7.しゃるりーぬが なかまに なった!
女神が消えたあとすぐに人が現れた。
その人に手伝ってもらいながら身支度を整え、応接室に向かう。
応接室に着くと、案内してくれた人が扉をノックする。
「どうぞ」
部屋にいる少女の紫色のきれいな目と、目が合った。
(まただ……)
ドラゴンを戦った後にも感じたが、彼女は――
「……座っては?」
「……ああ」
つい、と目をそらして、正面の席を見つめる彼女の言葉に従い、そこに座る。
「体調はいかが?」
「問題ない」
彼女は「そう」と答えると、姿勢をただした。
「早々に本題に入らせてもらいますわ。
わたくしは、聖女シャルリーヌ。
勇者として覚醒した貴方には、魔王を倒す旅路に同行してもらいます」
知らない単語がでてきたが、文脈からしてフィーリアは聖女、フィールズは勇者、ユニペーネは魔王のことだろう。
拒否する選択肢はないだろうから「わかった」と答える。
彼女の眉がピクリと動いた。
「……聖なる御印をもつ者が揃い次第、魔王城に向けて出発します。
それまでは基本的に王城待機ですが、魔印をもつモノが現れれば討伐にむかうことになるでしょう」
聖なる御印ってのは彼女の額にあるやつだろう。
俺の手の甲にも似たようなやつがあった。
マインは魔印か。魔王側にも似たようなやつがあるんだろう。
俺はまた「わかった」と答える。
彼女が目を細めた。
「……ところで」
彼女の声が1段低くなった気がするが……なんだ?
「わたくし、まだ貴方の名を聞いていないのですけれど」
「!」
そういえばそうだと思い、慌てて名乗ろうとして、気づいた。
今世での名前がわからない。
それどころか、今世でのいままでの記憶が思い出せない。
女神は転生させたといっていた。
ならば、この世界で赤子から生まれ育った記憶があるはずだが、それが思い出せない。
「わからないのですか」
青ざめる俺をじっと見つめながら問われた彼女の言葉に、無言でうなずく。
「わたくしも覚醒直後は記憶が混乱していました……。
もしかしたら、覚醒直後はみなそうなのかもしれませんね」
考え込むようにつぶやかれた言葉に、少し安堵する。
「ですが名くらいは今すぐわからないと不便ですわ。
ちょうどいいですから、ステータスを調べましょうか」
……ステータス?
次回「ステータスオープン」