3−60話邂逅その1
「あの時は会わないほうがいいと思って咄嗟に逃げてしまったが、また来てしまった…。まぁどの道長宗我部洋貴が何故生きているのか、この街で何が起きているのか突き止めるつもりではあったし、今川隼人じゃないが、幼馴染に何か起きているというなら放っておけないからな」
龍造寺百華の『ハンドレッド』で侃士が火だるまになった頃、清虎はI市の北地区にある北工業高校の校門前に来ていた。自転車を歩道の脇に停めて、北工業の生徒達が出てくるのを長宗我部洋貴の昔の写真を見ながら眺めている。時々すれ違いざまに生徒達に怪しむような視線を浴びせられるが、清虎は「何見てんだよバカ共」という視線を逆にその生徒達に浴びせる。
「遅いな…入れ違いになってしまったか?15年も昔の写真とは言え、面影は残ってるはずだから見逃すってことは無いと思うんだが…」
このままここに居座っては自分を怪しんだ誰かに教師とかを呼ばれる危険があるので、清虎は仕方なく自転車に乗って学校を離れた。その足で長宗我部家に向かう。もしかしたら家にいるかも知れない。
「暑い…これだから自転車は嫌なんだ。これなら立花帝敬から記憶を全て抜き取って廃人にしてやればよかった。あぁ〜…思い出しただけでも腹立たしい…」
清虎は『帝王領域』の立花帝敬との戦闘の際に納車したばかりの車をスクラップにされている。そしてローンだけが残ったのだ。
イライラしながらも暫く自転車を漕いで長宗我部家の近くまで来た。空き地を通り過ぎた時、北工業の制服を着た男子生徒が横目で見えたので一旦止まってよく見てみる。学ランの襟元にⅢのバッジが付いているのが見えるので3年生だろう。
(長宗我部洋貴は確か恵一君の2つ上…3年生か)
そして写真とその男子生徒の顔を見比べてみる。
「…見つけた!面影がある!それに右眼の下の泣きぼくろ、間違いない!…なんだ?何をやってる?」
男子生徒はティッシュの箱から紙を数枚取り出し、それを食べ始めた。
「お、お前何やってんだ!?」
目の前で起きた衝撃的なシーンに清虎は思わずその男子生徒に声をかけてしまった。男子生徒がティッシュを飲み込みながら清虎の方に振り向く。
「…ん?あぁ、何って、ティッシュ食べてたんですよ。これを見るとみんな引いちゃうんでいつも見つからないように食べてるんですけど…見ちゃいましたね。まぁ見られたものはしょうがない。1枚どうです?これは一番気に入ってる鼻貴族。ほんのり甘くて美味しいんです。それでこれが水に流せるやつ。最近はこれの口どけの良さにもハマってるんです」
「…お前、長宗我部洋貴だな?まさかティッシュを食べるようになってたとは思わなかったが…。3年前何があったのかとか、お前には聞きたいことが沢山あるんだ。全て答えてもらうぞ」
「…そうか、貴方が藤堂清虎なんですね?まさか貴方から現れるとは。…何故この街に帰ってきたんだ。お前さえ帰って来なきゃ、全てが上手くいったのに…!」




