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3-64話始動その2

 清虎は隼人達との情報共有を終えて彼らの後に店を出て、駐輪場に停めていた自転車を出しながら空を見上げた。隼人達と待ち合わせるためにマックに来たときはやや雲がかかってはいたものの雨は降らなさそうだった空には雨雲が垂れ込んで辺りは薄暗く、時折小さく雷の音も聞こえてくる。今にも降り出しそうな天気だった。降られる前に帰ろうと清虎は急いで自転車を漕ぎ始めるが、無情にも雨はすぐに降り始めた。

「…最悪だ。だから自転車って嫌いなんだよ…ッ!?」

雨音に紛れて銃声が3度響き、背中に確かな衝撃を感じたと同時に清虎は自転車から崩れ落ちた。

「な…なに…!?」

何が起きたのか理解できなかった。清虎はゆっくりとした動きで背後を確認する。レインコートを着た警察官が自転車に跨って去って行くところだった。それを見て清虎はその警察官に背後から撃たれたのだと理解した。そして、その警察官が長宗我部洋貴に成り代っていたあいつだということも。それを理解した途端、激しい痛みとともに意識が遠のき始めた。清虎は痛みに耐えながら震える手でスマホを取り出し、先程情報共有をした中で唯一連絡先を知っている人物にコール。

「…う、あぁ…っ、恵一、君…!つ、伝えなくては…!」

しかしその相手が電話に出る前に清虎の意識は遠のいていった。

「うわっ、最悪だよ。降ってきた」

「傘持ってねーよ、俺」

一方その頃、清虎と先輩組と別れた隼人、恵一、アリスの3人は急な雨に打たれながら帰路についていた。恵一のポケットの中のスマホが着信を知らせる。

「あ、電話だ。…清虎先生?もしもし、どうしたんですか?清虎先生?もしもーし…!?なんだか騒がしい…救急車!?」

「どうした、恵一?」

「清虎先生から電話がかかってきたから出たけど、先生全然喋んないと思ったら周りが騒がしくなって救急車まで来てる。なんか救急隊員の人が必死に呼び掛けてるのも聞こえる」

「は?何言ってんだよ」

「僕にも分かんないけどさ、周りがすごくパニックになってるんだよ。もしかして清虎先生に何かあったんじゃ」

「救急隊員に呼び掛けられてるのがその小説家だって言いたいんですの?」

「…確かめに行ってみようぜ。別れてからそんなに経ってないし、店の近くにいるはずだ」

隼人達が清虎と別れたマックの近くまで来ると、そこは警察によって規制線が張られ、その周りには野次馬が集まって遠巻きに眺めている。

「な、なんだ!?ただ事じゃないぞ!?」

隼人は集まっていた野次馬を1人捕まえてこの状況を聞いてみる。

「なんかあったんすか?」

「俺もさっき来たばっかで詳しい事は知らないけど、ここで人が撃たれたんだと。今その現場を警察が調べてんだよ」

「う、撃たれたって、まさか…!」

「おい、その撃たれたって人はどうしたんだよ!?」

「俺も知らねーよ。救急車で運ばれてったんじゃないの?」

恵一は野次馬を押しのけ規制線の手前まで走り寄った。規制線の向こうには倒れた自転車と人の形に形作られた白い紐がアスファルトの上にあり、警察が実況見分をしているところだった。

「あっ!!この自転車、清虎先生のやつだ!」

「おい君、部外者が無闇に現場に近寄るんじゃない!離れなさい!」

規制線のギリギリまで近づいていた恵一に警察官が駆け寄り、引き離した。

「知り合いが撃たれたかもしれないんです!」

「いいから、離れて!」

「落ち着け恵一!すいませんでした、捜査の邪魔しちゃって。恵一、今日は帰ろう」

 翌日、隼人達は警察から軽く取り調べを受け、清虎は病院に搬送され一命こそ取り留めたが、未だ油断を許さない状況で面会も出来ないらしいと聞いた。



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