2-24話裏切り者奮闘記その3
(俺の能力『ザ・ファング』は水がなくては生きられない。しかし少しでも濡れていれば十分動ける。つまりこの雨の中逃げ場はどこにもねぇ!さっき鍵を俺の方に投げなかったのは俺まで届かないからだ。二十メートルも飛ばせないからだ!あらゆるものをロックする能力『ロック・スター』、その鍵が挿し込まれたら流石にヤバいからな。俺は油断しない、このままの距離を保って危なげなく始末させてもらう)
「行け、『ザ・ファング』!まずはその腕を噛み千切れ」
小さな水の鮫が素早く路面を泳いで丈志郎に襲いかかる。
「ギャース!!」
「相変わらず一定の距離を保ったままか。そこまで俺の鍵が届かないと思ってるな?油断しないと言ったそばから油断してんのに気づかねぇのかよ!『ロック・スター』!!」
丈志郎は鍵を自分の体に挿し込んだ。そしてその鍵を左に捻る。
「鍵を自分に!?なにやってんだお前!」
「俺の能力のことは把握した気になってるようだがな、鍵なら施錠だけじゃなく解錠出来るってことを忘れたのか!」
自身の身体能力リミッターを解除し、水野に鍵を飛ばす。鍵は水野まで一直線に飛んで行き、水野に命中する寸前でそれよりも速く戻って来ていた『ザ・ファング』に噛み砕かれてしまった。
「なるほど、今のは流石に驚いた。だがそれも『ザ・ファング』のスピードには敵わないようだな。お前は俺が油断していると言ったが、これは油断ではない。射程距離内にさえ居ればお前にわざわざ姿を晒さなくても始末できるのに出てきたのは何故か、それはたとえお前がどんな手を使おうと確実に始末できる確信があるからだ!そして今のでそれは証明された」
「くそっ!」
(ならこの隙に射程外まで距離を取る!)
丈志郎はリミッターを解除した身体能力で全力疾走。一気に『ザ・ファング』の射程外まで出ると、そのまま水野を撒いた。
「射程外に出たところで無駄だ。俺が伊弉波を狙っていることを知った以上、あいつの中には一旦距離を取ることはしてもこの俺から逃げるという選択肢は存在しない。そう遠くには行っていない。もしここで逃げるやつなら伊弉波に拾われてないだろうからな。さて、水で濡れている場所がまずいと知った人間が向かう場所はかなり限られてくる。天気予報も今日一日中雨の予報だし、慎重に狩らせてもらうぞ。奴が行くとしたら、この近くのショッピングモールかな?」




