3-5マッド・クイーンその3
「うわあああぁ!!!」
隼人は放課後の校舎の中を大きな異形のハチから必死に逃げていた。背後からはその異形のハチとそれが発射するハチ型ミサイルが襲って来る。
「くそっ、どうする!?こいつを連れたまま生徒会室まで行くわけにもいかないし、誰の能力だ?近くに敵能力者がついてきているのは見えない、ってことは遠隔操作型か。敵能力者は何処か遠くに居て、こいつが自動で俺を襲ってきてるんだ!そう考えればさっきからただミサイルを発射しながら単純にあとをつけてくるしかしないのも納得だ。自動操縦だから単純な動きしか出来ないんだな。それならやりようがあるかも知れない!うおぁっ!!?」
ハチ型ミサイルが隼人の直ぐ側の壁に着弾し爆散する。隼人はその爆風に飛ばされ、おまけに飛散した壁の破片が弾丸のように隼人を襲った。
「うぐっ…!痛ってぇ…!!直撃したら怪我じゃ済まないかも知れない…!」
倒れた隼人に異形のハチが迫る。
「誰の能力だか知らないけどな、俺は生徒会室まで行って恵一を助けないといけないんだよ…!『エアマスター』!!」
迫る異形のハチを見えない空気の壁を大きな風船のように展開し、その中に閉じ込めた。異形のハチは見えない壁に気付かずに激突した。ミサイルを発射するが、壁に着弾し爆風で自身がダメージを受ける。
「よっしゃ、予想通り何も考えている感じはない!自動操縦だ!俺の『エアマスター』は射程距離約30メートル。壁に手こずってる間に撒かせてもらうぜ!」
一方、生徒会室では、
「紅愛、今川君の方はどうなっている?」
弟の写真鑑賞会を終えた吉良会長が眼帯の女子生徒に訊ねる。振り向いた眼帯の女子生徒は右眼の眼帯を外しており、その右眼の黒目の部分は真紅に染まっていた。
「まだ死んではないけど、時間の問題かも。PCに映して明良も見る?」
「あぁ、頼む」
「御意」
生徒会長の執務机に置かれたPCの画面に隼人の様子が窓の外から撮影しているかのように映し出された。吉良会長はその画面を恵一にも見えるように置き、隣に自分の椅子を持ってきて座った。
「な、なんだコレ!?映像が急に…!?」
「これは今紅愛が右眼で視ている映像だ。それをPCに映して共有している」
「え…!?」
(副会長も何か不思議な糸の力を持っていたけど、もしかして生徒会の人たち皆何かしらの能力を持ってるのか!?今川君といい、この学校だけで何人いるんだ!?)
その映像では、隼人がハチのような異形のバケモノに追われている。
「な、何ですかこれ!?何で学校にこんなバケモノが!?」
「これは私の能力、『マッド・クイーン』と名付けて呼んでいる。私にそんな気はないが、『マッド・クイーン』は遠隔操作できる代わりに自動操縦で私の意志では細かく操れないんだ。故に手加減も出来ない。場合によっては、病院送りくらいにはなるかもなぁ」
「何ですって!?何考えてんですか!?頭イカれてんですか!?」
「まぁ落ち着けよ恵一君。よくみてみたまえ」
恵一がまた画面を見ると、『マッド・クイーン』が自分のミサイル攻撃の爆風でダメージを受けていた。
「『マッド・クイーン』が自動操縦なのを逆手に取ったか。ふ〜ん、中々やる」
「僕にはもう何がなんだか、さっぱりわかりません」




