20話キラーズの戦場その1
「あのガキ…なんだこの敗北感は?試合に勝って勝負に負けたような最悪な気分だ。跡形もなく消し飛ばしたのに少しもスッキリしない。それにこのわたしの事を皆に伝えたとか言ってたな、おそらくそいつ等も能力者と見て間違い無いだろう。…マズい、人生最大のピンチだ!…しかし正体がバレたのならそいつ等も一人残らず消さなければな。落ち着け、こういう時こそ冷静に行動するんだ、わたしは何時だってそうしてピンチを乗り越えてきた!まずこれからわたしを追ってここに来るであろう奴等の顔をわたしは見ていない。顔が分からなければ『キラーズ』の自動追撃も使えない。ならば一旦ここでそいつ等を迎え撃つ!知らない奴等から逃げ回るのはかなりのストレスだからな、そのストレスを回避するためにも迎え撃つ。なに、まともに相手をしてやる必要はないんだ。最悪顔さえ確認できれば後は自動で何時でも消せるからな」
毛利は歩兵を二十体程展開。歩兵達はそれぞれ公園内に散っていく。毛利自身も身を隠しこれから自分を追って来るであろう存在を待つ。
「はぁ、やっと着いたぞ!…クソ、やっぱり黒田さんがどこにも居ねぇ!!それどころか神隠しの犯人も影も形も無いぞ!」
「やっぱりもうどっかに逃げちまったのか?」
慧次達はさんかく公園に到着した時には毛利は既に身を隠した後であり、元々花見の時期くらいしか人の集まらない公園だが、今現在公園内は人の姿が見当たらない。
(こいつ等か。ふむ、男女がそれぞれ二人ずつ。六、七人くらい居るかと思っていたが案外少ないな。こちらとしては都合がいいがね。さて、ここで一人くらい消しておくか…よし、決めた。行け、『キラーズ』!有無を言わせず先手必勝だ)
戦闘機は標的に向かって飛んで行く。
「まだ犯人はこの公園内に居る可能性はあるわね。もし黒田君があたし達に自分の正体を伝えた事を犯人が知っていたら、間違い無くあたし達も消そうとするはずよ。じゃなきゃ何年も殺人を犯しながら今までこの街で生活してないわ」
「ん?何かラジコンのようなものがこっちに向かって来ます」
「なんだ?戦闘機か?」
「…おい、なんか変だぞあのラジコン、最初からこっちに狙いでもつけてるように真っ直ぐに向かってくるぞ!なんかヤバい!」
戦闘機はいきなりミサイルを発射する。ミサイルは真っ直ぐに伊弉波に向かって飛んできた。
「ただのラジコンじゃあない!『ウェポンマスターフルクロス』!!」
一瞬にして全身にフルプレートアーマーを装着し大盾を装備するが、着弾したミサイルの威力は凄まじく、盾と鎧は砕け消し飛ぶことこそ無かったがその爆風で近くに居た慧次も数メートル飛ばされた。
「がっ…!!!」
「うわっ!!?い、伊弉波先輩!!嘘だろ、畜生!!!!」
(よし、まずは一人…)
「これが神隠しの正体…!」
「野郎ぉ!!」
勇太郎は『マジック・ハンド』で戦闘機を叩き落とす。戦闘機は『マジック・ハンド』の攻撃を受けて砕け散り、消えてしまった。
「ハッ、破壊力以外は大した事ねぇようだな!テメェの能力はぶっ潰したぜ、近くに居るんだろ?どこに隠れてやがんだ!?出て来いコラァ!!」
勇太郎は戦闘機の能力の主を探す。その時、公園内に植えられているツツジの植え込みがガサッと小さく音を立てた。
「そこかぁ!!もう逃げらんねぇぜ、ブチのめしてやる!!!」
ツツジの植え込みからスーツ姿の男が姿を表した。
「…」
勇太郎はその男に真っ直ぐに突っ込んで行く。
「自分から出て来るとはな、そんなにブチのめされてーんなら望み通りにしてやるぜ!!」
「待て、勇太郎!罠だ!!」
「うるせぇ!俺を止めるな慧次!丸腰の犯人がすぐそこに居るんだぜ!!」
「バカめ、見つかったのではなく、あえて見つけさせたのだ。戦闘機を破壊させたのも警戒を解いて向かってくるようにさせるためさ!もう逃げられないのは君たちの方だよ」
突然勇太郎の足元の地面が爆ぜた。
「うああっ!!?なに、じ、地雷!?」
「ひと目見たときから頭が悪そうだと思っていたが、本当にバカだな君は」
ツツジは植え込みから小さな兵隊がアサルトライフルを構えてゾロゾロと現れる。
「やれ、『キラーズ』」
地雷を踏んで身動きが取れなくなった勇太郎は兵隊達の一斉射撃を受けて体から鮮血が迸る。
「がはっ…」
「既にこの公園内はキラーズの戦場と化している。もう君たちはここから生きて出られんということだ」
「勇太郎君!!!!」
「この野郎!!!」




