表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者パーティーはクビになりましたが、どうやらマスコットはやめられないようです!  作者: れんこんのきんぴら和風パスタ
夢見る少女は相容れない2
49/68

49 田園風景と立ち話

「どうするつもりだ?」

「どうするとは?」


 目に映る新緑、一呼吸で青さと同化する木陰(こかげ)。空気を揺らすような()()()の問いに、会話を歓迎するように返す()()は、自ら求められるがままに聞き役へと回る。


「このあとのことだ……」

「このあと?」

「俺は王女様についていく」

「なら何も問題はありませんよ」


 それに、と続ける青年は(つい)ぞ出なかった答えを出すように穏やかに微笑む。


「私の見立てでは彼女がそう望むでもない限り、きっとまたどこかで、お会いすることになるでしょうから」

「目指す場所が違うとしてもか」

「確かにそうかもしれませんが――少なくともお二人はまだ同じ道の上にいます」

「前を行くのは彼女だ」

「ならば後ろを踏み固めるのはきっと彼でしょう」

「支えになるのか?」

「そう思ったからこそ決断されたのでは?」

「ただ言ってみただけだ。好き好んでする寄り道を決断とはいわない」

律儀(りちぎ)ですね?」

「物事を順序だてて考えるのは苦手なんだ」


 不器用な手つきでその柔らかな毛並みをなでる重低音。真似するように手を上げた青年は、そこでふと思い出したように手を下ろす。


「そう難しく考えずとも、もっと自分に素直になればいいんですよ。ハチミツだって上手くいったじゃないですか」

「あれは……いや、そうだな。そうかもな」

「それに誰かがついていてくれるのは私たちとて同じこと。守ってあげてください。それがあなたの望みでもあるのなら」


 重低音は言葉を返さなかった。ただ木陰から見る地平線は、二人の目にやけに(にぎ)やかに映り――。


「始まったみたいですね」

「ああ」

「それでは」

「ああ、後でな」


 どちらからともなく互いに背を向けては、すぐに(もや)と消えていく両者の影。残された緑がにわかにざわめいては、わずかに遅れて風が吹きすさぶ。

 迎えに来たわよ――切り取られた世界に届けられた少女の(ねがい)は、解放の狼煙(のろし)にして宣戦布告、そのものだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