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闘神と仙術スキルでアポカリプス世界を駆け抜けろ!  作者: クラント
スラム編

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103話 占い


 食堂では特筆すべきことはなかった。

 ジュードがコボルトを従属させたことと、カランが明日から1週間程出張でいなくなることが皆に知らされたくらいだ。


 あと、カランが俺と目が合って、ちょっと気まずそうにしていたな。

 別れる時のカッコの付け方には気をつけよう。






 食事が終わって、俺は2階の個室が並ぶ廊下へ向かう。


 用があるのは例の『男子専用部屋』だ。

 別にアレをしにいくわけじゃないぞ。多分。



 部屋に入ると、すぐに座り込んで瞑想を開始する。

 

 試すのは未来視だ。

 明日の朝、本当に俺に危険が無いかどうかを確かめる為だ。


 サラヤの話を聞いて、雪姫は俺を騙すような人ではないということは分かったが、別に雪姫が悪くなくても、第三者が俺に仕掛ける可能性も否定できない。


 意図的に呼び出されるなんて、今までになかったことだ。

 これまでの俺が引き起こした騒動は、ほとんど偶然による接触が多かった。例外は砂さらい場の時くらいだろう。


 できることは事前にやっておきたい。でないと最悪の状態に陥った時に後悔してもしきれなくなってしまう。


 問題は、そう都合よく未来を見ることができるかどうかだが……








 はあ、やはり駄目なようだ。


 女性関係が駄目なのか、それとも、選択しなかった未来しか見れないからなのか。


 しかし、女性関係に絡むと未来が見えなくなるということも変な話だ。

 ということは、俺はすでに行くということを決めているから、選択する未来は見ることができないということなのか。



 自分が選ばなかった方の未来が見える。

 このような現象にいくつか心当たりがある。

 

 まず、俺が時間をループしていて、何度も選択肢を変えて様々なルートを経てきた過去があるから、その記憶がフラッシュバックのように蘇っているという可能性だ。

 これはゲームの設定であった内容だ。大好きだったゲームだったからよく覚えている。

 

 もし、そうだとすると、俺はループ物の主人公ということになる。

 ループする度に記憶を失い、別のルートを進めていくという、正しく無限地獄のような話だ。


 勘弁してほしい。ループ物は傑作が多いし、読み手なら面白いのかもしれないが、その当人になるのは御免だ。




 あと、次の可能性について。


 中国の故事の一つ、『邯鄲の枕』というものだ。


 簡単に言うと、畑仕事にうんざりしていた若者が、都会へ行こうと旅に出るが、出会った仙人によって都会へ行った場合の辿る未来のようなものを夢で見せられて、色々と悟った結果、故郷に帰るといった話だ。


 これは選択しようとしていた未来を見たという点で異なるが、未来を見ることで忠告のようなものを受けたという意味では近い。


 ここからは俺の乱雑な推察になるんだが、これから選択する未来を見せられた場合、高確率でその未来は変動してしまうだろう。なぜなら、すでに未来を知ったという不確定情報が入り込んでしまうから。見てしまうことで変動してしまう未来。果たしてそれは未来視と言えるのか。

 しかし、選択しなかった未来は変わりようが無い。だって選択しないので変えようが無いから。


 だから見えるのは選ばなかった方の未来となってしまう。

 それによって俺に何かを忠告してくれているのかもしれない。





 さらにもう一つの可能性。


 あえて進むかもしれない未来が見えないようになっている。なぜなら、未来を見てしまうことで、未来を確定してしまう可能性があるから。


 未来視には2つある。

 未来で見たことを変えることができるケースと、見たものは絶対に変えることができないケースだ。

 未来を見て変えることができるなら、未来視は非常に多いメリットがあるが、もし、見た未来は変えられないとすれば、デメリットの方が大きくなってしまう場合がある。


 自分の大事な人が殺されてしまう未来を見てしまったら、どんなことをしても確実に殺されてしまう。それこそ運命が、世界がその人を殺そうと動いてくるからだ。


 これもゲームでの話だが、未来視で大事な人が刃物で刺されている場面を見てしまって、それを助けるために、主人公が奮闘する物語があった。その主人公は未来視で見た場面が変えられないから、刃物に細工をし、血糊を用意して、刺される場面まで再現していた。

