表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/8

5.勇者と聖女2(sideシャルリーヌ)

 

 伝承によれば、聖なる御印をもつ者は、一目でお互いのことがわかるのだという。



 理屈でなく、感じた。

 いま目の前にいる彼こそが勇者(フィールズ)だと。


 おそらく彼も同じなのだろう、目を見開いたまま微動だにしない。

 わたくしたちはしばしの間、瞬きすら忘れて見つめ合った。



「殿下!」


 呼ばれて我にかえった。


 声が聞こえたほうに顔を向けると、ともにきた騎士の一人がこちらへ駆けてくるところだった――が、様子がおかしい。

 なにかを訴えかけているような――と思ったところで、横から突き飛ばされた。


 気づいたら、禍々しい魔力に絡みつかれた勇者(フィールズ)が倒れていた。

 ハッとして周囲に視線をはしらせると、竜種の胴体についたままの片翼に「魔印」が浮かびあがっているのが見える。

 彼はわたくしをかばって倒れたのだ。



 体内の魔力を紡ぎながら、駆けよってきた騎士に尋ねる。


「状況説明を、簡潔に」


「竜種は絶命を確認しました。こちらは死傷者多数、生存確認中です」


「指揮は」


「団長がとっておられます」


「そう。では、わたくしはこれから『魔印』の結実をおこなうと伝えて。それから、この者を保護するようにと」


 騎士は返事をしたあと、すぐさま団長のもとへ向かった。



 わたくしは紡いだ魔力を「魔印」に注いでいく。


 なぜだか、勇者(フィールズ)の蒼穹のような瞳と、その後の倒れた彼の苦しげな姿が、ずっと目に焼き付いて離れなかった。


次回「女神様にタメ口」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