11話神隠し
「ここか、ようやく見つけたぜ!オカルト同好会」
ある日、放課後に慧次達が部室に集まっていると、扉が勢いよく開いた。そして姿を現したのは肩からエレキギターを提げた軽音部部長で風紀委員長でもある直江 光輝。
「まさか旧校舎で活動していたとは、道理で見つからないわけだ」
「げっ、直江テメェ、何しに来やがった!?」
「今日はオカルト同好会に頼みたい事があって来た。ずっと入口の前に突っ立ってるのもアレだし、入らせてもらうぞ」
直江はギターを提げたまま入ろうとしてギターが入口につっかえたので、斜に構えるような態勢になって改めて入室する。
「ギター降ろせばいいのに…」
黒田が人数分の飲み物を用意してテーブルに置いていく。
「それで、あたし達に頼みたい事って?」
「あぁ、俺はよくさんかく公園でライブをやってるんだが、実は最近、そのライブに来てくれるファンが何人か行方不明になってるみたいでな。気になって色々調べたら、それ以外にも観光客やらがこれまで何人もこの街で行方を眩ませてることが分かった。警察も捜査してるらしいが、これまでにただの一人も見つかってない。これは異常だぜ!ってことで、その調査に協力して欲しい。この街で何かヤバいことが起きてるのは間違い無いんだ!このままだとライブだってできなくなるかも知んねぇし、何より俺達が暮らすこの街でそんな不気味なことが起こってるのをほっとけねぇ」
「協力も何も、それについてはあたし達もちょうど調査してるところよ」
「え!?ちょ、ちょっと待ってよ伊弉波さん!僕はそんな事一言も聞いてないですよ!ただ部員が足りないから入って欲しいとしか…」
「うん、だって言ってないし。どっちにしたって、黒田君に拒否権なんてなかったでしょ」
「うっ…それは…はい」
「もちろん強制じゃない。このまま何も聞かなかったことにしてくれても良いぜ。この件は興味本位で首を突っ込んでいい案件じゃないしな」
「ちょっと、考えさせてください…」
「慧次達もしっかり考えて決めなさい。今日はもう解散しましょう」
「…慧次、お前神隠しの件どうする?」
慧次と勇太郎は下校中、直江の依頼についての話になった。慧次自身もずっと考えていたし、同じように勇太郎も考えていたのだろう。
「直江先輩だっけ?あの人は聞かなかったことにしていいって言ってたけど…この街で何か恐ろしい事が起きてるって聴いてしまった以上、無視できないよなぁ…俺達みたいな能力者が関わってるとしたら、警察じゃ対処出来ないかもしれないしな。俺はやるよ。勇太郎は?」
「お前がやるって言うなら俺もやるぜ」
「そんなあっさり決めていいのかよ?」
「俺はあんま頭良くないから、考えたって仕方無いしな。だから後になって後悔しない方を選んだだけだ」
二人は決意を固めて学校からの帰り道を歩く。この日はこれ以降会話は無かった。




