3-16話小説家がやって来たその1
ピンポーン
前田兄弟と脱獄犯竹中悟志との戦闘から2日が経ったある日、朝早くから隼人の住むアパートのインターホンが鳴った。
「う〜ん…」
ピンポーン
「…うるせぇなぁ、誰だよ?こんな朝早くから…うぇっ!?」
隼人はインターホンのカメラ越しに映った人物を確認して眠気が吹き飛ぶほど仰天した。その人物とは…
「はーやーとー君、学校行こうぜぇ!」
「な、お前、侃士!?え、何で俺んち知ってんだ!?」
その人物とは、先日隼人達と闘い、竹中悟志に無惨にも殺害されてしまった前田将吾の弟、前田侃士だった。
「何でって、俺もこのアパートに住むことになったからさ、しかしお前のじいちゃん気前良いよなぁ!一人になって何かと大変だろうって、このアパートに部屋用意してくれてよ、加えて家賃もタダなんだぜ?両親の遺産があると言っても、厳しかったからなぁ。やっぱ伊弉波グループの会長は違うよなぁ」
「このアパートに!?嘘だろ!?」
「マジマジ、この部屋の隣。これから毎日一緒に学校行こうぜぇ」
「と、隣!?マジか…マジなのか…」
隼人はなんだか朝早くからどっと疲れた。
「どした?」
因みに侃士のクラスは1年1組。隼人達の隣のクラスだった。同じクラスに友達が居ないのか侃士は登校だけでなく、昼休みや下校時も終礼が終わったらすぐに隼人達のクラスに来るようになった。そして更に1週間後。終礼が終わって放課後。
「恵一、今日は生徒会の仕事もないしどっか寄って帰ろうぜ」
「あ!俺も俺も!」
今日も侃士は終礼が終わってすぐに隼人達のクラスにやって来ている。
「ごめんね、今日は用事があるから僕は先に帰るよ」
恵一は急いで帰る準備をすると教室から出て行った。
「そっか、じゃあ俺らだけで帰るか」
「おう、でも恵一のやつあんなに急いでどこ行くんだ?…ま、まさか!」
「なんだよ、うるせぇなぁ」
「まさか、俺達に隠れて女子と会ってんじゃねぇだろうな!?」
「だったら何だよ?別に良いだろ」
「はぁ!?お前何とも思わねーのかよ!?俺はな、恵一の野郎が俺よりもモテるなんて納得いかねぇんだよ!」
「…侃士、お前がモテないのって、そういうとこなんじゃないの?そもそも本当に女子って決まったわけじゃないしな」
「だからそれを確かめに行くんだよ!お前も来い!」
「えぇ~、俺も?やだよ面倒くさい」
「…その話、聞かせてもらった」
隼人と侃士が教室の前で言い争っていると、二人の背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
「うわっ、びっくりした!!何してんすか、こんなとこで」
「え、誰?」
「私も一緒に行く」
その声の主は生徒会広報担当の3年伊達紅愛。
「伊達さんもこういう話題興味あるんすか?」
「ねぇ誰?」
「最近恵一君がいつも上の空なのが気になるからって明良に頼まれた」
「その会長はどうしたんです?」
「帰った。弟とゲームの通信対戦するって。私にしか頼めない仕事だって言ってた」
紅愛は頼まれて嬉しいのかドヤ顔である。
「いやそれ良いように使われてるだけなんじゃないすか?」
「おい隼人、誰だか分かんねぇがめっちゃ可愛いじゃん。正直すげー好みだ…じゃなくて!さっさとしないと恵一を見失っちまうぞ!」
「問題ないよ、見知らぬ人。こういうのは私が向いてる。魔眼解放」
紅愛は右眼の眼帯を取ると、真紅の眼を解放する。
「な、何だぁ!?」
「これは私の能力『真紅魔眼』。半径2kmの範囲にいる生物と私の右眼の視覚を共有出来る。後は…隼人君、スマホ出して」
「え、はい」
隼人が言われた通りにスマホを出すと、そのスマホの画面に昇降口辺りの映像が映った。その映像は何度か視点を切り替えて、学校から出て行く恵一を映し出した。
「後は右眼で共有した映像をスマホとかテレビとか、映像を映せるものに映し出して他人と共有出来る」
「す、すげぇ!これなら見失う心配はない!」
「どやさ」
3人は恵一を追う。




