4-5話シャイニーガールその5
車のバッテリーの爆発はガソリンタンクに引火し、更に大きな爆発を起こす。
「これでいけたっしょ」
「いやもう、いけたと言うか…」
その爆炎に吐き出されるように人影が車から飛び出した。
「ぐぇっ…!」
「なるほど、中に入ってたってわけ。探す手間が省けてラッキー」
「旭、こいつの制服あたしらの学校の中等部のやつだ」
爆発した車から飛び出したのは旭の通う学校の中等部の女子生徒だった。
「子供の遊びにしちゃ度が過ぎてるよね。これは先輩としてひとつ厳しくしてやんないとなぁ?」
「ひぃ!」
旭が近づくと女子中学生も同じだけ後ずさる。
「自動ドアで挟まれたうちの左脚もすげー痣になっちゃってんじゃん。どうしてくれんの?ねぇ」
肉食獣が獲物をゆっくりと追い詰めるように近づく旭の迫力に完全にビビった女子中学生は震え目に涙を溜めながら更に後ずさるがすぐに壁際まで追い詰められて逃げ場を失った。
「ち、ちち違うんすよ!最近急に能力に目覚めて、この能力を使って色々遊んでるうちに『アカシックレコード』のことを知ったんすよ。そ、それで、その、欲が出たっていうか、能力もう一つ欲しいってなって、その、魔が差したんすよ!本気で車で轢いたりするつもりは無かったんすよ!もう二度としないっすから、許してください!お願いします!」
「嘘つけ!完全にあたしらのこと轢き殺す勢いだったろ!そんなんで許されたら警察いらねーっての!」
「う、嘘じゃないっす!本当なんですってば〜!!」
女子中学生はついに泣き出した。旭はそれを気にするでもなく手を伸ばせば届く距離にまで近づき、右手を振り上げる。
「ひ、ひぃぃ!!」
完全に殴られると思い目をつぶって歯を食いしばった女子中学生の頭に旭は手を乗せ少し乱暴にくしゃくしゃと撫でた。
「…え?」
「旭、なんで!?」
「うちも自分の身を守るためとは言え、かなりやり過ぎた自覚はあるし、これでノーサイドってことで。でも次はねーから。じゃね。響帰ろ」
「ちょっ、旭、良いのかよ!?待てって!」
「ねーねー響、さっき出てきたうちの能力の名前『ステイ・ゴールド』ってどう?」
「どう?って、旭がそれで良いならいいんじゃね?」
一人残された女子中学生は二人の姿が見えなくなってようやく、安堵の息を吐いた。
「…よ、よかったぁ…!」
翌日。四時限目の授業を終えて昼休みになった旭達の教室に両手にビニール袋を提げた訪問者が訪れた。
「君、中等部の生徒?なんで高等部の校舎にっ…!!?」
「退けよ男!」
教室のドアの前で訪問者と鉢合わせたサッカー部の戸川は訪問者の金的蹴りをまともに受けて崩れ落ちた。
「戸川ーっ!!」
「戸川の戸川がやられた!誰なんだあいつは!?」
「ん?おい、旭、あれって」
「あぁ、あの時の。お〜い、何してんの?」
訪問者は旭の声に気づくと、教室をとててっと走って寄ってきた。
「先輩方、昨日は本当に申し訳なかったっす!私中等部二年の朝倉真希奈っす!これ、昨日のお詫びに購買でジュースとかお菓子買ってきました。何が好きなのか分かんなかったんで大量になっちゃいましたけど、好きなの取ってください」
子分が出来た。




