3-11話前田兄弟その3
「まずは動けなくなる程度にボコボコにしてやるぜ!くらえ『トリック・ハンド』!!」
「何なんだよこいついきなり!?」
侃士は自分の目の前のブラックホールのような空間の歪みに両腕を突っ込んだ。
「な、なんだ!?何をしてるんだろう?気を付けて隼人君!」
「恵一、お前は下がってな!危ないぜ!…うぐっ!?」
「隼人君!?」
(な、なんだ!?何も無い空間からいきなり拳が飛んできた!)
「余所見してんじゃねぇよボケが、おらどんどん行くぜ!!」
「…この野郎!2度も食らうかよ!『エアマスター』!!」
隼人は自分の周りの空気を固めてバリアーを作る。ワープして飛んできた侃士の拳はそのバリアーに阻まれる。
「なんだ!?グニグニしてるぞ!?」
「残念。もうお前の拳は当たんねぇよ」
「…へへへ、当たるんだなこれが」
空気のバリアーに阻まれた侃士の拳は更に空間の歪みの中に消え、バリアーを越えて飛び出してきた。
「な!?うげっ!!」
「おらおらァ!!!!」
バリアーを越えて飛び出してきた拳は隼人の顔面を捉え、侃士は更に空気のバリアーを無視して拳を連続で叩き込む。
「うぐっ、がはっ!!」
「は、隼人君!!」
(ま、マズイよ!隼人君が手も足も出ないなんて!空間を飛び越える拳…どこから来るかわからない上に空気のバリアーを無視して攻撃出来るなんて、強すぎる!)
「おらおらァ!ほ〜ら、顔面がだんだん腫れ上がってきたぜぇ!!」
「く、くそっ…うぐっ!!」
(こ、このままじゃ隼人君がやられちゃうよ!な、何か弱点は?…あった!あるぞ弱点!)
「う、うわあああ!!!」
「あ?はぐっ!!?」
恵一は雄叫びを上げ、侃士に教科書が詰まったスクールバッグで殴りかかった。全力で振り抜いたスクールバッグは侃士の顎を打ち抜き、侃士は膝から崩れ落ちた。
「はぁ…はぁ…や、やった!」
「助かったぜ恵一。お前…勇気あんなぁ。能力者に立ち向かってくなんてよぉ」
「すごく怖かったけど、僕だってたまには役に立つところを見せたかったんだ。空間を飛び越える拳は確かにとても強力だけど、弱点もあるって気づいたんだ。彼は両腕を飛ばしてたから、自分のガードがガラ空きだと思って。完全に隼人君に気を取られて、僕のことは見てなかったみたいだしね」
「すげーよお前。ありがとな。しかし、こいつは結局何だったんだ?まぁいいや。帰ろうぜ恵一」
隼人と恵一が今度こそ帰ろうとした時、地面に倒れた侃士の前にまたいきなり同じ制服を着た男子生徒が現れた。
「…ったく、侃士、相変わらず学習しない馬鹿な弟だ」
「うぉっ!?なんだ!?急に現れやがったぞ!」
「弟が世話になったな。俺はここに倒れてる馬鹿の兄貴さ」
「…その兄貴がなんか用すか?弟の敵討ちっすか?言っとくが悪いのは先に仕掛けてきたこいつだぜ」
「敵討ち?違うな。こいつがこうなったのは、俺の忠告を聞かずに1人で勝手に突っ込んでいったからだ。この馬鹿の自業自得だよ」
「それが分かってんならさっさと帰らしてくれないっすかねぇ?」
「それは駄目だな。今川隼人、お前には死んでもらう」
「またこのパターンかよ!」




