3-9話前田兄弟その1
「くそっ、何なんだよあいつ等!いきなり襲って来て、何が目的だ!?」
隼人が上杉を病院送りにしてから3日、I市在住の男、佐久間は街中で急に謎の2人組に襲われていた。因みに、彼は他の人にはない特殊能力を持っている。そのため、大抵の相手なら簡単に返り討ちに出来るのだが…、
「奴等、2人共俺と同じような能力を持ってるな…。なんとなく雰囲気でわかる」
佐久間は廃墟のビルに逃げ込み、身を隠した。
「…このまま近づいて来い…!そしたら俺の能力『スピットファイア』でドカンだ」
佐久間は手のひらサイズの球体を手の中に出現させ、2人組を待ち構える。程なくしてその2人組が廃墟に入って来た。
「おいコラ、いつまでも逃げ回ってんじゃねぇ!へっ、もう逃げ場はないぜ?観念しろコラァ!!」
2人組の内の1人が両腕の肘から先を空間が歪んでできたブラックホールのようなものの中に突っ込む。
「な、なんだ!?何やってる!?」
身構える佐久間の目の前の空間が歪んでそこから先程突っ込んだ両腕の肘から先が飛び出した。
「うっ、うごっ…!?」
その両腕は佐久間の鳩尾、こめかみと、的確に急所を捉えた。
「腕が、ワープした…!くっ、くそっ!」
佐久間は手の中に出現させていた球体をその人物に向かって投げる。
「腕をワープさせてる間は自分のことは防御出来ないだろ?『スピットファイア』を食らわせてやる!!吹っ飛びな!!」
「なっ、しまった!!」
「…ったく、侃士よぉ、油断すんなっていつも言ってんだろ?いい加減学習しろ」
佐久間が投げた球体がいきなり石ころにすり替わり、侃士と呼ばれた人物に当たる。当然ダメージはない。一方佐久間が投げた『スピットファイア』の球体は侃士とは離れた壁に当たり、爆発した。
「な、なに!?なんだ!?もう1人がなにかしたのか!?」
「うぉっ!すげー爆発、助かったぜ兄貴」
「侃士、お前はいつもそうだよなぁ、何度も何度も同じ事をよぉ。もういい、下がってな。あとは俺がやる」
「や、ヤバい!」
佐久間は直感的に危険を察知し、後方の階段を駆け登ってとにかく逃げる。その後を2人組が追ってくる。
「はぁ…はぁ…く、くそ…!屋上まで来てしまった。どうする…?」
「あんたの能力、凄く危険だな。これは、生かしてはおけんよなぁ」
2人組の内、兄貴と呼ばれていた男があらぬ方向に石ころを投げた。その石ころは屋上のフェンスを越えて、外に出る。
「あんたは既に俺の『トリック・ゾーン』の射程内に居る。もうおしまいだ」
それは一瞬の出来事だった。佐久間が気づいたときには、彼の体は投げられた石ころと入れ替わっており、屋上の外に投げ出されていた。
「なっ…!?」
「じゃあな」




