3-27話サヴェージ・ガーデンその7
カマキリ人形の両手の鎌が恵一に迫る。『ヘヴィ・リーパー』がその後から恵一を守るべく大鎌を振り回しながら追いかけるが、カマキリ人形に対してスピードが大きく劣る為、その大鎌は届くことはなく、恵一は無防備な状態である。
「ひいいぃっ!!」
(せっかく能力に目覚めて隼人君達の役に立てると思ってたのに、やっぱり駄目なのか僕は!)
カマキリ人形の鎌が恵一を切り裂かんと振り上げられる。思わず恵一は目を瞑った。しかし、いつまで経っても痛みが襲って来ることはない。
「あ、あれ?…あ!」
恵一が目を開けると、カマキリ人形の両手が松平が伸ばした糸に縛り上げられ、振り下ろせないでいた。更にその糸はカマキリ人形の四肢に絡み付き、体の自由を奪う。カマキリ人形は少しの間抵抗していたが、やがて電池が切れたように項垂れて動かなくなった。
「やれやれ、危なかったな恵一君」
「縛り上げてから急に動かなくなりましたけど、一体何をしたんですか?」
恵一の問に対して上杉が答える。
「『ストリングス』は縛り上げた相手の体の自由だけでなく、思考の自由までも奪う。そいつは今副会長の思いのままに操れる操り人形になってんのさ。相変わらず恐ろしい能力だぜ」
カマキリ人形を無力化し隼人達が一安心した時、木々を薙ぎ倒しながら巨大な人形が現れた。
「デイジーに続いてジュリエッタまでも…一人ずつ順番に始末していくつもりでしたのに、こんなに入ってきやがって…それにお兄様まで!もういいですわ!お兄様もこのカス共と一緒に殺す事に決めましたわ!剥製にして永遠にワタクシのものですわ!」
「な、何だぁ!?」
「おい見ろ、頭のとこ、誰か乗ってるぞ!中…小学生か?」
巨大人形の頭部はコクピットのようになっており、そこに金髪の少女が乗っている。その少女がこの人形を操縦しているらしい。
「あれは最近噂の飛び級転入生!」
「うるせぇボケェ!!ですわ!!」
巨大な人形の拳がカマキリ人形に打ち下ろされる。カマキリ人形はその攻撃を受けて原形を留めないほどに粉砕されてしまった。
「なんてパワーだよ…!」
「その声…まさかお前、アリス?アリスか!?」
「え、隼人君知り合いなの?」
「あいつは織田アリス。まぁ知り合いっていうか、幼馴染みだよ。親同士が仲良くてさ。まさか飛び級してくるとは…なぁ、アリスだろ?」
隼人が巨大人形に乗る少女に呼びかけると、人形の動きがピタリと止まった。
「やっぱり、アリスみたいだな。でもアリスは能力を持ってなかったはずだけど」
(…気づいてくれた、お兄様がようやくワタクシに…!でも今更気づいたところでもう殺す決定に変わりはないですわ!)
「甘い!甘いですわお兄様。ワタクシの両親が共に能力者であることをお忘れかしら?ならばその娘であるワタクシが能力に目覚めても何も不思議ではないでしょう?こうなったのもお兄様が悪いのです!ワタクシに何も言わずにこんな田舎の学校に進学して!飛び級までして追いかけても全く気づいてくれない!」
「同じ学校に来たんならお前の方から声かけてくれればよかっただろ?」
「…うるせぇですわ!こう言うのは相手の方から気づいてほしいという乙女心がお兄様にはわからないんですの!?てか金髪の飛び級生が自分の周りに居て全く気づかないなんてあります!?…でももういいですわ。これからはお兄様はワタクシのそばから離れることもなく永遠にワタクシだけのものですわ!」




