10話 a killer
時間の経つのは早いもので、黒田がオカルト同好会に入部して一ヶ月が過ぎたある日の夜。残業終わりのサラリーマンが一人帰路についていた。彼は今無駄に経験だけ積んできた無能な上司のお陰で残業となり、かなり鬱憤が溜まっていた。
「クソッ、課長の野郎…自分のミスを全てわたしに擦り付けやがって…!今日は久しぶりに家族揃って夕食を食べられると思ったのに…」
「今日のライブも最高だったね!」
「直江君カッコよかった〜!」
I市最大の公園、さんかく公園の前を通りかかった時、彼の側を数人の女子高生が楽しげにすれ違っていく。
「ふん、学生は良いな。毎日気楽で楽しそうで…」
彼は昔から他人が自分よりも幸せそうだったり、楽しそうなところを見ると、とある衝動が体の奥底から込み上げてきて抑えられなくなる。無理矢理に抑えようとするとストレスで夜も眠れなくなったりする。そこは自分でも厄介な体質だと思う。
「…あいつらでいいか。行け」
楽しそうに談笑しながら歩く女子高生たちに向かってラジコンサイズの小さな戦闘機が一機どこからか現れて翔んで行く。すぐに女子高生たちもジェットエンジンの音が小さく聞こえていることに気付いた。辺りを見回してラジコンサイズの戦闘機を見つける。
「ねぇ、何あれ?」
「ラジコン?」
こんな時間に誰が飛ばしているんだろう?などと考えるよりも先にその戦闘機に装備されていたミサイルが一斉に女子高生たちに向けて発射された。
「!!」
女子高生たちはミサイルの直撃を受けて、叫び声を上げる間もなく跡形もなく消し飛んだ。
「ククク…っはぁ〜、やはりキレイに消し飛ばした時の心がスッキリとする感覚はたまらんな。これなら証拠や痕跡も一切残らんしなぁ」
彼は先程までとは打って変わってとても晴れ晴れとした気持ちで再び帰路につく。そこへ帰りが遅いことを心配した家族からの電話がかかってきた。
「もしもし、あぁ、仕事が終わって今帰るところだよ。今さんかく公園の辺りだから、すぐに帰るよ。今日の晩御飯は何だい?」
電話を切り、彼は軽やかな足取りで愛する家族が待つ我が家へと急ぐ。




