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3.弁当も、カースト制に関係ない

あんまり進みません。

時刻は12時40分。


守は弁当を開いて、絶望していた。


「チコよ。確かに弁当には、チコの好きなものが入っている。でもな………でも、せめて食べれる物にして欲しかったぜ。………弁当にリカちゃん人形は、入れて欲しくなかった。」


そう、守の弁当にはリカちゃん人形が入っていたのだ。

確かに、今朝、チコは、「チコの好きなものばかり入れたから、きっと美味しいと思うよ!」と言っていたが、流石の守でも、その好きなものが、リカちゃん人形だとは考えもしなかった。


すると不意に、横から声が聞こえてきた。


「お。守〜。お前、昼間っからリカちゃん人形食べるのか?エッチな奴だな。」


山田山田がニヤニヤとした表情で、守を見つめている。


「チッ。うるせーよ。そう言うお前も、日の丸弁当じゃねーか!愛国心が強いこった。」


「う、うるせー!俺は梅干しが好きなんだよ!」


山田山田は、恥ずかしさのあまり顔を赤面させている。


「あれれ〜。守くん。お弁当無いの?もし良かったら、私のお弁当、分けてあげよっか〜?」


メアリーが、必要以上に守に擦り寄りながら言う。


「いや、いい。ありがとな。気持ちだけ貰っとくよ。」


流石の守でも、女の子に甘える事はしたく無いようだ。


「だーめ。私、今日間違えて2人前作ってきちゃったんだよ。だから食べないとダメだよ。でないと腐っちゃうよ。」


「いいではないか守氏。貰っても祟られる事など無いでござるよ。」


「そうだぜ、守!どうせ守の家は貧乏なんだから、今たらふく食べておかないと、のたれ死んじまうぜ!ガハハハハハ!」


鳳凰院竜司と西野美希もそれに便乗してきた。


「いや、でもなぁー。」


守が、どうしたもんかなぁーっと悩んでいたその時、メアリーが、1つの提案をした。


「じゃあ、こんなのはどうかな守くん!

1度だけ、私のお願いに絶対服従するの。

でも勿論、守くんにも嫌な事とかあると思うから、拒否権は発動していいよ!」


「そんなのでいいのか?それなら全然構わないのだが?」


「ホント!?じゃあ……」


メアリーは、自分のバッグをゴソゴソとまさぐり始めた。そして、バッグの中から特大の弁当箱を取り出し、それを守に差し出した。


「はい!味わって食べてね?」


弁当は既に開けられた状態であり、伊勢海老やフォアグラなどの高級食材が敷き詰められている。

教室内のメアリー以外の4人は、やれやれとため息をつく。


「………去年から思っていたのだが、お前さ〜。なんで、レート1なの?」


守が、メアリーに質問を投げかける。


「そうだね。成績は上位の方だし、去年からずっとそうだけど、超高級弁当しか持って来てないよね?」


山田山田が、苦笑いで守の意見に同意した。


「あれ?言ってなかったっけ?私、志願してレート1に来たんだよ?」


その教室に静寂が訪れた。

始めに沈黙を破ったのは、西野美希だった。


「ばかやろー!なんでレート1に来やがった!今すぐ、お前の適正レートに上がりやがれ!」


西野美希は、メアリーの肩をブンブンと振り回しながら叫んでいるのだが、その速さが異常で、メアリーの頭が何十個に見える。

その間、メアリーも「あーーれーー」と目を回していた。


「そうでござるよ。ここは、いわゆる学校のゴミ箱のようなところ。わざわざ、そんな所に来るなんてどうかしているでござるよ!」


鳳凰院竜司は、熱い言葉をメアリーに投げかけた。

しかし、今日の鳳凰院竜司のTシャツには、

"ゴミ箱は天国だ!"という謎のプリントがされていた。

西野美希もそれに気づいて、メアリーを揺さぶることをやめ、呆然としていた。


「おい。メアリー。なんで、こんな所に来たんだ?お前にも、ここに来ることが、どういうことだか分かるだろ?」


守は、メアリーに近づき静かに言葉を放った。

レート1と言うものはいわゆる学校のゴミ箱のようなもの。そのような場所出身と言うだけで、就職活動や人間関係など、あらゆる場面で大きなディスアドバンテージになるのは、言うまでも無いだろう。

