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5.カースト最上位者は色々と難がある。

チリリリリリリリリリ!!


目覚まし時計が鳴り響き、それと同時に守も目を覚ます。

今の時刻は8時00分。

どうやら今日はこのボロボロの目覚まし時計の調子が良いみたいだ。


守はいつもよりゆったりと制服に着替えてリビングに顔を出した。


「おはよー。」

守は眠そうな顔でそう言った。


「あら〜。マー君おはよう。うふふふふふ。」

「あ!お兄ちゃん!今日は早起きだね!えらいえらい!」


チコが守の元に駆け寄ってくる。

「お兄ちゃん!チコねー!昨日おだんご作ったんだよ!今日のお弁当に入れておいたから。ちゃんと食べてね!昨日みたいに残したらダメだよ!」

満面の笑みで弁当を守にさしだす。


「お、おう!おだんごならお兄ちゃんも大好きだからな!ちゃんと食べるぞ!ありがとな!チコ。」


守がヨシヨシとチコの頭を撫でる。


「えへへ〜〜。1ポイントゲット〜。」


チコが緩み切った顔でそのように呟いた。


何度も言うようだが、このポイントは守やその母親である玲奈でさえも何のことなのか分かっていない。


「ところでさー。昨日俺が連れて帰ってきた子。どこ行ったか知ってる?さっきから見ないんだけど。」


「あらあら。結ちゃんなら今お買い物に行ってるわよ〜。もう直ぐ帰ってくるはずよ〜。うふふ〜。」


守の疑問に玲奈が答えた。


「おい、お袋。何で客人にパシリやらせてんだよ。あと結ちゃんって。どんだけ仲良くなってんの。」


守はマイペースの母親に対して、ため息まじりに呟いた。


「ごめんなさいね〜。でもねマー君。

私は何も言ってないのよ。結ちゃんったら冷蔵庫を開けるなり血相を変えて"ちょっと買い物に行ってきます!"って急いで飛び出して行ったのよ〜。うふふふふふ。何ででしょうね〜。」


「そりゃ!この冷蔵庫見ればそうなわ!」


守が冷蔵庫を開いて見せた。

冷蔵庫の中には雑草や昆虫、謎の魚などが冷凍保存されていた。


「うふふふふふ。そうかしら?私は別に変だとは思わないわよ〜。」


玲奈は呑気にそう言った。

するとその時、玄関の戸が開く音がした。

そしてそのまま誰かがリビングに入ってきた。


「ただ今戻りました。たくさん食材を買ってきましたよ!」


その人物は森川結菜だった。

手にはたくさんの買い物袋が握られている。


守はふと森川結菜と目があった。


「あら。起きたのですか。おはようございます。昨日は私をこの家に泊めていただきありがとうございました。」


森川結菜がニコッと笑顔を作った後綺麗なお辞儀をした。


「あ、ああ。いいよ。大丈夫。それよりそれ。幾らしたんだ?」


守は森川結菜の手に握られている買い物袋に目をやる。


「いえ。これは私の気持ちです。受け取ってください。」


袋の中には数々の野菜や肉など健康に良さそうな食材がぎゅうぎゅうに詰め込まれている。


「いや。それは流石に受け取れないな。

ご、5000円くらいか?その量からして。」


守にもプライドがある。

女の子からタダで何かをしてもらうことなどあってはならないことだと思い込んでいたのだ。


「いえ。良いですよ。私は何も気にしてませんよ。………あ。でしたら、その。図々しいとは思いますが、、もう一泊だけ追加で泊めてもらうって言うのは駄目ですか?なんなら家事もやりますよ。」


森川結菜の提案に守が何かを言おうとしたその時、玲奈が


「いいわ!もう何泊でもしていって!」


と人が変わった様にその提案に賛成の意を示した。


「チコもお姉ちゃんと一緒がいい!

