3-14話前田兄弟その6
「ぅぐっ…ば、馬鹿な…!」
「ほう、まだ生きてたか、結構しぶといな。大したやつだよ君は。ふむ、そうだな、一応何故自殺に見せかけた殺人の動機を聞かせてもらおうか」
「…」
「おいおい、前田君、私は君に敬意を表したんだぞ?質問に答えてくれたって良いだろう?言わないと今度こそ君を殺してしまうかもなぁ?早く言えよ。ほら」
「くっ…」
「…はっ!?しまった、気を失ってたぜ…。って、兄貴!?てめぇ等俺の兄貴に何しやがんだコラ!!」
今まで気絶していた侃士が目を覚まし、将吾を助けるために向かって来る。明良はそれを一瞥すると、面倒くさそうに呟く。
「なんだ、まだいたのか。この件に絡んでいるのなら君も始末させてもらう」
『マッド・クイーン』が侃士に狙いを定める。
「やめろ侃士このバカ!!分かった、喋るよ!…あれは、今から12年前、俺が5歳、弟が3歳の頃だ。ある能力者によって、両親が殺されたのは。その能力者の名前は竹中悟志。今も全国で指名手配されてる連続殺人鬼だ。当時俺達の家は、父親の代で起業した会社の経営が調子よくて結構裕福な暮らしをしてたんだ。そこに奴が現れた。奴は金目の物と自分の退屈を埋めるために俺達の家を襲ったのさ!真昼間から堂々とな。俺と侃士は両親が命懸けで逃がしてくれたが、両親は竹中の能力、電撃で殺された。とても恐ろしいと同時に、とても憎いと思ったぜ。自分の退屈凌ぎのために平気で命を奪って他人の人生を狂わせる能力者ってやつがな!両親が死んで、祖父母の家に預けられている時に俺達も能力が発現したんだ。その時俺はこの能力を使って竹中を始め能力者達を始末してやると決意した!悪をもって悪を制すってやつだ。それから俺は能力について色々調べた。能力者ってのは、どういうわけだか無意識のうちに磁石のように引かれ合う存在だということ、そして以前騒がれていた神隠しの噂を始め、この街では昔から不思議なことがよくおこるらしいってことをつきとめて、能力者が絡んでいるかも知れないと思ってこの街に来た。実際思っていたより能力者が多くて驚いたぜ」
「竹中悟志…聞いたことあるよ。殺人や強盗を繰り返して一度は逮捕されたけど、12年前に刑務所を脱獄してから一度も捕まらないどころか、警察も手を付けられなくなってるって」
「あのさ、仇討ちとか言って今まであんたらがやってきたこともその竹中ってやつと変わんねぇぜ?」
「なんだとテメェ!!もっかい言ってみろコラァ!!」
隼人の指摘に侃士が激昂し掴みかかる。
「侃士!やめろって言ってんだろ!」
「で、でもよ、兄貴…!」
「…確かにそいつの言うとおりだ。どんな理由があったってやっちゃいけないことだっていうのはもちろん分かってるさ。でもな、それでも割り切れない気持ちってのがあんだよ!お前にそれがわかるか!?」
「…だからさ、もう関係ない能力者を殺すのをやめるって約束するなら、竹中ってやつ探すの手伝ってやってもいいぜ?」
「なに…!?」
「え!?ほ、ホントか!?」
「隼人君、本気なの!?」
「私はやらないぞ。弟との時間のほうが大切なんでね。それに、そいつはこの街に居るとは限らんのだろう?」
「あ、兄貴、そうしよう!こいつ等に協力してもらおうぜ!そうすりゃ、もしかしたら、案外すぐに見つかるかも知れねーな?もしかしたら、倒せるかも知れねーよな?」
「…ったく、お前は単純過ぎんだよ。大体、そんな口約束を信じられるわけねぇだろ。それに、一度も直接殺しをしてないお前はともかく、俺はもう引き返せねぇとこまで来ちまってんだ!もう戻れねぇんだよ!」
「あ、兄貴…!」
突然、明良は一度引っ込めた『マッド・クイーン』を再び喚びだし、身構える。
「どうかしたんすか?」
「おい、前田君、この件は本当に君達兄弟しか絡んでいないんだよな?そこに嘘はないよな?」
「あぁ、本当だ。それがどうした?…ま、まさか!?」
「え?なに!?どうしたんだよ兄貴!?」
「何者かが何処からかこちらの様子を覗っている。気を付けろ」
「え!?どこ!?」
「ここだよマヌケ!まずは1人!!」
「侃士!後ろだ!!」
「え?」