だが、このメアリーという少女はあろうことか、自らその境遇に身を投じてしまったのだ。

だから、同教室の4人はメアリーを心配していたのだった。


「うん。分かるよ。でもね。私も興味本位とか、何となくとか、そういう雑な理屈でここに来てるんじゃ無いよ。ちゃんと目的があって来たの。」


メアリーは先程とは一変して少し真面目な雰囲気を纏っていた。


「目的?何だそりゃ?」


守は条件反射的に質問する。


「今は言えないかな。ごめんね。」


メアリーは、再び自分の雰囲気を元の感じに戻し、守に向けて下手くそな投げキッスをした。メアリーの口から放たれたそのハート型の物体は、ヨロヨロと飛んで行き無表情の守の頬に当たったところで静かに破裂した。


教室に再び静寂が訪れた。


どうやらこのメアリーという少女には、シリアス的雰囲気を壊す才能があるらしい。


そんな中、山田山田が言葉を発した。


「お、おっし!もうこの話は終わり!さぁ、飯にしようぜ。」


山田山田は弁当を開け、梅干しを口の中に放り込んだ。


それに続いて、

「まぁ、そうだな。今ウジウジ考えても仕方ねーしな。」

「そうでござるな。今は栄養の補給が先決でござる。」

西野美希と鳳凰院竜司も弁当を食べ始めた。


「はい!守くん!一緒に食べよ?」


メアリーが弁当を笑顔で差し出して来た。


「おう。すまねぇな。恩に着るよ。」


守はメアリーからその大きな弁当箱を受け取った。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「なぁー。メアリー。ところで、お願いはもう決めているのか?……あっ、この肉もうめー。」


守はA5牛を口いっぱいに詰め込みながら、メアリーに話しかける。


「うん。もう決めてるよ。」

「ふーん。んで?何にするんだ?」


メアリーは一旦食事の箸を止めた。


「実はね、私の友人のライブがあるの。

それで、チケット2枚貰ったから、その……一緒に来てくれないかなって思って……」


メアリーの頬は少し赤くなっている。

守は(なんでこいつ照れてんだ?)と思いつつも、その頼みを了承した。


「なぁ。メアリー!ライブって事は有名人なのか?その友達は?」


西野美希が横から割り込んできた。


ちなみにメアリーが志願してレート1に来ているのに対し、この西野美希という女は馬鹿すぎてレート1に来ている。

だから"ライブ=有名人がする物"と考えているのかもしれない。


「まぁ、確かに有名人だよ?アイドルなの。」

「すげーな!アイドルやってんのか!」

「ほほー。アイドルでござるか。すごいでござるな。」


2次元オタクの鳳凰院竜司は携帯でアニメを観賞している。どうやら昼食は食べ終えたようだ。


「名前はなんて言うんだ?有名人なんだろ?」


山田山田が日の丸弁当の白い部分を食べながら話しに割り込んで来た。


「名前はね〜、森川結菜って言うの。知ってる?」


メアリーのその言葉に山田山田が凍りついた。

守は「誰だ?それ。」と一言だけ話して弁当を食し始める。

鳳凰院竜司はアニメを観賞し続けている。

西野美希も知らない様な感じだ。


「め、メアリー。その森川結菜ってさ。この学校に通ってる?」


口を開いたのは山田山田だった。


「うん。偶にだけどね。ほとんど通信教育で済ませてるよ。それがどうしたの?」


山田山田が"はぁ"とため息を吐いて話し始め、「メアリー。森川結菜はレート10の人間だ。カースト最下位の私達は、いつもカースト最上位の連中に負かされている。関わり合いを持つのはあまり良いことでは無い。それが友人であってもだ。」ともっともな意見を述べた。


その意見に対しメアリーは、何も言い返せずにムスッとしている。

すると、守はメアリーの肩を優しく叩き席を立ち上がった。


「心配すんな。メアリー。ライブには行く。もう約束したからな。」


守のその言葉に、メアリーはパァーと笑顔を見せる。


「なっ!?お前正気か!相手はレート10の…」

「心配すんなよ。相手はメアリーの友達だ。そんなに悪い奴じゃねーよ。」


「そうだぜ!もしやばい奴だったとしても守だからな!死ぬのは相手の方だぜ!ガハハハハハ!」


西野美希が汚い笑い声をあげる。


「はぁ。まぁでもそれもそうだな。守。しっ

かり守ってやるんだぞ?」


「おう。任せとけ。」


山田山田の言葉に守はグッと親首を立てた。


「それでメアリー。いつ行くんだ?」


守のその問いに対しメアリーはニコッと笑みを浮かべて、

「急でごめんなんだけど。今日だよ!」

そう言ったのだった。






ありがとうございました!




誤字脱字が目立つので、しっかりと直していきます。

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