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闘神と仙術スキルでアポカリプス世界を駆け抜けろ!  作者: クラント
スラム編

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37話 砂さらい


 ここが『砂さらい』場らしい。


 前の世界にあった採石場のようにも見える。

 大きな工場の施設内に広く取られた砂置き場といった感じだ。


 見えるだけでも高さ5メートル以上ある砂山が10個くらいある。

 あの砂山をどうするんだろう? 

 あの中から砂金でも探そうというのだろうか?



 トールはこの工場の責任者へ挨拶に行っている。

 俺は子供達とここで待機。

 


 うーん………待機時間にスマホをいじれないのは辛いな。

 話をしようにもあまり接点のなさそうな子達だし、すでに輪が出来上がっている中に入っていくのはちょっと苦手だ。


 ザイードは一人ぼっち状態だから、ちょっと話しかけてみるか。



「ザイード、ちょっと教えてほしいんだけど、砂さらいって何をするの?」



 俺に話しかけられて、ジロッと俺を睨みつけるザイード。

 いや、目つきが悪いから、睨みつけているように見えるんだよ。


 

「ここの砂山から晶冠欠片や晶石を見つけるんです」


「この砂山から?大変じゃないか」


「全部じゃないです。僕らの割り当ては多分あっちの山だけだと思います」



 それでもかなりの量になると思うけど。この人数でどれだけ集められるのだろうか。

 あと、この砂山になんで晶冠や晶石が混じってるんだ?



「この砂山は、機械種の残骸からマテリアルを精製するのに出てくる廃棄物なんです。たまに残骸の中に晶石や晶冠が混じってて、精製されずに砂と一緒にはかりから排出されるそうです」



 秤? 重さを計るやつ? これもそのままの意味じゃないと思うけど。

 言葉のつながりから、機械種の残骸からマテリアルを精製する為の装置みたいなものかな。



「どれくらい稼ぐことができるんだい?」


「ここで出てくるのは晶冠の欠片がほとんどなんですが、1日でだいたい一人2~3Mってところです。でもたまに晶石が出てきたら10Mくらいになることもあります」


「ほー。それはなかなかだね。俵虫10匹分か」


「まあ、滅多に出てこないですけどね」



 これで話は終わりだとばかりに、ザイードは俺に背を向けて離れていく。


 これは俺が嫌われているのか? それとも長話が嫌いなだけか?






「ヒロ、お待たせ。みんな、許可が取れたんで、作業を始めるよ」



 トールが戻ってきて、皆に作業の開始を宣言し、工場の責任者から貰ってきたらしい袋からふるいを取り出して皆に配り始める。



「はい、ヒロ」


「え」



 俺に篩を渡してくるトール。


 俺、護衛じゃなかったっけ?



