3-10話前田兄弟その2
隼人が上杉を病院送りにしてから1週間が経ったある日の放課後、生徒会室にて。
「隼人君、最近謎の飛び降り自殺がこの街で多発してるって知ってる?ニュースでよく取り上げられてるんだけど」
「謎の飛び降り自殺?自殺に謎も何も無いだろ?」
「それがおかしいところがあって、その自殺した人達皆、自殺するような動機とかはなにもないらしいんだ。それに少し前まで東京とか都会でよく起きてたらしいんだけど、ここ数日の間にはこの街でしか起きてないんだよ。これってただの自殺ってわけじゃないんじゃないかな?」
「何が言いてぇんだよ恵一?」
「何者か真犯人がいるかもしれない」
「なに!?連続殺人ってことか!?その犯人がこの街に来てるってことか!?脅かすなよ、流石に怖いぜ。…でもよ、もしそうだとして、それは警察の仕事だな。その犯人が能力者じゃない以上、俺達に出番はねぇよ」
「いや、私達の出番かも知れない」
「吉良会長、どういうことですか?」
「私もこのニュースについては知っている。まずそもそも自殺なのかどうかということだが、恵一君の言うように最近この街だけで実に6件、同じような自殺があったそうだ。それも、4月に入ってから約3週間の間にだ。この短いスパンでの件数もそうだが、全員が転落死を選ぶというのも何かおかしい。自殺の手段なら他にも色々あるはずだろ?これは東京や都会の方で起きていたときも同じだったらしい。他にも手段がある中で皆がみんな転落死を選ぶかな?これは明らかに異常だよ。全員とはいかなくても、誰かに自殺に見せかけて殺されている人間はいるだろう。そして能力者かどうかということだが、これまでの転落死の場所の中にはビルなどの高い建物がない場所もある」
「高い建物がないって、どうやって転落死するんですか?死体を別の場所から持ってきたとか?」
「いや、警察の現場検証の結果、その死体は確実にそこで転落死しているんだ。もうどういう事か分かるね?」
「俺達と同じような能力を持った何者かが、この街で何人も人を殺しているってことすか!?」
「そういうことだ。弟が暮らすこの街の平穏を守るためにも、放っておくことはできん。私の方でその犯人を探してみるが、君達はむやみやたらに首を突っ込んだりはするな。この件は危険すぎる」
「まさかホントに能力者の仕業だったとは、つーかこの街には一体何人の能力者が居るんだ?恵一、もしここでばったりその犯人と出くわしたらどうする?」
「怖いこと言わないでよ!」
「ははっ、冗談だよ冗談」
「おいお前ら、今能力者って言ったか?言ったよなぁ?確かに聞いたぞ」
生徒会の仕事を終えて、隼人と恵一が2人で下校していると、いきなり隼人達と同じ東高校の制服を着た男子生徒が近づいて来た。
「あ?何だこいつ?知ってるか?恵一」
「僕も知らない」
「なんか面倒くさそうだし、行こうぜ。腹減ったから帰りにマック寄ってこうぜ」
「うん、いいよ」
「おい待てコラ!俺はこの前東京からこの学校に転校してきた1年の前田侃士だ。理由あって特殊な能力を持った奴を探してる。さっきお前ら能力者がどうとか言ってたよな?」
「最近の連続自殺が能力を持った奴の仕業かもしれないって話をしてたんだよ。お前こそ何で能力者なんて探してんだよ?」
「それは言えねぇ」
「あっそ。行こうぜ恵一」
「あ、コラ待て!まだ聞くことあんだよ!お前その派手な頭、もしかして1年2組の今川隼人だな?」
「だったら何だよ?」
「やっぱりな!お前のことは噂になってるぜ。入学早々2年の先輩をふっ飛ばしたとか、なんか不思議な力を持ってるとかってなあ。見つけたぜぇ、お前、能力者だろ?」
「だから、だったら何だってんだよ」
「能力を持つものには死んでもらうぜ!行くぞコラ!!」
「何だこいつ、頭おかしいぞ!」




