2-11話ラッキー・ボーイその6
「うぐっ…!!」
突撃してくる自動車に蒼介は『パーフェクト・ブルー』ごと撥ね飛ばされた。
「イヨッシ!!カッタ!!」
蒼介はそのままビルの壁に打ち付けられた。筈だが…。
「ナ、ナニ!?コイツ、ビルノ壁ヲ…!!」
蒼介はビルの壁に激突する瞬間、『パーフェクト・ブルー』で殴り、壁の一部を蔓状の植物に変え、それがクッションになって衝撃を和らげていた。
「…流石に危なかったよ。マジで死ぬかと思った。だがここまで強力になったということはかなり近いな。通ります、退いてください」
「頭から血が出てるじゃないか!きゅ、救急車!」
「…大丈夫です。急いでいるので」
「この壁どうなってるんだ!?一部だけ植物になってるぞ…何で!?」
「すげー!どうなってんの!?」
集まってくる野次馬を押しのけて蒼介はまた歩き出す。が、すぐになにもない所で躓いて転んでしまった。顔面からダイブしたので起き上がった時鼻血が垂れて右足首に鋭い痛みが走る。どうやら転んだ時に捻ったらしい。
「…」
「ヒヒヒ!顔面カラ無様ニコロンデ、カッコワルイゼソノスガタ。男前ガダイナシダナ!」
「おい、兄ちゃん、やっぱり大丈夫じゃないよ!救急車呼ぼう」
「…だから大丈夫だって、僕に近づくな!巻き込まれるぞ!!」
蒼介は心配する野次馬を押しのけてその場からなんとか離れる。
「ヒヒヒ!蒼介、オメーハオレヲ攻撃スルコトモデキネェシ、ダレカニタスケヲ求メルコトダッテデキヤシネェンダ!関係ナイ人間ヲ自分ノ不幸ニマキコンジマウカラナァ!ウプププ…ア〜、愉快愉快!!」
「くそ、少し黙ってろよ…!」
(頭がおかしくなりそうだ!確かに自分で無敵と言うだけあるな、かなりヤバい。…僕はこのまま宇喜多君の所まで辿り着けないんじゃないか?このまま近付いたら今度こそ死んでしまうんじゃないか?…いや、僕の平穏を取り戻すために何としてでも辿り着いてみせる!それにこいつはまだ茉希ちゃんに気付いていない。まだ後からついて来てる筈だ。辿り着けさえすれば、勝機はある!)
「…『ラッキー・ボーイ』のやつ遅いな、何やってんだ?蒼介はあいつの能力を持ってしてもここまで手こずるやつなのか?もちろん『ラッキー・ボーイ』の能力は信頼してるが、流石に遅すぎる。普通はこんなもんなのか?こんな経験ないから分かんねぇよ!自分から様子を見に行こうってのは、止めといたほうが良いのかなぁ…?」
宇喜多はカフェでゆっくりしながら『ラッキー・ボーイ』が戻って来るのを待っていたが、あまりにも遅いので次第に落ち着きがなくなってくる。そのうち座っていられなくなり、カフェの外に出た。落ち着きなくうろうろと周囲を歩き回っていると、足を引きずりながら男が一人歩いてくるのが見えた。
「…やっと見つけたぞ、宇喜多君…!」
「!?そ、蒼介…!」
ラッキー・ボーイの能力が欲しい。というか、苦労せずに金が欲しい。




