3-12話前田兄弟その4
「何なんだよお前ら兄弟揃って!もう面倒くせぇ!『エアマスター』!!」
隼人は空気弾を指先から前田兄に放った。
(なんだ!?分からんが何か来る!)
「『トリック・ゾーン』」
「えっ?うぐっ!!?」
前田兄と恵一の隣りに居た隼人の位置が一瞬にして入れ替わり、前田兄に放った空気弾は隼人に直撃した。
「うわあああぁ!!?な、何で隼人君との位置が一瞬にして入れ替わったんだ!?」
「成る程、空気を固めて飛ばしたのか…。見えないわけだ。なぁ君、君は能力者じゃなさそうだな?今川隼人の友達かい?1つ聞きたいんだが、この街で今川隼人のような能力を持った奴を他に知らないか?この街に来てから6人始末したが、まだ居るのか知りたくてね。名前だけでいいよ。答えてくれたら君は見逃してやる。能力を持たないものに興味無いからな」
「…い、今、6人始末したって…こ、殺したってことですか…?」
「それがどうした?君には関係のないことだろう?ほら、さっさと言えよ。言えば君は助かるんだぜ?早くしないと、今川隼人が起き上がって来るだろうがよ」
「は、隼人君!見つけたよ!!こいつが謎の転落死の犯人だ!!」
「こいつ等…転落死の事を調べていたのか…!」
「恵一、離れろ!!」
隼人は空気弾を再び前田兄に放つ。
「馬鹿が。学習しないな、お前も」
前田兄は恵一と位置を入れ替えた。空気弾は恵一に命中し、勢い良く吹き飛ばす。
「うわあああぁ!!!!」
「さっさと言わないのが悪いんだ」
「この外道…!」
(人や物の位置を瞬時に入れ替える能力…こいつ、弟の侃士とはレベルが違い過ぎる!無敵じゃねぇかよ。弱点が全く見つからねぇ!射程距離がどれくらいあるか分かんねーが、今は恵一を出来るだけ遠くに逃がす!ごめんな恵一、かなり痛いと思うけど我慢してくれよ)
「うわあああぁ!!!ぐぇっ!!」
恵一は隼人の『エアマスター』の空気弾で30メートル程吹き飛ばされ、地面に叩き付けられた。
「…い、痛た…。初めて受けたけど、かなり痛いよ。そりゃ不良の先輩たちも気絶するよ…それより、相手が位置を一瞬にして入れ替える能力だって分かったのに、どうしてまたなんの工夫もなしに空気弾を撃ったんだろう?…隼人君のことだから何も考え無しってことはないと思うんだよなぁ…あ!僕と隼人君達の距離!まさか、隼人君は空気弾を撃てばあの人が能力で僕との位置を入れ替えると読んで撃ったのか!?僕を逃がすために!僕だって何か役に立ちたい!まともに闘ってもあの人には敵わないけど、何かないのか、僕に出来ること…」
“弟が暮らすこの街の平穏を守るためにも、放っておくことはできん。私の方でその犯人を探してみる”
「…あ、そうだ!吉良会長!会長も犯人を探すって言ってた!吉良会長ならこの状況をどうにかしてくれるかも知れない!」
恵一は明良に急いで電話をかける。数回コールした後、明良と繋がった。
“恵一君、どうした?何かあったのか?”
「会長、犯人見つけました!転落死の犯人!会長の睨んだ通り、能力者の仕業です!隼人君が今闘ってるんです!」
“恵一君、今どこにいる?”
「さんかく公園のすぐ近くです!早く来て下さい!!」




