3-55話ハンドレッドその2
「…」
「百華、また変な頭の王子様のこと考えてんの?やめときなよ、七色の髪なんて絶対マトモな男じゃないって。てかそんなイカれたやつほんとに居るの?」
「は?マトモかどうかは実際に会って話してみないとわからないじゃない!って違くて、あ、あたしはただこの前のお礼をしてないからであって、別にそいつの事気になってなんてないから」
「あっそ。あんたって夢中になると熱を上げすぎるというか、周りが見えなくなる癖あるから気を付けなよ」
「だから違うってば!」
西女子高等学校1年の龍造寺百華はショッピングモールにて奇抜な頭の男子に怪我をしたところを助けられてから数日、怪我は幸い大事に至らずにすぐ良くなったが、以来彼の事を無意識のうちに考える事が多くなった。今も友達と学校からの帰り道、彼の事を考えていた。でもこれは決して恋とかそんなんではなく、あの時助けてくれた彼に対してお礼の一つも言えずに嫌な態度をとってしまったことを悔やんでいるからだ。せめてお礼くらいはしたいけれど彼は名前すら名乗らずに去っていった為、お礼をしようと探しても見つけられないでいた。手がかりになりそうなのは彼の頭だけだ。少し癖毛気味な髪を銀色に染め、更にその上から七色のメッシュを入れた奇抜な頭。その衝撃的な頭は一度見たら忘れられないだろう。そして彼は多分百華と同年代のはず。どこの学校かは知らないけれど、田舎の街だし、この手がかりを辿っていけば見つけられる気がする。
「百華!見つかったよ!イカれた王子様!」
翌日の放課後、帰る準備をしながら百華は学校でまた彼の事をぼーっと考えていると、友達が駆け込んできた。
「え?なに?」
「だから、あんたが探してるイカレ頭が見つかったって言ってんの!昨日変な頭した奴が東高の制服着て歩いてるところを見たって子がいてさぁ。てかそれで思い出したんだけど、少し前から東高に変な奴居るって噂になってたわ」
「ねぇそれどこで!?どこで見たって!!?」
「え?確かキサラギマートの近く…って、もう居ないし…」
百華は全速力でキサラギマートを目指して走った。学校の廊下を走っている時すれ違った教師に何か注意されたがそれでも走った。そしてキサラギマートの近くに辿り着くと、東高の制服を着た一団が見えた。そしてその中に一際目立つ奇抜な頭の男子が混じっていた。
「間違いない。彼だわ…!でも、他にも友達らしい人がいるし、あそこに急に出ていくのは恥ずかしい…。早く一人にならないかな」
百華は見つからないように隠れながら東高の一団について行く。
「そういえば俺この前ふりかけご飯食べようと思ったんだけど、ご飯の茶碗にラップしてんの気付かずにその上からふりかけかけちまってよぉ、初めてふりかけ失敗したよ」
「相変わらずバカだな侃士君」
「バカ丸出しですわ。そんなしょうもねぇ話を聞かされてワタクシたちにどうしろと」
「え?そういうことない?味噌汁ラップしたまま飲もうとしたりさぁ」
「そんなことより、マック寄ってこーぜ」
東高の一団は近くのハンバーガーショップに入っていく。百華もそれに続いて中に入った。
「はいお兄様、あ〜んですわ♡」
「こういうのはやめろって言ってんだろ!押し付けてくんなもがっ!!?」
「おい隼人てめー、家でもこういう事してもらってんのかよ!?あ?答えろコラ!」
「…な訳ねーだろ!アリスも追いポテトすんな!」
「いいなぁ…!俺は毎晩一人さみしい食卓だって言うのに、隣の部屋ではこうなんだもんなぁ」
「だから違うって!あ〜もうめんどくせー!」
賑やかな声を聞きながら少し離れた席で百華は様子をうかがう。よく考えてみたらわざわざ自分も中に入らなくてもいいと気付いたけれど、ポテトが食べたかったのだということにした。
「それにしても…あのバカそうなやつともう一人頼りなさそうなやつはどうでもいいけど、何なのよあの女は…!どういう関係なのよ…!」
隼人達が店を出た後もその後を追いかけてみると、頼りなさそうなやつは途中で別れたけれど、バカそうなやつと隼人と呼ばれていた奇抜な頭の彼にやけにベタベタとくっついている小学生(?)はいつまで経っても別れる気配がない。そしてとうとう彼が住んでいるであろうアパートまで来た。
「じゃーな侃士、また明日」
「おう、じゃーな」
どうやら彼らは隣同士らしい。それはどうでもいいのだが…。
「な、ななな…!!あのガキ、彼と同じ部屋に入ったわ!ごく自然に堂々と…!」