「まあ、ちょっとくらいやってみたらどうだい。宝探しみたいで楽しいよ。もし、晶石を見つけたら、皆から祝福してもらえるし。」



 篩かあ…………

 家庭科の授業でケーキなんかを作った時に使ったきりだぞ。



「黒爪の連中なら大丈夫さ。さっき、工場の人に黒爪が来たら教えてくれるように頼んだし、奇襲はないよ。ここでの戦闘はご法度だしね」



 まあ、いいか。これも職業体験だ。


 周りのみんながやっているように砂山に近づいて座り込み、篩で砂山から砂を掬い取り、篩にかける。



 30分で6回ほど篩にかけたが、晶石も晶冠も見つからない。

 周りでは何人かの子供が「見つけたー」と声を上げているのが聞こえる。


 俺の横で作業をしているトールは晶冠の欠片を見つけたらしく、ちょっと顔をほころばせていた。


 くそ、負けるのはなんかシャクだな。

 七宝袋に入っているウルフの残骸から晶冠を取り出して、「見つけたー」ってやってみてやろうか。



 ………お、なんか篩に引っかかっている。

 これか? 晶冠の欠片は。針金の欠片みたいだな。



「あ、ヒロ。見つけたようだね。それくらいの大きさをあと、9個ほど見つけたらノルマ達成だよ」



 俺の手元を覗き込みながら、トールが説明してくれる。



「先は長そうだな。10個がノルマか。30分で一個ってことは、10個見つけるのに6時間くらいかかるだろう。それで2~3Mって時給はどれくらいなんだ?」


「時給で給料を貰えるのは商会勤めの人くらいだよ。僕らは成果でしか対価を貰えないからね。あと、たまに晶石が見つかるから、その時はみんなでお祝いだよ」


「晶石ってそんなに高いものなの。虫の晶石だったらあんまり高くならないだろう?」


「ここにある砂山は秤屋からでたものだからね。虫の残骸は持ち込まれることはないよ。流石に中量級以上の晶石が残ることはないけど、軽量級のだと狩人もいちいち晶石を取り出すことをしないで、秤屋に持ち込むことが多いんだって」



 『秤屋』ね。

 多分街で見かけた店だな。

 狩人らしき人達が機械種の残骸を持ち込んでいた。

 俺の狩った機械種もそこに持ち込めば、マテリアルに精製してくれるのか。


 良かった。あの時、虫の残骸を持ち込まなくて。

 すごく馬鹿にされていただろうなあ。



「あとさ、この作業って、俺等でやる必要ってあるの? それこそ機械種にやらせとけばいいんじゃない?」



 作業の間、ずっと思っていたことを聞いてみる。

 


「ああ、ヒロ。知らないんだね。機械種は晶石と晶冠を見つけることができないんだ」


「え、どういうこと?」


「僕もよく分からないけど、機械種はその辺に落ちている石と、晶石、晶冠の区別をつけることができないんだって。なぜなのかは僕も知らないよ。そういうものだってことしかさ」



 『機械種は晶石、晶冠を見つけることができない』

 これは重要なワードだな。覚えておこう。



「だから、この砂山から晶石、晶冠を見つけ出すのが、僕達の仕事になっているんだ」





 結局、2時間篩をかけて見つけた晶冠の欠片は3つ。そこで、一度休憩が入る。


 他の皆は少なくて4つ、多いものだと7つも見つけている子もいた。


 俺の篩のかけ方が遅いのか。次は闘神パワーを持って全力で篩にかけてやるぞ。



 と、俺が決意したところで、工場全体にジリリリィっとベルが鳴り響いた。



「何なの、この音?」



 トールに顔を向けると、ややこわばった顔で俺の質問に答えてくれる。



「ヒロ!来たんだよ。黒爪のヤツ等が」






 工場に入ってきたのはトールが言っていたように3人だけだった。


 一目見て分かるチンピラファッション。

 袖をビリビリに破いた荒々しい恰好だ。


 特徴的なのは3人とも顔に刺青をしていることか。

 頬や額に黒い模様を入れている。


 多分、形的に黒爪を意識しているんだろうけど。

 そういえば、前にも同じような刺青を見たな。たしかチンピラに絡まれたときか。



 黒爪の3人は俺達を見つけると、ニヤニヤしながら近づいてくる。


 トールが子供たちを下がらせて、俺の横に立つ。



「おう、てめえ等。言ったよなあ。明日は俺等が使うって。なんでいるんだよ!ああ、俺らの言うことが聞けねえってのか!」

 


 3人のうち、中央にいる少しガタイの良い、おそらくリーダー格がこっちを恫喝するかのようにまくし立ててくる。


 俺等が使うって、チンピラ3人でこの砂山で篩をふるうのだろうか。

 かなりシュールな光景なりそうだ。多分もっと下っ端あたりにやらせるんだろうけど。


 あのチンピラがムチを振るいながら、奴隷たちを働かせているところを想像してしまう。

 似合うなあ……いやいや、その奴隷はチームトルネラの面々になるかもしれないんだ。

 冗談じゃ済まされない。



「今日はこの砂さらい場はチームトルネラに割り当てられているはずだ。君たちこそ、協定違反だろう。邪魔だからさっさと帰ってくれないか」



 トールが毅然とした態度で対応する。



「へえ、言うじゃないか、トール。じゃあ、お前が俺らの相手をしてくれるってのか?それとも、ディックのヤツがどこかに隠れていやがるのか?」

 


