3−68話虚構を打ち砕け!その1
「もう逃げらんねーっすよ。観念しろこの野郎!…恵一、会長を頼む」
桐生に追い付いた隼人はいつでも『エアマスター』の空気弾攻撃できるよう構える。明良に肩を貸す恵一も自身の能力『ヘヴィ・リーパー』を喚び出す。
「くっ…能力者同士は引かれ合う、か…。信じたくはないものだが…」
桐生もまた態勢を立て直し構える。
「そんなことはもうどうでもいいっすよ。この出会いが運命だろうが何だろうが、てめーを倒すだけだからよぉ!!」
隼人はピストルのように構えた指先から連続で桐生に空気弾を放った。連続で発射された空気弾は全て桐生をとらえる。
「ぶはっ…!!?」
吹き飛ばされた桐生は壁に激突し、力無く崩れ落ちた。
「命中!はっ、何だよ全然大したことねーなぁ!トドメくら…えっ!?」
隼人が桐生にトドメを刺そうと構えた時、桐生の身体が砂のように崩れ始めた。そして完全に消えてなくなる。
「何だ!?どこ行きやがった!」
「ぐぇっ…は…隼人…君…!」
「な、何!?恵一!」
恵一が肩を貸していた明良が恵一の肩にかけていた腕で恵一の首を絞め上げていた。
「見えない攻撃、面倒な能力だな。実際に受ける前に知れてよかった」
明良の姿が徐々にノイズが走ったように崩れて、桐生の姿になる。
「こいつ、会長じゃねぇ!くそっ、いつからだ!?」
(会長になってたってことは、会長は?まさか殺されちまったのか!?クソッ、今は考えても仕方ないか…!)
「てめぇ恵一を放せやコラァ!!」
隼人が桐生に対して再び構えると、桐生は恵一の首を絞める腕に更に力を込める。
「こいつを助けたいならやめておけ。お前の攻撃が俺に命中するより速くこいつの首をねじ切れるだけのパワーが俺にはある。ここに来るまでにボッキリと折れた電柱を見ただろう?それでも俺を攻撃しようというのか?」
「…チッ、この!」
「…隼人君、僕に構わないで…!触ってるから分かる、こいつは間違いなく本物だよ…!こいつを倒すチャンスなんだよ…!!」
「黙れ!こいつ、余計なことを喋りやがって!」
首を絞め続けられている恵一は徐々に顔色が悪くなってくる。口からは泡を吹き始めた。
「…け、恵一、お前…!」
恵一と桐生の背後に音も無く大鎌を持った半透明の死神のようなものが姿を現す。そしてその大鎌で恵一諸共斬りつけた。
「早く決めないとどの道こいつは死んでしまうぞ…っ!?お、重いっ…!?がはっ…!?」
桐生が恵一の首をロックした腕は斬りつけられ後ろへと倒れると同時に緩み、恵一と共に地面に仰向けに倒れた。その際の衝撃は『ヘヴィ・リーパー』の能力で重くされている為通常とは桁違いだ。更にそこに恵一の分の重量も加わっている。
「ぐぅっ……!!『ヘヴィ・リーパー』、もっとやれ!!ぼ、僕だって、隼人君の足を引っ張る為に居るんじゃないんだ…!!」
『ヘヴィ・リーパー』倒れた二人を更に連続で斬りつける。その度に二人の重量は加算されていき、桐生の身体はアスファルトにめり込んでいく。
「ぐあぁっ…こ、こいつ…!さっさと絞め殺すべきだった…!動けなくては、能力を使ったところで、抜け出せない…!」
恵一を絞め殺そうにも、アスファルトにめり込んだ腕は重すぎて指の一本すら動かせない。
「くっ…クソがぁ…!!」
「フフ…やっぱり思った通り、こうやって触れ続けていればその能力は封殺できる…!僕自身、このまま能力を使い続ければどこまで重くなるのか知らないけれど、僕かお前のどちらが長く耐えられるか…勝負だ!!」