楽しそうだもん!」


どうやらチコもその気らしい。


「まぁ。仕方ねぇな。すまねえな。色々と。」


守は森川結菜に申し訳なさそうにそう言った。


「いえ!別に良いですよ。泊めてもらえるだけで!……私、森川結菜って言います。よろしくお願いします!」


森川結菜が握手を求めてきた。


「ああ。俺は小山守だ。よろしくな。」


守は森川結菜と握手を交わした。


(小山守?何処かで聞いたことがある様な、無いような………ま、いっか。)

森川結菜は密かにそう思うのであった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その日の学校もいつも通りな感じだった。


先生が来ない授業に友人とのありふれた会話、そしていつも通り、守の弁当には食べ物は入っていなかった。


ちなみに弁当の中身は泥団子だった。

まぁ、予想はついていたのだが……


それと、森川結菜はその日学校には行かなかった。

守も一緒に学校に行く事を提案したのだが、今日は体調が悪いとのことだった。



今の時刻は、午後4時30分。

守は学校の正門から下校している。


その時間帯は丁度桜の花びらが夕日を浴びて一際綺麗に見えのだ。


「守君。学校、お疲れ。」


守の目の前には森川結菜が立っていた。

アイドルということもあってか、サングラスと帽子をかぶって変装している。


初め守には誰かわからなかったが、その女性がサングラスを取り外した為に森川結菜だと理解することができた。


「お?どうしたんだ?なんかあったか?」


「いや。何も無いよ。迎えに来ただけ。」


「迎えに?なんで?」


予想外の解答に守は驚きを隠しきれない。


「チコちゃんがね。心配してたの。

あの子、守君の事大好きだから。」


「……そうか。……んじゃ。帰るか?」


守は鼻に指を擦りながら返答した。

珍しく照れているようだ。


「ふふ。守君。照れてる。」


森川結菜は楽しそうな表情で守をからかった。


「て、照れてねーし!これはあれだ。

……そう!鼻くそほじってたんだよ!俺花粉症だから鼻クソかっぽじねーと息できねーんだよ!」


「ふふ。もう。守君ったら。何その言い訳。面白すぎぃ。腹筋割れちゃうよ。」


森川結菜はお腹を抱えて笑い始めた。

夕日や桜のとのコントラストにより、その笑顔も一層可愛く見える。


「ちっ。からかいやがって。ほら、さっさと帰るぞ。」


守は照れを隠すように歩みを進め出した。


「ちょ。ちょっと待って。寄りたいとがあるんだけど。いいかな………」


「ん?別にいいけど。チコが心配してんだろ?早めに帰った方がいいんじゃ……」


「お願い!今日だけだから!ね?今日だけだから!」


森川結菜は縋るように食いついてくる。

よほど行きたい場所のようだ。


「わかった。でも少しだけだぞ?」


守がその言葉をかけた途端に森川結菜はパァーッと笑顔になった。


「ありがと!守君!」


結局その後喫茶店をはしごして、帰宅した時にはもう午後の9時となっていた。


そしてその日、チコの機嫌が少しだけ悪かったのは言うまでも無いだろう。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


side 山野愛



山野愛は今自分の部屋のベッドの上に座っており、守の顔写真が貼り付けられた抱き枕を大事そうに抱えている。


「今日も守様に会えなかった。」


山野愛は悲しそうに呟いた。

その瞳には涙が浮かべられており、鼻をすする音だけがその部屋に残った。


「こんなにお慕いしておりますのに……」


山野愛は抱き枕(守ver)を抱き寄せ熱烈なキスをお見舞いした。


山野愛の口と守の写真の口が重なり合い、糸を引いている。


「私はあの方の声を姿を、全てを感じたい。あの方の全てを知っておきたい。」


山野愛は静かにそのように呟いた。

顔は真っ赤に火照っている。

そして自分の手を自分の胸の位置にまで移動させ…………………一揉み。


「あぁぁぁぁぁぁあぁぁぁんんんん!」


山野愛は大きな喘ぎ声を披露してベッドに倒れこんだ。


体がビクビクと震えているのは………………まぁ。そういう事だ

突っ込まないであげてほしい。


「私は、もうあなた色に染まってしまいましたよ。守様 。責任。取ってくださいね。」


一言。山野愛はそう言って眠り始めた。

その寝顔は実に幸せそうだった。





その頃。山野愛の部屋の外。別室にいた山野愛の父親とその秘書が話し合っていた。


「はぁ。愛のやつ。またやってんな。」


「そうですね。ここ最近ずっとあんな感じですね。」


「どうやら想い人ができたみたいなんだ。父親としては少し心配なところがあるんだがね。」


「大丈夫ですよ。愛様は本当にしっかりしたお人です。そしてなにより、あなたの娘です。」


「ま。それもそうか。だが。毎晩アレをするのはよしてほしいものだな。」


「あははは。そうですね。」


何ともつかみどころのない変な空気がそこには流れていた。


すみません。

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