 リーダー格のヤツが懐から銃をこちらに見せつけるように取り出す。


 銃を見たトールが顔色を変えて、俺の方に向き直る。



「ヒロ、頼むよ」


「オッケー。任せといて」



 一歩前に出て、袋から銃を取り出す。

 袋は破れたナップサックの代わりだ。

 今日は獲物を狩る予定がないから小さい袋で十分。


 ただし、銃は俺の変化の術で形だけ真似ただけのイミテーション。

 バレないよね?






 お互いの距離は5mほど。

 一応射程圏内と言えるだろう。


 相手は3人。

 銃を持っているのは一人だけだが、他の2名はナイフを抜いている。


 銃のヤツはまだ、こちらに銃口を向けていない。

 だから俺も銃を向けるまではしていない。

 ここからはチキンレースなんだろう。

 


 相手の方が人数は多いが、俺の実力が読めない。

 銃口を向ければ、当然こっちも銃を向ける。

 お互いに発砲すれば、どちらかが負傷、若しくは両方が負傷、運が悪ければ死亡する可能性だってある。



 向こうは必死にリスクと面子を天秤にかけているに違いない。



 相手の銃は俺の持っているスモール・最下級と同じタイプのようだ。

 あれならば、仙衣を着ている部分は銃弾くらいなら防げるだろう。

 しかし、絶対大丈夫という訳ではない。

 無防備な顔に当たれば負傷は免れないし、万が一だが即死もあり得る。



 戦闘になったら真っ先に顔をカバーしないとな。



 3人はゆっくりと俺を囲むように動いている。


 俺は包囲網を避けるように少し後退し、左右のヤツへ目で牽制を行う。

 それ以上俺の背後に回ろうとすれば撃つぞって意味だ。






 しばらくにらみ合いが続く。


 と思ったが、突然、目の前の銃を持ったリーダー格が、銃を持っていない方の手で、俺の銃に向けて、指を刺して笑い始めた。



「はははははっはははははははっはは! コイツ、素人だぞ! セフティーがかかったままで、どうやって撃つんだよ! はははは、銃を持ってるからどんな護衛かって思ったが、ハリボテだったのか。はははっははははは!」



 左右の2人も笑い始める。


 クソ、悪いか! この銃はハリボテなんだよ。



「ヒロ!」



 トールが後ろから心配そうな声をかけてくる。



 ああ、俺の顔は羞恥で真っ赤だ。

 これほどの屈辱は久しぶりだ。

 どうしてくれようか。





 「おい!ガキども!この工場で銃撃戦なんてすんじゃねえ!!!」



 横からひげ面で中年の大男が出てきて俺らを叱り飛ばしてくる。


 あれはトールが挨拶していた工場の責任者か。

 久しぶりに中年のおっさんをみたような気がするな。

 周りに若者や子供が多いから、そんな気がするんだろうけど。


 しかし、すごい迫力だ。

 黒爪の3人もバツが悪そうな顔をして、武器を仕舞っている。

 どうやら逆らうことのできない人物らしい。

 まあ、所詮はスラムの不良チームだからなあ。

 俺も銃を仕舞うとしよう。



 しかし、ここで終わってしまうと俺の尊厳が損なわれたままだ。

 帰ってから何を言われるか分からない。


 …………そうだ、こいつらに【奪われた】俺のプライドを取り戻さなくてはならない。




 ソウ、

 オレカラウバワッタモノヲ、カエシテモラワナクテハ。




 俺は退散しようとしている3人に声をかけた。



「おい、お前ら、逃げるなよ。別の場所で勝負しようじゃないか」



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― 新着の感想 ―
ヒロ、大事なところで締まらない。
[一言] ハッキリ言ってつまんない
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