考えている内に侃士はいつの間にか眠りについていた。

−翌日、放課後−

 いつものように隼人、恵一、侃士の三人とこの間から隼人の部屋に住み始めた飛び級転入生織田アリスを加えた四人で学校からの帰り道。今日は珍しく雲一つない快晴。

「なぁ、どっか寄ってかないか?」

「僕はいいけど、侃士君は?」

「…」

「侃士?」

「…え?何?」

「これからどっか寄ってかない?って話をしてるんだけど」

「…あぁ、悪い、俺はいいや。じゃあな」

「そっか。じゃあね」

侃士は隼人達と別れて一人帰路についた。

「ノリの悪いアホですわね。せっかくお兄様が誘っているというのに」

「侃士君最近様子がおかしいよ。大丈夫かなぁ?」

「授業中はいつもだけど、ずっと上の空だよな。寝不足っぽいし」

「…お兄さんの事かな?」

「だろうな。ここまで何も進展なかったら焦る気持ちもわかるけど…。この前も清虎の野郎に聞きに行ってたみたいだしな」

「でも、僕らが聞きに行って何も知らなかったって侃士君には言ってたはずだよね?」

「わかってても自分で行動せずには居られないんだろ。俺等の事を信用してないとかじゃないと思うよ」

 隼人達と別れた侃士はぼーっと歩いている内に気がついたら草薙霊園まで来ていた。

「また無意識に来ちまったよ…。まぁいいや、拝んで帰るか」

兄将吾の墓の近くまで来ると、墓の前に誰か立っているのが見えた。

「…誰だあんた?」

「来たな。やっぱ運命ってやつなのかねぇ?俺だよ、覚えてない?」

侃士の問いに振り返ったその顔を忘れるはずがない。忘れられるはずがない。

「てめぇ…竹中!!」






やっとここまでこれました。

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