 そうやって助けられる場合もあるかもしれないが、現実にはそう都合の良く進むとは思えない。


 こんな未来視を持ってしまえば、気苦労ばかり増えるだろう。知っているのに変えられない、ただの傍観者になるしかないからだ。




 

 色々と考えてみたが、これ以上の推論は進まないし、結論は出せそうにない。

 自分で考えついてなんだが、よく分からなくなってきたな。

 まあ、専門家じゃないから、この程度の推論が精々だろう。


 今のところは運が良ければ見ることができて、中には役に立つ情報があるかもくらいに思っておくしかないか。


 

 バタンと後ろに倒れ込んで天井を見上げる。




 ふう、結局、未来を知ることはできなかったな。


 未来は分からないのが当たり前だから、それが普通なんだけど、やっぱり不安になってくる。

 身の安全と、雪姫がどんなことを言ってくるのかが不安なんだ。


 経験は無いが、プロポーズや告白する前日とかはこんな気持ちになるのだろうか。

 女の子が恋愛占いとかに頼りたくなる気持ちも良く分かるような……




 占い?




 むくりと起き上がって、七宝袋からいつもの打神鞭を取り出す。


 おい、お前の占いで明日危険が無いかどうか調べてくれ。

 

 ん~? って感じの寝ぼけ眼で返事? をしてくる打神鞭。


 コイツに頼るのはなんか負けた気がするが、もう背に腹は代えられない。







 で、用意したのは、ダイアウルフの残骸の肩装甲の部分。


 打神鞭が言うには、質問しながら叩いて縦に割れたら『ハイ』、横に割れたら『イイエ』らしい。


 これって亀甲占いって奴か。あれって確か焼いて割れを見るんじゃなかったっけ?


 まあ、こんな所で火を起こすわけにはいかないから、助かってはいるが。


 ダイアウルフの残骸はたくさんあるから、たとえ『ハイ』『イイエ』しかなくても、回数を重ねればかなりの精度が期待できるだろう……


 え、占いって1日1回しかできないって!


 お前、なんでそんな重要な話を後出しで言うんだよ!


 クソッ! 仕方が無いか。無いよりはマシだ。




 なんて質問しよう。一回で俺の安全が分かるような質問はないか……


 雪姫に会いに行くのに危険はあるのか?

 街の外にいくんだ。大小はともかく危険はゼロではないぞ。


 雪姫は俺を騙そうとしているのか?

 これだと雪姫以外の第三者が俺を害そうとしていても分からない。


 雪姫に会いにいったら俺は後悔するのか?

 ……俺が振られてしまったら後悔するからあんまり意味が無い。



 待てよ、俺が危なくなる可能性が一番高いのは、雪姫の他に軍隊や他のスラムチームが勢ぞろいして襲いかかってくるパターンだ。

 雪姫以外に待ち合わせ場所にいるのかを聞いてみるのが無難か。

 いや、雪姫はあの機械種を連れてくるはずだから、それは対象から外して……




 ダイアウルフの肩装甲を前に、打神鞭を構える。


「明日の朝、待ち合わせ場所に雪姫と雪姫が連れてくる機械種の他に誰かがいるか?」



ガン! ビシッ!



 打神鞭を肩装甲に叩きつけると、横真一文字にヒビが入る。


 おお、横にヒビが入るってことは『イイエ』、つまり雪姫と雪姫が連れてくる機械種以外、誰もいないってことか!


 良かった。これである程度の安全は確保できた。


 万が一、話がこじれて雪姫とその機械種が襲ってきたって、それほどの脅威ではない。

 所詮ウルフとキキーモラだ。どれほどチューンナップされていたって、ヘルハウンドとダイアウルフの群れを蹴散らした俺の敵ではないだろう。



 さて、明日彼女は俺に何て言ってくるのだろう?

 俺を勇者と呼んでくれるのか。

 それとも俺を魔王とみなして挑んでくるのか。

 はたまた俺の力を見込んで頼みごとをしてくるのか。



 全ては明日になれば分かることだ。



主人公の未来視の推論が上手くまとめられませんでした。

後で修正するかもしれません。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ここで雪姫と戦うかを打神鞭で聞いてたら、またルート変わったんですかね?
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