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2-29話突撃、町の外れの廃教会その2

 蒼介が『ワンダーランド』の中に閉じ込められた頃、樹利亜は自身の分身、『LOVEマシーン』を出し、辺りを警戒する。

「松永の他に敵がさっきの男だけなはずがないわ。きっとまだ何処かに潜んでいるはず。蒼ちゃんの事は心配だけれど、今は無事を信じるしかないわね。早く片付けて蒼ちゃんを助けに行かないと」

 教会の中へと一歩踏み出すと、扉がひとりでに閉じた。入口の正面にある大きなステンドグラスから差し込む陽の光だけを頼りに進んでいく。数歩進んだところで、礼拝堂に並べられた長椅子に女性がひとり座っていることに気付いた。歳は二十歳くらいだろうか。

「あなた、もしかしなくても松永のお仲間ね」

「そういうあなたはだぁれ?私は石田沙華。さんずいに少ないの沙に、画数が多い方の華。こう書いてさえかって読むの。素敵でしょう?短い間だけれど、よろしくね」

石田沙華と名乗る女性は、敵である樹利亜を目の前にしても身構えたりする素振りを一つも見せない。それが却って不気味だ。

「あなた、随分と余裕なのね?」

「私の攻撃は既に終わっているのよ。だからもう何をしても無意味なの。私があなたに対して身構えたりする事もすべて無意味」

樹利亜は突然の目眩に襲われ、よろめくが長椅子の背もたれに掴まり倒れることを拒否した。

「な、何を!?」

「あなたは既に私の能力『メガデス』の射程距離に入ってしまっているのよ。『メガデス』の殺人ウィルスに感染したものは十三秒で死に至る。まぁ、射程外に出てしまえばウィルスは死滅するけれどね」

(アタシの『LOVEマシーン』はあまり遠くには行けないタイプの能力、この女を倒すなら離れるわけにはいかないけど…迷ってる時間はないわね!)

樹利亜は石田に更に近づこうと足を踏み出した途端に激しく咳き込み倒れ込んでしまう。

「…!?ゲホッ、ゴホッゴホッ…!!」

「感染してからもう既に五秒は経ってるわ。それだけあなたは死に至る病に冒されている。つまりとっくに私を倒す力なんてなくなってるのよ。あなたのことはもっと知りたかったけど、さよならね」

 一方『ワンダーランド』内では襲い来るトランプ兵達に蒼介は苦戦を強いられていた。

「くっ、こいつら数が多すぎる」

トランプ兵を躱しながら蒼介は大谷めがけて階段を駆け上がる。

「直接俺を叩こうっていうのか?無駄だね」

トランプ兵達は一階の扉の中に次々に飛び込んでいき、次の瞬間二階に居る大谷の背後の扉から飛び出してきた。

「何!?ワープ!」

「『ワンダーランド』はこの俺のホームグラウンドさ。これくらいは朝飯前だよ。ほらまた包囲したぞ。トランプ兵、やれ!数で押し潰せ!!」







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