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4-9話アカシックレコードその4

 小西が『マグネティズム』の能力者を殴り飛ばした頃、壁を突き破った音が天道会本部奥の島津にも聞こえていた。

「…どうやら、敗けたようですね。会長、裏に車を用意させてます。早いとこディスクを回収してここを離れましょうや」

 部下が脱出を促すが、島津は少しも動こうとしない。

「…ええか三好、ワシら極道の世界はなぁ、ナメられたら終わりなんじゃ。一度ナメられると一生上には上がれん。落ちるだけや」

「は…!?」

「ワシは松永先生が姿を消してから、そう思うて今までこの道を突き進んできた。ここで無様に逃げる選択肢は最初からない」

「だからって、ここで死ぬつもりですか!?さっきのされた山内は会長だって凌ぐほどのウチの組きっての使い手や!それを上回る奴が来てんすよ!」

「…お前、最近ウチの組に入ったんだったか。今まで天道会の為にようやってくれた。すまんかったなぁ、お前だけでも逃げぇ。それがワシから家族としてお前にしてやれる最後の事や」

「…ふざけんな!!何カッコつけて一人で死のうとしとんねん!ダッセ、カッコついてへんし。一度落ちたからって何やねん!もう一度這い上がってやるってくらいの気概を見せんかい!ほら、行きますよ!ディスクを回収しに!会長の能力と『アカシックレコード』がありゃあ、何度だってやり直せるんや!」

「お前…」

「無様だろうが落ちぶれようが関係あらへん。家族に生きていてほしいのは当然でしょう」

「…そうか、そうやな。ほならディスク回収しに行こか!三好、ついて来い」

「押忍!」

 島津は三好と共に今居る場所よりも更に奥、『アカシックレコード』を回収する為立ち上がった。

「…ここや」

「ここに、『アカシックレコード』が…そうか。お疲れさん、島津会長」

 島津だけが知る『アカシックレコード』を保管した部屋に辿り着き『アカシックレコード』を取り出すなり、島津の背後から三好は拳銃を構え、島津に照準を合わせた。

「な!?三好…お前…!」

「三好なんて人物は最初から存在しない。俺の本当の名は明智次郎。俺の目的、『アカシックレコード』回収の為にあんたには消えてもらう。消えてもらうと言うことは、死んでもらうと言う事だ。あんたが死んでも、侵入者にやられたって事に出来るしな」

「最初からワシらを、天道会を騙しとったんか…!この落とし前は小指程度じゃあ済まされへんぞ」

「俺が騙していたんじゃない。あんたらが騙されていたんだ。…別にあんたを殺せって言われてないが、生かす理由もない」

 明智は躊躇いなく拳銃の引き金を引く。弾丸は島津に命中したが、身体がダイヤモンドと化した島津に弾かれ明後日の方向へ飛んでいく。

「アホかお前は、とてもワシの能力『アダマス』を知る者の取る手段とは思えんな」

「…雨垂れ石を穿つってことわざ知ってるか?」

「あ?」

「雨垂れが石を穿つって意味だ」

「こいつ、さっきからずっと同じことを…」

「そう、繰り返す…」

 弾丸が命中した島津の身体から弾丸を弾いた時と同じ甲高い音が連続して響く。

「な、なんや!?」

「繰り返す。これが俺の『オーバーアンドオーバーアゲイン』の能力。幾ら硬いダイヤモンドでも、何度も同じ力を加え続ければいずれは砕ける」

「…き、貴様ァ!!」

 島津は明智に襲いかかるが、その身体に小さなヒビが入り、そして貫通。

「がっ、は…!?」

「人生悪い事もあれば良い事もある。そして良い事もあれば悪い事もあるってことだ。『アカシックレコード』は頂いていく」

 明智は島津から『アカシックレコード』の束を奪い取ると、その場から立ち去る。

「もしもし、明智ですが。えぇ、無事に回収しました。はい、失礼します」









早く主人公達の話を書きたい

補足ですが、明智扮する三好が何故「『アカシックレコード』と会長の能力があれば何度だってやり直せるんや!」と言ったのかというと、それは島津会長の能力が自分の身体や触れたものをダイヤモンドに変えられる能力だからです。アカシックレコードで力を、会長の能力で金銭面を補えるからと言うことです。本編で抜けていました。申し訳ありません。

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