2-17話ロック・スターとアイスクリームその3
「ここかい義姉さん?金が消えたって銀行は」
「そう。当日の午前までは確実にあったことを確認しているのに、そこから金が消えるまでの事を誰も知らないそうよ。全員気が付いた時には金が無くなっていたって。監視カメラにも怪しいものは何も写ってなかった。おそらく能力者の仕業よ」
「次から次へと勘弁してくれよ…休日なのに」
宇喜多の墓参りの帰りに外食でもして帰ろうかと思っていた時、偶然通りかかった凪に捕まってしまい、蒼介は休日にも関わらず一緒に犯人探しに付き合っている。既に午後三時を過ぎているので、銀行は閉店している。
「…ダメ元で来てみたけど、やっぱり痕跡は何も無いわね」
「じゃあもう帰っていいですか?」
「おい見ろ六華。やっぱり来たなぁ、俺の言ったとおりだっただろ?」
「あ、あの人達がそうなの?」
「何、あなた達?悪いけど今忙しいのよね」
「…この二人、何処かで」
蒼介は目の前に現れた二人組に見覚えがあり、記憶を辿る。
「そうだ、イタリア料理店に居た二人組だ」
「なに蒼介、知り合い?」
「いや、この間行ったレストランでちょっと見かけただけだよ。全然知らない。興味もない」
「なぁあんたらさぁ、伊弉波の人だろ?別に恨みはないけどさぁ、俺達あんたらを始末するように言われてるんだ。そこの男の方はレストランで見た顔だなぁ。てことは、一緒に居た女とガチムチのオッサンも関係者か」
「蒼介、どうやらビンゴみたいね。探す手間が省けたわ」
「やりゃいいんでしょ、やりゃあ」
蒼介は分身『パーフェクト・ブルー』を出して臨戦態勢を取る。
「わぁ!あ、ああんちゃん、なんか怖いのが出てきたよ!」
「オメーはいちいちビビってんじゃねぇ!!見た目がどんだけ凄かろうが、俺達二人が負けるわけがねぇんだよ!お前の『アイスクリーム』で逆に震え上がらせてやれ」
六華は大きく息を吸い込むと、全力で叫んだ。
「あああああッ!!!!」
「うるさっ、な、なんだ!?」
次第に周囲の気温がどんどん下がっていき、地面が凍結し始めた。
「何!?」
「蒼介、地面から離れなさい!」
「離れるったってどうやって?」
「跳べっつってんのよ!」
見ると六華ともう一人を中心に分厚い氷が地面を這って来ていた。
「や、やばいッ!」
蒼介と凪は迫って来る氷をジャンプして躱したが着地した時にその氷で蒼介は滑ってしまう。
「ぅいッ!!何だと…!地面がスケートリンクみたいに…!」
「あ、あんちゃん、ごめんよ、かわされちゃった」
「いや、上出来だぜ。この足場じゃ奴等満足に動けないだろ。よしよし、やれば出来るじゃんかよ」
「うぇへへ…ほ、褒められちゃった」
「蒼介、早く立ちなさい。掌が氷に引っ付くわよ。手の皮ズル剥けになりたいの?」
「…何で義姉さんは滑ってないんだ」
「あたしは能力『ウェポンマスター』で靴の裏にスパイクつけたから」
「義姉さんだけズルいぞ!もしかして今回僕だけがカッコ悪い感じですか?」




