13話オアシスその2
昼休み、慧次と勇太郎は屋上まで来ていた。昼休みになって片桐の周りに他クラスからも生徒が一斉に集まって来て質問攻めにしている隙に抜け出して来た。二人以外には誰も居ない。
「勇太郎、良いのかよ?せっかく片桐さんと仲良くなれるチャンスかもしれないのにこんなとこまで連れ出して」
「…それなんだけどさ、なんかヤベェよ、授業中も授業そっちのけでずっと俺の方じっと見てんだよ。瞬き一つもしねぇで、休み時間も必ず視界の端に居るし、嬉しいとか通り越して不気味だぜ」
「でも案内頼まれてんだろ?しかも本人のご指名で」
「それも慧次代わってくんねぇ?俺恐ろしくなってきた」
「え、良いの!?」
「勇太郎君、そこに居るんですか?」
「「!!」」
屋上の入口の扉の向こうから件の転校生、片桐クリスの声が聞こえる。
「や、ヤバい!どっか隠れる所は…!?」
「なにも隠れなくたって良いだろ?別にやましい事は無いんだし」
勇太郎は焦って辺りを見回すが身を隠せそうな場所はなかった。
「居るんですね?何故私から逃げるのですか?」
扉の向こうからドアノブをガチャガチャと捻る音が聞こえる。しかし鍵がかかっているので扉は開かない。
「…勇太郎君、この扉を開けて」
「おい勇太郎、開けたほうが良いんじゃないか?なんか可愛そうだよ」
「やめろ、絶対に開けんじゃねぇぞ!直感でヤバいって感じるんだよ!」
まだ扉の向こうではドアノブをガチャガチャやっていたが、急に静かになった。
「諦めてどっか行ったのか?」
勇太郎が安心しかけたその時、扉が吹き飛ばされて宙を舞った。その扉は慧次と勇太郎の目の前に落下した。
「な、なんだ!?」
「しゃらくせぇ!!居るならさっさと返事しろ!ボケ!!」
扉が吹き飛ばされた屋上の入口からクリスが屋上へと入ってくる。その手にはキャップを開けたペットボトルが握られていた。
「なんで返事してくれないの!?私がこんなに呼びかけているのに!!…もういいです。勇太郎君に手荒な真似はしたくなかったですが、力づくで思い出してもらうことにします。その前に部外者は消えなさい!」
クリスが手に持ったペットボトルから水が慧次に向かってレーザーのように勢い良く撃ち出された。慧次は咄嗟に目の前に落下した屋上の扉を能力で軽くし、盾にする。
「うおぉお!?なんだこの威力、これでこの扉を吹き飛ばしたのか!」
ペットボトルの中の水が切れて攻撃が止む。
「ふぅ…片桐さんも能力者かよ、何とか防ぎきったぜ」
慧次が安心したのも束の間、扉に弾かれて飛び散った水滴が慧次の口の中に物凄い勢いで侵入してきた。
「もがっ!?もごごぶくもが…!」
「言ったはずですよ、部外者は消えろと」
「慧次!!テメェ何やってんだ!!」




