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勇者パーティーはクビになりましたが、どうやらマスコットはやめられないようです!  作者: れんこんのきんぴら和風パスタ
第二章 替えの利く世界と代わりたくない少女たち
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66 存在意義2

 初めに破裂(はれつ)、次に雨。辺りに()(そそ)粘性(ねんせい)(かたまり)は、ただでさえ劇的な邂逅(かいこう)をより印象的なものとして演出した。

 サンダル……麦わら帽子(ぼうし)……あれは……いったい何の頭だろう。差し込んだ明かりの中で私はただ記録する。そうすることが当たり前のように――。

 白日(はくじつ)(もと)(さら)された私を、彼らは()と呼んだ。


 ♦


「まさか()()がいたとはな。怪我(けが)はないか?」


 彼女というべきか、それとも彼というべきか。少なくとも三人の中では、もっとも私の知る常識に近いその人となりは、唯一(ゆいいつ)意思の疎通(そつう)(はか)れることを差し引いても、どこか期待できる、その思わせる説得力があった。


「はい。この()()()はあなた方が?」

「名は(たい)を表すとは言うが……そんな名前だったのか。通りで何もないわけだ」

「なるほど。大戦以降、それもかなり後にお生まれになられた方々のようですね」

「見ればわかるだろう?」

「そうですね。しかしピクニック気分もいいですが……そちらの……動物の頭? の彼の姿こそが、この場においての正解であることをお忘れずに」

「話が早くて助かるな。では手短(てみじか)にいこう。あれは何だ?」


 彼女、あるいは彼は辺りに()らばった数多(あまた)の肉片の中から、迷わずその上に鎮座(ちんざ)するそれを指し示す。


「卵型、不透明、色は単色から複数色まで様々、大きさは星喰いに比例、私も実物は初めて見ましたが、その(かく)で間違いないでしょう」

「ではそれを欲しがる者はいるか?」

「研究対象としてなら、以前であればあるいは。現在では扱うことも、動かすことも困難でしょう」

「なるほど、一応の筋道は通っているわけか。だがこれでは名称(めいしょう)総称(そうしょう)に変わるだけ。悪くはないが……これ以上は余計に事を(あら)()てるだけになりそうだな」

「その余計を求めているとしたら――どうでしょう」


 私は彼らへと進み出る。そうして自ら進んで語りだす。


「あなた方の求めるもの……私の求めるもの……大切な人――」


 光――それは私にとっての彼だった。そして彼は私にとってのすべてだった。だからあの日、私の前から彼がいなくなったあの日に、私は私でなくなった。

 (ゆえ)に私は何も持たない。何も持たない私は何者でもない。偶然、迷い込んだ(逃げ込んだ)星喰いの腹の中も、何も見たくない私にとっては(かえ)って好都合だった。

 そこは暗闇(くらやみ)以外に何もない世界、それが私にとっての唯一の平穏(へいおん)……言いようのない後ろめたさに()た居心地の悪さも、いつしかなくなっていた。

 もう(あらが)う必要はない。もう抗わなくていい。そんな(あきら)めに似た気休めの言葉を繰り返すたびに、じわじわと大切な何かが黒で()りつぶされていく。

 そうして見えなくなった何か、それでも忘れられない何か。虚飾(きょしょく)にまみれながらも消えなかった光に気づいた時、私はようやく素直(すなお)になれた。

 安息(あんそく)なんかいらない。誰のためでもない。他がどうなったっていい。私は私のために、ただ――。


「もう一度会いたい……」

「名前は?」

戦艦(せんかん)()とし……」

 

 それは私が()くした大切なもの。()はあの日、空から降ってきた。


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