2.チュートリアル戦闘
「う……」
目を開けると、見覚えのない天井――ではなく。
鬱蒼とした森がひろがっていた。
「どこだ、――っ」
『どこだ、ここは』と言いかけて、口を閉じる。
次の瞬間、身体が勝手に跳んだ。
着地したあとも身体は勝手に動いて、さっきまでいた場所をふり返る。
そこには、身の丈ほどの大きさの生き物がいた。
その生き物は、ノッシノッシと遅い動きで向きをかえ、向きをかえるときとは桁違いの速度で、再びこちらに突っ込んできた。
それを跳んでかわすと、空中で生き物に向かって手をかざし叫ぶ。
「ウィンドカッター」
身体中の何かが手にあつまり、言い終わったときには鋭い風の刃になって飛んでいって、生き物を切り裂いた。
着地したときには、身体の自由が戻っていた。
「何だったんだ……」
茫然としながら、なんとなく生き物に近づく。
あらためて見てみると、イノシシっぽい。
首と胴体は切りはなされていて、体色が赤から茶にみるみる変わっていく。
完全に茶色になったのを見届けると、終わったという気分になり、ほっとした――
――のも、つかの間。
「きゃあああっ」
甲高い悲鳴とともに、飛んできたものをとっさに抱きとめる。
「今度は何だよ!?」
言ってるそばから、バキバキバキッと目の前の木々をなぎ倒される。
グォオオオオオッ
地を震わせるような咆哮をあげながら、それは姿をあらわした。
次回「高ランクの魔物をたおす」