16話エンカウントその1
ある日の土曜日、黒田は好きな漫画の新刊を買うためにさんかく公園近くの書店に訪れていた。
「この辺も気味の悪い事件が頻発してるとは思えない程平和だけど、それが逆に不気味だな。新刊も買えたし、さっさと部室に行こう」
今日は土曜日なので学校は休みだけれど、休みの日には慧次達が部室に集まってゲームをしている。それに黒田も誘われていた。書店から出て学校への近道になるのでさんかく公園を突っ切るルートで行くことにした。
さんかく公園を歩いていると、黒田の背後からラジコンサイズの戦闘機が飛んできて追い越して行った。
「何だ今の?ラジコン?でも周りには人は居ないし…気になる、ちょっとだけ追いかけてみよう」
黒田は戦闘機の後をついて行く。暫くすると戦闘機は公園で屯していた数人の不良たちの近くで飛行したまま動きを止め、いきなりミサイルを発射。不良たちは何が起きたのかも分からないまま消し飛んだ。そして戦闘機は周りの風景に溶け込むように消えて行った。
「なっ!?…え!?」
「…見てしまったね」
「ッ!!」
黒田の背後からサラリーマンがゆっくりと歩いて来る。黒田は直感でこの人物はヤバいと思った。だが逃げ出そうにも足が竦んでしまって動けない。
「しまったなぁ、誰も居ないと思ったんだが。もう衝動は収まったが見られてしまったものは仕方が無い。悪いが、君にも消えてもらうよ」
サラリーマンの目の前に先程の戦闘機が再び現れた。
「あ、あなたが、今のはあなたがやったんですか!?もしかしかて、これまでの行方不明事件の被害者達も、今みたいに…!」
「ん?君、もしやそのことについて調べていたのか?そう、全員ではないにしても、その殆どはわたしが消し飛ばしたってことになるかな。巷では神隠しだなんて言われてるらしいが、こんなにわたしにとって都合のいいことはない。その噂につられて各地からバカ共が集まってくるんだからね。そいつ等が消えれば噂は信憑性を増してもっと集まる。フフ、まさに入れ食い状態ってやつさ!」
「…やっぱり皆が睨んだ通り、能力者による犯行だったんだ…!」
「今、能力者と言ったのか?君もそうなのか?最近急によく出会うようになったな。そうだ、今は気分がいいので君に特別に色々教えてあげよう。どうせ消し飛ぶ運命だしな。わたしの名前は毛利彰。年齢三十二歳。ここから徒歩十分程のところにある窓辺商事で働いている。家族構成は妻と六歳になる息子が一人。息子は丁度今日が誕生日でね、だがそんな日に限って昼まで休日出勤だった。無能な上司のせいでね。だからといってイライラしたまま家に帰るのは良くない。ましてや家族に当たり散らすなんて最低だ、絶対にしたくない。そんな時は今みたいに人を消し飛ばすととても気分がスッキリしてストレス無く翌日の朝を迎えられるんだ。そしてこの戦闘機はわたしの能力『キラーズ』と呼んでいるんだが、ミサイルで人を跡形もなく消し飛ばす程の破壊力、更にはわたしが敵と認識したものを消し飛ばすまで自動で追撃してくれる。わたしにピッタリの能力さ。おっと、長くなってしまったね。それじゃあ、キレイにさよならしようか」
戦闘機は黒田に向かってミサイルを発射した。




