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2-19話ロック・スターとアイスクリームその5

「うおおおお!!畜生!!」

丈志郎はいつの間にか手に持っていた大きめの鍵を凪の体に向けて飛ばすが凪は手甲を装着した右手で簡単に叩き落とした。

「無駄よ。諦めなさい…?」

鍵を叩き落とした凪の右手はそこから指一本動かせなくなっていた。

「…へへ、決まった。あらゆるものをロックまたはアンロックする、これが『ロック・スター』の能力だ。あんたの右手は固定ロックさせてもらった!」

「なるほど、この能力で氷の上でも自分の足をロックとアンロックを一瞬にして切り替えることで滑らずに全力疾走出来たってわけね。中々器用だわ」

「自分の状況分かってんのか!!?冷静に分析なんかしてんじゃねぇ!!…なめやがって、トドメ喰らえ!心臓の鼓動をロックする!!」

(まずい!)

「『パーフェクト・ブルー』!!」

『パーフェクト・ブルー』は地面に張った分厚い氷を叩き割り、その破片を丈志郎に投擲した。

「なっ…!?うげっ!!」

鋭く尖った氷の破片は丈志郎の背中に突き刺さり、手に持っていた鍵は消えて、同時に凪の固定された右手も開放された。

「助かったわ、蒼介」

「まだ終わってないよ義姉さん。こいつには聞かなければならないことがある。義姉さんは回収班を呼んでくれ」

蒼介はようやく丈志郎と凪の所まで辿り着き、丈志郎は首根っこを掴んで起き上がらせる。

「さて、君にはいくつか質問に答えてもらうぞ。ただし、君の態度次第では質問が拷問に変わるからな。まず最初の質問、その能力は君が元々持っていたものか?それとも誰かから与えられたものか答えてもらおう」

「…正直に答えれば、六華の安全は保証してくれるのか?」

「僕も鬼じゃない。約束するよ」

回収班への連絡を終えた凪も戻ってきたところで丈志郎は話し始めた。

「…俺の能力は自力で発現したものじゃない。ある男から与えられたものだ」

「貰ったのはあなただけなの?」

「六華は元々持ってたからな」

「ある男ってのは誰だ?そいつは何処にいる?」

「名前は松永天真。町の外れの廃教会に居る牧師風の男さ。風ってのは見てくれはそうだが、実際のところは本物の牧師かどうかはわからないんだ」

「松永…君はそいつについてどれだけ知ってる?」

「今話したこと以外の事は知らない。でも奴には何人か手下が居る。その手下が全部で何人居るのか知らないが、そいつ等は松永の“ディスク”を各地でばら撒いているんだ。ほ、本当だ!」

「あたしからも一つ良いかしら?あんた達、頼まれたって言ってたけど何でこんな事を?」

「…俺と六華は、とある児童養護施設で育った。児童養護施設ってのは、十八になって引き取り手がなきゃ出て行かなきゃならないんだが、俺は一応何とか高校までは卒業したものの、あんまり出来が良くなくてな。身寄りのない、ましてや出来の悪い奴なんて中々どこも採用してくれないのさ」

「…それで、“ディスク”に手を出して強盗もした、と」

「あぁ、それに六華もいたしな。…勘違いすんなよ?別に六華が悪いんじゃない。俺達が育った施設は六華を高校に通わせるだけの余裕が金銭的に無かった。六華は俺と違って勉強が出来たし、何より学校に通いたがってる。当時の俺はあんまり考えずに六華を連れて施設を出たのさ。なんだかんだ仕事も見つかって六華を学校に通わせてやれると思ったんだ。でも現実は甘くなかった」

「なるほどね…」

「君けっこう苦労しているんだな。僕も子供の頃施設に居たことがあるけど、伊弉波家に出会わなかったら君のようになっていたかも知れない。けどそんな事僕の知ったことじゃないけどね。義姉さん、もう良いかい?最後の質問だ。壁の中に潜る能力を持った奴について何か知ってるか?」

「い、いや、知らない」

「…そうか、知らないものは仕方がないか」

そう言いながら蒼介は丈志郎を壁際に連れて行く。

「蒼介、何を?」

「何って、こいつを餌に誘き寄せるんだよ。自分達の情報を喋ったものをあいつが見逃すはずがないからな。きっと今も何処かで僕達のことを見ていてこいつらを始末するタイミングを伺っているはずだ」

「な、なんだって!?」

「やめなさい!あんた正気!?」












もうすぐ2023年が終わるという事実にただただ恐怖している今日このごろです。

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